ワークノートで簡単! 怒りをコントロールするアンガー マネジメントでイライラを手放す方法
「あの人には本当に腹が立つ!」「ああいう言い方をされるとイラっとする!」と常に人は怒りを抱えています。本当は怒りたくないのに、ついつい怒って自己嫌悪に陥ることはないでしょうか? 怒りは私たちが常に抱える身近な感情であり、「怒りの感情=悪」ではありません。
岩井俊憲氏の『感情を整えるアドラーの教え』(大和書房刊)は、アドラー心理学をベースにした感情のコントロール方法を、著者自身の豊富なカウンセラー経験より解説しています。アンガー マネジメントのやり方をマスターし、イライラする日々とはお別れしましょう。
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、怒りをコントロールするためのトレーニングです。岩井氏は怒りの感情を無理に抑えこむ必要はないとしています。
「感情を抑え込もうとすると、目の前の課題に見て見ぬふりをしたり、自分を憐れむようになったり……そういう自分に他者を巻き込み、悪影響を与える可能性もあります」
怒りを感じるのも人間だからです。怒りをゼロにすることはできなくても、弱めることはできます。怒りのコントロール方法を知り、人間関係を円滑にしていきましょう。
なぜ怒りっぽくなってしまうのか?
怒りの目的
人が怒る目的は以下の4つです。
・他者を支配する
・主導権争いで優位に立つ
・自己の権利を擁護
・正義感の発揮
怒りをコントロールするためには、まず怒りの目的を知らなくてはなりません。そこで岩井氏はカウンセリングにおいて、以下のように「自分の怒りに気づくワーク」を実践しています。もし、あなたが誰かに対して怒りを感じたら、実際にノートにワークをやってみましょう。自分の怒りが明らかになり、感情を客観的に見れるはずです。
怒りの結果
では、こうした怒りの目的からどのような結果を得たいのでしょうか? 人は怒ることで以下のような結果を得ようとします。
・自分の優位の証明
・相手を屈服させる
・達成感を得る
たとえば、上司が部下を怒る場合、「お前は私の言うことを聞くべきだ」と考え、部下に自分が優位であることを証明しようとして怒るのです。友達同士の喧嘩では、相手を屈服させるのが目的です。また、政治的なデモに参加している人は、達成感を得るためにシュプレヒコールを上げています。
怒りの感情の裏には別の感情が隠されている
それでは上司が成績の悪い部下を怒るときは、どのような感情が隠されているのでしょうか? ほとんどの上司は部下ならできるだろうと期待しています。期待が裏切られたと感じたからこそ、上司は落胆し、部下を怒ってしまうのです。怒りの裏に隠された本当の感情を岩井氏は「一次感情」と呼んでいます。上司も部下も一次感情に気づくことはなく、部下には「怒られた」という悪いイメージだけが残ります。
怒りをコントロールする方法
【怒りをコントロールする方法①】「私メッセージ」で伝える
怒ったとき、ほとんどの人は、以下のように主語を相手にする「Youメッセージ」で伝えます。
「お前はどうしてそういうやり方しかできないんだ」
「あなたは私に手間ばかりかけさせて」
「Youメッセージ」は相手に対し批判的・審判的な言い方となってしまうため、関係が悪化してしまいます。そこで、岩井氏は「私」を主語にした「私メッセージ」で伝えることをおすすめしています。
「私だったらこうしようと思うけど、どうかな?」
「私は、違うやり方の方がいいと思うんだけど?」
「私メッセージ」になると、言い方がソフトになるため、相手に協力したいという姿勢も伝えられます。
とはいえ、人は怒りに任せて「Youメッセージ」を言いがちです。その場合は、改めて一次感情を相手に伝えてフォローします。
「さっきは厳しい言い方をしてしまったが、君には期待をしている。もっと別の方法を一緒に考えていこう」
このように伝えることで、部下との信頼関係も取り戻すことが可能です。
【怒りをコントロールする方法②】「他責」と「自責」を五分五分にする
岩井氏は「他責」と「自責」を五分五分にするのが理想だと言います。相手を怒り過ぎると、気持ちを傷つけ、人間関係を悪化させてしまいます。しかし「他責」の気持ちが強すぎて、自分を責めてばかりいると、「うつ」になってしまうでしょう。
ですから、両方を同じぐらいの割合にしてバランスを取ると、人間関係がうまくいきやすくなります。たとえば、相手を怒り過ぎたと感じたときは、「自分もこんなところが悪かったかもしれない……」と反省することでバランスを保てます。怒りを感じたときは、「他責」と「自責」の割合がどれぐらいなのかを常に意識するようにしましょう。
【怒りをコントロールする方法③】怒るのではなく注意を与える
怒りをコントロールするには、「□□について○○という問題があるので改善してもらえないでしょうか?」のように相手に自分の考えを伝えます。「怒る」代わりに「叱る」という行為も考えられますが、岩井氏は、「叱る」が感情的になりやすいため、推奨していません。
そこでおすすめなのが注意を与えること。注意を与える目的は以下の3つに集約されます。
・相手の不適切な行動を改善してもらう
・相手を成長させる
・やる気がない人にやる気を起こさせる
相手に自分の気持ちや期待をしっかりと伝えることで、良好な人間関係が築けます。また、怒りにまかせた言い方をせずに済むため、ソフトな伝え方をすることが可能です。
ぜひ怒りのコントロール方法をマスターし、感情に振り回されないようにしましょう。きっと人生観が変わるはずです。
この記事では、岩井俊憲氏著『感情を整えるアドラーの教え』から、怒りをコントロールする方法を要約・抜粋してご紹介しました。