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Original Love Jazz TrioとSTUTSが共演、『M bit Live #1』のオフィシャルレポートが到着 ライブ映像を期間限定で無料配信

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『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

「ひとりひとりの人生に音楽との出会いを届ける」ことを掲げてスタートした『M bit Project』の第1弾として、Original Love Jazz TrioとSTUTSによる世代を超えたコラボレーションが話題となったライブイベント『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』が開催された。本記事では、同公演のオフィシャルライブレポートをお届けする。

また、M bit Project公式YouTubeチャンネルにて、当日生配信したライブ映像の期間限定アーカイブ無料配信がスタート。7月10日(水)から7月17日(火)までの1週間限定の配信となっている。

2024年7月2日、東京・渋谷WWWにて新たなライブシリーズが産声を上げた。『M bit Live』と題された同公演は「ひとりひとりの人生に音楽との出会いを届ける」ことを掲げてスタートした「M bit Project」の第1弾で、テーマに相応しくツーマン形式である。出演は、Original Love Jazz TrioとSTUTS。世代や音楽のスタイルは決して近くない。普段のファン層もそこまで被っていないだろう。でも確実にシンパシーはありそうだという、まさに新たな「音楽との出会い」をもたらす組み合わせである。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

チケットはソールドアウト。会場を埋め尽くした観客とYouTubeでの配信視聴組が待ち受ける中、先にステージに現れたのはSTUTS。指先を巧みに操ってMPC(サンプラー/シーケンサー)でドラムソロを展開すると、そこへサポートメンバーの鍵盤奏者・TAIHEIとホーン・フルート奏者の武嶋聡が加わって「Renaissance Beat」へ。同期を駆使しつつもSTUTS自身が担うビートとTAIHEIと武嶋による上物の生演奏が絡み合い、どこまでが打ち込みでどこからが生音なのか即座には判別できない。というか、そこがまったく気にならないエキサイティングなライブ体験だ。また、ビートを現場で叩くことでもたらされるのは、必ずしもインテンポではない、揺らいだり溜めたり突っ込んだりというニュアンスの表現。特に「Ride」や「Summer Situation」などソウルやR&B、HIP-HOP系の楽曲でのグルーヴ感が非常に心地良いものとなっていた。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

イントロの時点で場内が沸いた「One」でダンサブルな音に乗せ自らラップや歌唱を披露したあとは、ボサ調のフレーズから2ステップのリズムで駆け出す「Come to Me」。武嶋のフルートなどふんわりとした音と硬質なビートが絡まり合って生まれる疾走感がたまらない。クールな演奏姿との落差に驚くほど人柄が前面に出たMCに続いては、Original Loveの田島貴男を呼び込み「Mirage」を演奏した。ドラマ『エルピス』の主題歌としてSTUTSがMirage Collectiveとして発表した原曲ではYONCEが歌うメロディを、「難しいんだよね。たぶん間違えると思いますけどよろしくお願いします」なんて言いながら、コブシの効いたフェイクやスキャットを交えながらど迫力で歌い上げる田島の姿は圧巻の一言。熱気の充満した場内へ向け、さらにドラマ主題歌でお馴染みの「Presence」やスチャダラパー、PUNPEEをフィーチャーした「Pointless 5」、リリース時にここWWWでリリースパーティーをしたという「夜を使いはたして」などを立て続けに披露していく。ラストは「Seasons Pass」の大らかなビートでピースフルな空間を作り出してライブを終えた。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

続いては田島貴男率いるOriginal Love Jazz Trio。バンドだけでなく、弾き語りの域を超えた弾き語りなど様々な形態でライブを行なっている田島が、ハモンドオルガン奏者の河合代介とジャズドラマーの大槻"KALTA"英宣と組んだ、3ピース編成のジャズトリオだ。オルガンのアンビエントな音色に細かなシンバルの刻みと田島によるミュートしたカッティングが合わさり、やがてダイナミックな音塊へと至る冒頭のインストナンバーと、息の合った演奏で変拍子を乗りこなす「空気-抵抗」まで観た時点で気づく。“Jazz Trio”と銘打っているだけあって外殻はジャズのそれで間違いないが、それと同じくらい芯の部分でロックを感じることに。ややサイケなロックンロール調の「悪い種」でみせたキレキレのアンサンブルや、ステージ前端まで出て激しく弾きまくるギターソロなど、単に身を委ねさせ揺らすだけでは終わらせず、ところどころ容赦なく牙を剥いてくる3人。その様子を大歓迎するオーディエンスは曲を追うごとにその熱狂度合いを加速させていく。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

ライブ中盤、田島がしばし一人でギターをつま弾き、スッと場内を静寂が包んだところで歌い出したのは「接吻」だ。ジャズアレンジでゆったりとしたスローバラードといった装いで1コーラス演奏してからテンポアップすれば、場内からは盛大なクラップ。一気に華やいだ雰囲気となった。続く「ソウルがある」は、ブルージーなサウンドをじっくり届けながら、痛烈なメッセージ性を帯びた歌詞とともに次第に白熱していく鬼気迫るボーカルがすさまじく、ブレイクや溜めを視線や呼吸を合わせながらビシッと揃えていく3人のずば抜けた演奏力にも目を奪われた。前半の「空気-抵抗」やこの後に演奏した「侵略」しかり、ポリティカルなところまではっきり踏み込んだ曲が多めだったことは特筆したい。音の面ではあたたかく包容しながら揺らし踊らせるけれど、表現者として言うべきことは言う。田島の矜持を見た思いがする。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

大胆に曲調を変化させながら進行する本編ラストの「冗談」では、間奏でのメンバー紹介を経て田島がジャンプし頭を振りながらひたすら弾きまくる姿に大盛り上がり。これぞライブ現場という興奮と熱量をまざまざと見せつけてのフィニッシュとなった。アンコールではSTUTSとTAIHEI、武嶋も一緒に登場して、しばしトークタイム。普段はフィーチャーしたシンガーやラッパーとライブをすることの多いSTUTSがこの日、自らボーカルを担当していたことについて「どんどん歌ってほしいですね」と田島が言葉を送り、「がんばります!」と少年のように答えるSTUTSがなんとも微笑ましかった。そして6名で最後に演奏したのは往年の名盤『EYES』収録のナンバー「I WISH」。STUTSのMPCと大槻のドラムが生むビートにあわせて田島はハンドマイクで歌い、ゆったりとグルーヴィーなサウンドが会場を包んでいく。観客はみな掲げた手を左右に振ったりクラップしたり。祝福感でいっぱいの幕切れとなった。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

ライブ冒頭に映像でも流れていた「M bit Project」のキャッチコピーは、「生きていく 好きな曲がふえていく」だ。衣食住ではないけれど、音楽は多くの人にとって人生に彩りを与えるもの。新しい音楽との出会いによって新たな景色が見えてくることは間違いなくある。誰でも容易に世界中のどんな音楽も見つけられるようになったわりには、自ら積極的にディグをする人が減りつつある今だからこそ、AIのアルゴリズムによるレコメンドだけでなく生で観て聴いて好きになる場はとても意義深い。大盛況で走り出したこの『M bit Live』は果たして、今後どのような出会いをもたらしてくれるだろうか。あらゆる音楽ファンにとって要注目である。

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

『M bit Live #1 Original Love Jazz Trio × STUTS』

文=風間大洋
撮影=俵 和彦

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