大和市予算案 「つながり創出」に重点 一般会計は9年連続増
古谷田力市長は20日、2025年度の当初予算案を発表した。一般会計は、物価上昇や人件費高騰による扶助費などの増加により、前年度より72億5300万円増の944億3300万円(8・3%増)で、9年連続の増額、過去最大の規模となった。今年4月からスタートする新総合計画の元年度予算案は、25日に開会した市議会定例会に上程された。
歳入
市税収入は、前年度比18億6800万円増(5・0%増)の395億8500万円を見込んだ。個人市民税は、24年度に実施された定額減税がおおむね終了したことや、給与所得の増加により、14億8620万円増(9・1%増)の178億100万円で過去最大に。法人市民税は企業業績が好調と見込んで、1億3800万円増(8・5%増)の17億5600万円となった。
繰入金は5645万円減(2・0%減)の27億9953万円。「市の貯金」といわれる財政調整基金から25億円を繰り入れた。24年度末の残高は約41億円。25年度末には30億円程度となる見通し。
歳出
人事院勧告に基づく給与改定による人件費の増加、児童手当制度の拡充などにより、人件費や扶助費などの義務的経費が38億2374万円増(7・5%増)の548億4326万円で過去最大となった。
古谷田市長は、今年4月からスタートする第10次大和市総合計画の基本構想で「みんながつながる健幸都市やまと」を将来都市像に掲げた。
「つながりの創出」にむけた主な新規事業では、自治会に対し新たな補助金を創設する事業費に1425万円を計上した。公設の放課後児童クラブにパソコンやインターネット環境を整備するDX推進事業には1987万円を盛り込んだ。支援員の業務負担を軽減し、より多くの時間を児童との関わりに充てるのが狙いだ。
27年に横浜市瀬谷区・旭区にまたがる旧上瀬谷通信施設で開かれる「国際園芸博覧会」(花博)を見据えた新たなイベントの開催には、403万円を計上した。
大和駅東側プロムナードやシリウスでアニメや漫画、ゲームなど海外でも人気のコンテンツを題材にしたイベントを想定する。街のにぎわい創出に加え、海外からのインバウンド需要も取り込みたい考え。
ほかにも、中学校の体育館に空調を新たに設置する事業に3億3704万円、物価高騰の影響を受けても安定した学校給食を提供するため、24年度に続いて食材料費の一部を補助する事業に2億1426万円を計上した。25年5月号から「広報やまと」を全戸配布する事業には、2091万円が充てられた。
60事業を見直し
厳しい財政状況を受けて、市では新年度の予算編成に先がけて24年度の当初予算をベースとして全事業を精査した。昨年5月〜12月にかけおよそ800事業について目的や効果、費用などを検証した。
これにより60事業が見直しの対象となり、24年度の当初予算比で2億5600万円を縮減した。
見直しの対象となった主な事業は、中学校少人数指導の見直し(約4960万円)、夏季の学校プールの開放とりやめ(約2260万円)、「やまとニュース」を25年5月に廃止(約1740万円)、コミュニティバスの年末年始の運休(約470万円)、本庁舎の土日開庁を見直し、26年2月から土曜日は隔週開庁、日曜日は全面閉庁(約410万円)など。
定例記者会見で古谷田市長は「各部所に事業の見直しを徹底的に促した。厳しい財政状況の中でも『つながり』を意識して予算を配分できたのでは」と話した。