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“あなたを虜にするバイクの魅力”をテーマに語り尽くす!第10回メディアミーティング

MOTOINFO

日本自動車工業会(以下、自工会)二輪車委員会 委員長の日髙祥博と二輪専門メディアを中心にバイクの未来についてディスカッションする「メディアミーティング」は10回目を迎え、今回は昨年南箱根バイカーズパラダイスでの実施と同じく外部開催という形で、東京・浅草にあるライダーズカフェ ORTIGA(オルティガ)で開催されました。「あなたを虜にするバイクの魅力とは」をテーマに議論したメディアミーティングの模様をお届けします。

オープニング:登壇者のご紹介

登壇者は(左から)バイク声優の難波祐香さん、自工会 副会長兼二輪車委員会委員長 日髙祥博、同常務理事 江坂行弘 、同二輪車企画部会 部会長 川瀬信昭

第10回メディアミーティングの登壇者は、日髙の他、自工会常務理事の江坂行弘、バイク声優の難波祐香さんの3名で、自工会 二輪車企画部会 部会長の川瀬信昭がファシリテーターを務めました。参加者は二輪専門メディアや新聞記者、ジャーナリストなど21名に及びました。


開会に先立って、日髙は以下のようにご挨拶しました。

本日は月末のお忙しいところ第10回メディアミーティングにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。今回は外部開催ということで、東京のど真ん中、浅草寺のすぐ近く、浅草にライダーズカフェがあるということで、初めてこちらにお邪魔しましたが、素晴らしいですね。ORTIGAの田中さん、本当にどうもありがとうございます。


こういうライダーズカフェが日本には数えてみると100を超えるぐらいあるそうです。全部にはなかなか行けないので、今日はこちらのORTIGAさんにお邪魔しております。


前回(のメディアミーティング)は「安全」という割りと固いテーマで開催させていただきまして、警視庁 並びに日本二輪車普及安全協会も交え、皆さまと活発な議論を重ねることができました。


今日は少し趣向を変え、外部開催ということもあり、7月から始まる「バイク月間」を前に、バイク乗りにとってそもそもバイクの何が楽しいんだろう?という基本的なことになりますが、「あなたを虜にするバイクの魅力とは?」が本日のテーマでございます。


こういったバイクの魅力を、まだバイクに乗ったことがない皆さま、それから若くてそもそもバイクにあまり興味がない方などに広くバイクの魅力を知ってもらいたいということで、皆さまからのお知恵も拝借しながらいろいろな情報交換、ノウハウも共有させていただければと思っております。


私どもは多くのお客さまにバイクを楽しんでいただくために、先日お話した「コト消費」や「トキ消費」などに向けたさまざまなイベントを行っていますが、それらを広げることによって、最終的には「モノ消費」に繋がっていければ我々バイク業界としても非常にありがたいということもございまして、バイク市場を元気にするために今日はぜひ皆さまに、バイクの魅力について屈託のないお話を伺えればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


ORTIGA マスター
田中貞明さん

続いて、今回のメディアミーティングを開催するORTIGAマスターの田中貞明さんよりご挨拶いただきました。田中さんはバイクショップのメカニックとして長年研鑽を積まれたご経歴があり、あるときバイク仲間との「ガレージで美味しいコーヒーを飲めたら最高だよな」という会話からここORTIGAが誕生した経緯をご披露いただきました。


自工会 二輪車委員会 二輪車企画部会 普及広報担当 リーダー
早田和正

続いて自工会で二輪車の広報を担当する早田より、2024年8月19日(月)、東京・秋葉原の「アキバ・スクエア」にて開催されるバイクイベント「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY」に関する最新の開催概要が発表されました。

8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY


開催日:2024年8月19日(月)12:00~17:00(ステージイベント:13:00〜)


会場:アキバ・スクエア(東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX2F)


公式ウェブサイト:https://bikeday.jama.or.jp/

7月から9月までの3ヶ月間が「バイク月間」としてバイク関連のイベントが目白押しで、「バイク月間」には全国各地でバイク業界を盛り上げる催しが実施されるのでご注目ください。

ディスカッション

「あなたを虜にするバイクの魅力とは」をテーマに始まったディスカッションでは、今年4月に自工会より発表された「2023年度 二輪車市場動向調査 報告書」でのユーザー回答からわかった「日帰りツーリングや宿泊ツーリングなど、ツーリングを楽しむユーザーが大多数を占めた」という傾向や、今年開催された大阪と東京のモーターサイクルショー会場で実施した来場者アンケートから見えた「バイクで叶えたい夢の上位がツーリング」であることから、バイクツーリングへの興味関心が非常に高い傾向があると川瀬が解説しました。


それを踏まえ、「今回のメディアミーティングに参加している方々がバイクに見出している魅力は何なのでしょうか」と議論が始まり、まずは日髙が自身にとってのバイクの魅力を語りました。


初めてバイクに興味を持った頃の思い出を語る日髙

「僕がそもそもなんでバイクに乗ったのかというと、大学時代のバイト先の先輩がみんな乗っていたんですね。それがかっこよかったんですよやっぱり。バイトが終わって、みんなで「疲れた、帰ろう」というときに、先輩たちがバイクにパッと跨って、ヘルメットをかぶってバイト先からブンッ!って、こうカーブを曲がりながら帰っていく姿を見て、「かっこいい」って思っていたんです。それが「バイクに乗りたい」って最初に思ったときで、自分でも乗ってみたいって思ったんです。


バイクに乗ってみてわかったことはいっぱいあるんですが、まず基本的に「バイクを操ること」が楽しいんです。いつまでも乗っていたい。免許を取ったばかりの最初の頃はおっかなびっくりだったんですが、だんだん公道に慣れてくるともう「ずっと乗っていたい」。夏休みにふらっと目的もなくロングツーリングに出ると、もうヘトヘトになるまで乗っていました。


バイクと一体になって風を切っていく、コーナーを走っていく。景色もいいし、いろんな匂いがわかるし、高い山に登っていくとだんだん涼しくなっていくのがわかるし。とにかくただひたすら乗っていたい、楽しいっていうのが、一番ベーシックなバイクの楽しみだと思います」


続いて、ヤマハの元ワークスライダー難波恭司さんを父に持つ難波さんがバイクの魅力を語ってくださいました。

「父がレーサーだったこともあって、家にバイクがまずあるのが当たり前だったっていうのもあるんですけど、小さいときからお父さんが乗っているバイクが「めっちゃかっこいい!」って思っていました。お父さんがサーキットで走る姿がかっこよかったんです。


お父さんはオフロードコースでよくトレーニングをしていたんですけど、とにかく楽しそうなんです。「なんでそんなに簡単にバイクで飛べるの?簡単にウィリーできるの?私も乗せてよ!」って楽しんでいました。大人になってバイクに乗るようになり、改めて「ウィリーってそんな簡単じゃない」って気づきました(笑)。


今日会場に乗ってきているヤマハ SRV250の他に、ヤマハ セロー250を所有していて、トライアルバイクに乗ってオフロードコースに挑戦したりするんですが、『挑戦する楽しみ』、自分のレベルアップを感じていける楽しみがバイクにはあると思っています。さっきのお話にもあったツーリングには自然をダイレクトに感じられる楽しみもあり、そしてひとつひとつ挑戦してできるようになるところもバイクの好きなところです」


お二人の話に続く形で、参加メディアからもコメントが相次ぎました。

「私は公共交通機関と合わせて利用する混合交通が主なバイク利用のシーンで、2人乗りで駅まで行って、そこから電車で出かけるんです。私が今住んでいる横浜は昔から原付二種の駐輪場が整備されているので、その利便性の高さが大きなメリットですね。そういったツーリング以外での実用面が充実してほしいなと思います」

「僕は『バイクは転ぶ乗り物だから面白い』って思っています。(日髙委員長の話にもあった)バイト先の先輩がバイクでシャッと走っていく姿がかっこいいのって、転ぶ乗り物を操っている姿がかっこいいと感じさせているんだと思うんです。転ぶことが前提の乗り物って、構造的に間違っているじゃないですか。でもそんな乗り物に乗れる面白さがバイクにはあるんだと思います。


人の受け売りなんですが、バイクって約120年の歴史があるんですけど、発明された当時の姿が今まで続いているのがバイクで、現代でこの構造の乗り物が発明されたら法律で禁止されると思います。っという話を聞いて、確かにそうかもしれないなって思ったんです。そんなバイクのある種の“危うさ”みたいなものが脳を活性化するんだと思いますし、危ういからこそ楽しく乗ろう、安全に乗ろうという考え方が大事になってくるんだと思います」

「僕にとってバイクってその自転車の延長線上でしかないんですよね。北海道に住んでいた子どもの頃、遠くに行くには自転車に乗っていくんですが、北海道ではその距離がすごいんです。そんな環境でバイクの免許を取れる年齢になったとき、兄が通っていた高校に黙ってバイクの免許を取って、バイクで事故をして免許を没収されたんです。それで僕はバイクの免許取得を我慢したんですが、それでもバイクに乗りたかったのって、バイクに乗っていた兄貴が遠くに行く姿を見たからでした。若い人たちが『ロングツーリングがしたい』っていうお話があったのも、自然な発想だと思います。人間が持つ移動の興奮というか、生き物の本能に訴えかけてくる乗り物なんだと思いますバイクって」

「バイクって3回楽しめる乗り物だと思うんです。若いときは体で乗って、ベテランになってくると頭脳と技能で乗って、最後は心で乗れるんだろうなと思っています。例えば乗り物で言うと、バイクの魅力というテーマから少し離れるかもしれませんが、今話題になっている特定小型原付って免許がいらないんですけど、運転免許があった方がいいよねって自然とそういう思いが出てきたりしますよね。通行中に、特定小型原付の車両が大型トラックの前にスッと出てくると『何がいけないんだろう』って、免許を持つことで自然と理解できるようになると思うんです。それがつまり、バイクの生きる場所をみんなで守ろうってムーブメントに繋がるんだと思います」

「私自身はバイクの免許を持っておらず、日本経済新聞社のバイク担当になってまだ2〜3ヶ月なんですが、実は父がバイクを3台持っているなどバイクは身近な乗り物でした。父が『ホンダ スーパーカブ110に乗って京都の実家から青森まで走り、そこからフェリーで北海道に渡るんだ』と話しているのを聞いて、バイクってどこにでも連れていける相棒なんだろうなって思っていました。大きなバイクでも小さなバイクでも変わらないのでしょう。ただ、自分がバイクに乗ろうと思うと若干ハードルが高いなとは思います」


先ほどのコメントのなかに「相棒」という表現を受けて、難波さんのバイク論を話してくださいました。

「相棒であり、遊び相手なんですよね。さっきも言いましたが『技術を磨く楽しみ』を教えてくれる相棒なんです。相棒だから可愛いし、ピカピカにしてあげたいなって思います。


『バイクは転ぶ乗り物、危ない乗り物』というお話もありましたが、私は小さい頃に父から『道具は使い方次第だよ』って教えられてきました。『包丁も使い方次第で危なくなる。バイクも一緒だよ、ちゃんと使えるようにならなきゃダメだよ』って言われてきたので、乗る技術もそうですが、道具としてちゃんと整備してあげなきゃいけない、大切にしなきゃいけないって思っています。そうして手をかけていくと、道具じゃなくて相棒になっていくんですよね」


これらの話を受け、「四輪の楽しみ方は二輪に通じるものはあるのか」について江坂がコメントしました。

「バイクに乗る友人が『馬と一緒なんだ』と言っていました。現代の馬がバイクなんだと。乗りこなすのは難しいけど、乗れちゃうと楽しい。自分を試せる楽しさがあるんだと思います。


普段はクルマによく乗るんですが、郊外に行ったときにはエアコンを切って窓を開けて、外の匂いや空気を楽しんでいます。森に入ると、自然の香りがしてきますよね。ああいうのが大好きなんです。バイクは自然を直接楽しめる乗り物なんだと思います」


ご自身のカスタムバイク論について熱弁するORTIGAの田中さん

バイクの楽しみのひとつである「カスタム」について、バイクカスタムの世界に造詣が深いORTIGAの田中さんにお話を伺いました。

「僕自身バイクが好きになってからの関心ごとがカスタムに偏っている人間でして、カスタムパーツメーカーから出ているパーツで自分のバイクをかっこよくするところからスタートしました。世の中にはそういうライダーさんも多いと思います。


そこから一歩踏み込むきっかけを与えてくれたのが、カスタムバイクマガジンなんです。雑誌に出ているカスタムビルダーやカスタムショップが手がけるかっこいいカスタムバイクを見て、自分で作ってみたいと思ってこの世界に入りました。バイクの魅力って、乗ることもそうなんですが、パーツいじりやカスタムも楽しいんですよね。


小さいパーツでも、自分で作ったり取り付けたりするだけで、バイクに対する愛着ってめちゃくちゃ上がると思うんです。ORTIGAに来るライダーの方とカスタムのお話をするときも、『実際に自分で作ってみてはどうですか。トライするのも楽しいですよ』って、カスタムの魅力をお話ししています」


楽しみに溢れたバイクの魅力はどれだけ時間があっても語り尽くせません。そんなバイクの楽しみを守るための安全への配慮も必要です。警察庁が発表した2023年の「交通事故統計」によると、自動車による死亡事故は減少傾向にある一方、自動二輪については前年比14%増、391名の方が尊い命を落とされました。また原付バイクについても前年比27.2%増、117名の方がお亡くなりになられました。


二輪車の事故死者数は2022年までの10年間は減少傾向にあったのが、2023年は増加してしまいました。こうした事実にどう向き合うべきか、江坂からこれから求められる取り組みを紹介しました。

「交通環境においてバイクは交通弱者になりますので、やはり自分の身を守る運転を心がけることが重要になります。ヘルメットはあご紐は緩みがないようにしっかり締める、胸部プロテクターを着用することが基本になると思います。特にあご紐をしっかり締めないと、転倒時にヘルメットが外れてしまう危険性があるので、あご紐を締めていただくための啓発活動が必要だと考えています。


四輪車のドライバーにも、二輪車を守る意識を持ってもらいたいと思います。四輪車と二輪車の事故で多いのが右直事故なのですが、進化している自動運転技術や先進の安全技術によって、前方から走ってくるバイクをいち早く検知できるようなシステム開発が進んでいると伺っています。このように、四輪車側が二輪車を守るための技術開発について、自工会としても取り組んでいきたいと思っています」

第9回メディアミーティングでは、過去10年間の二輪車による死亡事故において「ヘルメットの脱落」が3割前後にも及んでいると紹介されました。また2023年に警視庁が発表した「二輪車の交通死亡事故統計(2022年中)」では、バイクによる交通事故の致命傷部位は1位が「頭部」、2位が「胸部」、3位が「腹部」という結果と紹介されています。改めてヘルメット脱落防止のためにあご紐をしっかり締めること、そして胸部を守る胸部プロテクターを身につけることを、自工会はこれからも啓発していきます。


ヘルメットのあご紐をしっかり締めることの重要性をいかに多くの方に届けるか、その点について参加者から以下のような意見も出ました。

「あご紐を締める重要性をどれだけ広めるか、という点については、バイク業界に関係している方では伝えられない部分かなと思います。ヘルメットのあご紐がどうやって脱落するのか、という研究のなかで、『どのようなバイクの使い方をしているライダーのヘルメットの脱落が多いのか』が分かれば、あご紐を締めずにヘルメットを脱落させてしまう人のシーンが分かるんじゃないでしょうか。


あご紐を締めていないデリバリーなどのライダーを見かけるのですが、この人たちだけが脱落させているのか、他の状況もあるんじゃないか、という点はまだ分かっていないと思うので、装着状況の研究もお願いできると嬉しいです」

ご意見いただきましたヘルメット脱落については、現在、産官学で連携した会議体を立上げ、ヘルメットの脱落実験、ITARDAデータを活用した事故分析などを、有識者や関係省庁、専門家を交えた会議体で議論を重ねているところです。日本自動車研究所(JARI)の協力を得て実施した「ヘルメット脱落メカニズム解明に向けた実験」の報告書を近日公開予定です。MOTOINFOでもこちらを詳しくお伝えしていく予定です。


ライダーには説明不要な「あなたを虜にするバイクの魅力」は、登壇者と参加者それぞれのバイクとのかかわりから生まれたさまざまな言葉で表現されました。


そんなバイクの魅力を多くの方に理解いただくために、思いやりのある運転マナーと高い安全意識を併せ持つスマートなライダーの姿を体現し、内面から溢れ出るカッコよさを感じ取ってもらえたらバイクファンの輪が広がっていくことでしょう。

私たちと一緒にバイクの楽しさを伝えていきましょう

多種多様なバイクの魅力を語り合った「第10回メディアミーティング」は満面の笑顔とともに幕を閉じました。参加者の誰もがバイクに魅了された人たちで、多くの人にバイクの楽しさを知って欲しいという想いの強さが皆さまの発言から感じ取れました。自工会二輪車委員会はメディアミーティングやMOTOINFOを通じ、今後もバイクの魅力を発信してまいります。

【動画】ライダーズカフェでメディアミーティング

https://youtu.be/xc52T5sDigE?feature=shared


お問い合わせ先:BIKE LOVE FORUM [バイクラブフォーラム]公式サイト 、「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY 2023」特設サイト - 日本自動車工業会 、「バイク月間」特設サイト - 日本二輪車普及安全協会 、ORTIGA

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