C.C.C.THEATER原田亮代表 豪で演劇研修 指導の糧に 「考える機会与え成長促す」
茅ヶ崎市出身の俳優・演出家で、児童劇団C.C.C.THEATERの代表を務める原田亮さんがオーストラリアのシドニーで1年間の演劇研修を行った。原田さんは現地の児童劇団の指導に刺激を受けるとともに、「魅力的な人間を育てたい」と目を輝かせる。
原田さんはこれまで英国の演劇学校に留学、米国ではサンフランシスコ州立大学演劇学部を卒業するなど海外で演劇を学んだ経験がある。当時は俳優修業として「本場で一から勉強したい」と臨んでいたという。
今回は約10年前に沖縄で開催された舞台に出演した際に出会った演出家が受け持つ児童劇団を学ぶため渡豪。文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用する形で今年1月下旬まで研修を行った。
現地で劇団を見た印象を原田さんは「俳優を育成するためだけではなく、演劇を通じて未来のために、魅力的な人間になるように育てていると感じた」という。
中でも、劇団が「エンパワーメント」(力、権限を与える)を掲げ、大人が求める答えを出させるのではなく、自己決定権を与えることで子どもたちが考えて、自分なりの答えを出すという手法を取っていることに着目する。
「稽古中に問題が起きれば、演出家(大人)は役者(子ども)たちにまず『どう思う?』と聞く。大人が一方的に指導するのでなく、共につくり上げる対等な立場があり、子どもたちも自然とそれに応える、そうした様子を見ることができた」と振り返る。「大人たちは子どもたちを『小さな大人』としてとらえている。その土壌があるので、子どもたちは小さい頃から思いを言葉にできる。そこに差があると感じた」と見る。
その一方で、これまで自身が行ってきた指導については、手ごたえを感じたという。「うちの劇団では既存の台本ではなく、自分たちでストーリーを考え、表現をしている。子どもたちが演劇を通じて創造し、経験したことが未来を生きる力になる。私たちがやってきた活動は間違っていなかったと確認できた」と口にする。
「失敗じゃない、発見だ」
原田さんは子どもたちが自信を持って行動できるかは、「チャンスをどれだけ与えられるか」にかかっているとし、「たとえ失敗しても失敗じゃない、発見なんだ」と言い続けているという。「彼らはいくらでも修正できる。その上でその先の成功をつかめるか、それが大事だ」
豪州で得られた経験を指導の糧に。全ては子どもたちのさらなる成長につなげていく。