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とっておきのヴィンテージデニム。寺本欣児さん

Dig-it[ディグ・イット]

ファッション界の賢人にも、絶対に手放せない想い入れが詰まったデニムがあるだろう。ヴィンテージコレクターとして知られる寺本欣児にとってのそんな一着は、軍用に作っていないはずのLEVI’Sが手掛けた一枚。非常に希少価値の高いジャケットを特別に見せてもらった。

1933 LEVI’S US Military (Dead Stock)

フロント両胸につけられたスクエアな大型ポケットがデザインの大きな特徴となるユーティリティシャツ。プルオーバー仕様でボタンは黒ラッカーのドーナツボタンを採用した希少な1枚

「LEVI’Sはミリタリーものの納入は請け負っていないはずなんですけどね。1933年ということは戦前ですから、おそらくサンプルとして作られたものだと推測しています。これ以外でこのデニムシャツを見たことないですからね。水を通せばすぐに無くなってしまうようなタグなので、ブランド判別ができないままのコンディションで流通しているのかもしれませんが……」

ヴィンテージコレクターとして名を馳せる寺本欣児氏。米陸軍、米海軍問わず、ミリタリーもののコレクション数も世界屈指と言っても過言ではない。そんな彼が見せてくれた「とっておき」のヴィンテージは、なんとこの世に存在することすら危ぶまれるかつてLEVI’Sが軍のために製作しただろうユーティリティ・プルオーバーシャツだ。

デッドストックであるためタグへの記載でLEVI’Sが手掛けたことが確認できるが、本人曰くLEVI’Sがコントラクターとしてミリタリーウエアを作っていたことはないという。しかし、第2次世界大戦前の1933年の表記があることから、あくまでもサンプルとして生産した可能性は大いにある。もしそうだとしたら、サンフランシスコのLEVI’S本社が手に入れたいミュージアムピース級のお宝ヴィンテージということになるだろう。

裾裏につけられたタグにLEVI’Sの印字がされているユーティリティプルオーバーシャツ。1933年の表記から戦前に作られたもので、当時、軍への納入が正式になされていたかは定かではない

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