「アユ釣りシーズン開幕!」友釣りの基本をおさらい【タックル・仕掛け・ポイント・釣り方】
中部地区では5月11日から、順次各河川が解禁する。解禁直後は混雑することもあるが、釣りやすいので初心者にはうってつけのタイミング。そこで今回は、これからトモ釣りを始めたい人やビギナーに向け、トモ釣りの基礎やタックル選び、釣り方、ポイント選びなどを説明しよう。
アユ釣りシーズン開幕
今年もいよいよアユシーズン突入。トモ釣りファンにとって待ちに待ったシーズンだ。アユはナワバリを持つ。その習性を利用して釣るのがトモ釣りだ。その魅力は、掛かった瞬間のアタリと引きの強さだ。経験した人は、30cmにも満たない魚がこんなに引くのかと驚き、魅了されてしまう。
アユの特徴や習性
アユだけでなく、全ての魚には習性があり特徴がある。例えばアユって何を食べるの?どんな所に潜んでいるの?など。それを詳しく知るとその釣りに生きてくる。
アユは寿命が1年の年魚。産卵期は秋で、川の中下流域で行われる。孵化した稚魚は海や湖に下り、冬の間プランクトンを捕食して成長する。春に10cm前後まで成長し、群れで川を遡上する。
中流域まで遡上したアユはコケを食べるようになり、良質なコケが生える石周りで激しいナワバリ争いをする。やがて秋になると川を下り、産卵してその一生を終える。
トモ釣りとは
アユはナワバリに侵入してきた他のアユに対して、体当たりし攻撃する習性がある。掛けバリを付けたオトリアユを、ナワバリを持つアユの近くに誘導し、攻撃してきたアユを掛けるというのがトモ釣りの仕組みだ。
トモ釣りは循環の釣りと言われる。釣れたアユをオトリにするのだが、釣れたばかりのアユは元気が良く、次の1匹を釣るには最適。オトリをローテーションしていく、循環の釣りなのだ。
タックル
トモ釣りは敷居が高いと感じる人の多くは、アユザオがかなり高価な上、そろえる道具が多いことが理由だろう。サオ以外にタモ、ベスト、ベルト、タイツ、タビ、オトリ缶、引き舟、仕掛けなど。
サオについては、最初は知人のお下がりを使ったり、中古品を探すのもあり。仕掛けも市販品でOK。完成度の高い製品が豊富にそろっている。
サオはトモ釣りに一番欠かせないアイテム。選ぶ基準は次の通り。一日中サオを持つ釣りなので、重量は欠かせない要素。負担やストレスなく楽しめるサオが良い。
入門者にオススメは、8~8.5m。短ザオの方が軽く感度があり、オトリ操作もしやすい。調子はメーカーによって多様だが、オールラウンドのものを選ぼう。がまかつであれば、表示で早瀬~急瀬クラスの8.5mで、重さ220g前後。私のオススメは、がま鮎シューティングスペシャル85、がま競技GTI引抜早瀬85。
タモは釣ったアユを取り込んだりオトリにハナカンをセットしたり、仕掛けをセットする際に使う。アユタイツは川に立ち込むことが多いので、できるだけ水の抵抗を受けにくい肌に密着した専用のタイツを選ぼう。
アユタビは底がフェルトになっていて、コケの生えている石でも滑りにくい。川の中を歩くので足の大きさに合った履きやすいものを選ぼう。ベストはトモ釣り専用のベストがオススメ。
アユベルトはタモを差したり、引き舟のヒモを左岸右岸の流れによって左右のDカンにつないでおくためのベルト。引き舟はアユベルトに付け、水中に入れてオトリを生かしておく。陸上でも短距離の移動なら持ち上げてオトリを運べる。
オトリ缶は、購入したオトリアユや釣った野アユを釣り場まで運搬する箱。移動中にオトリを弱らせないために、エアポンプが付いている。
その他に帽子や偏光グラス、クーラーボックスなど。おおよそこれをそろえれば万全だ。
仕掛け
仕掛けは大まかに説明するとサオ先から天上イト、水中イト、ハナカン周り、掛けバリに分かれる。自作することで仕掛けに詳しくなり、仕掛けを作る楽しさを学べるのだが、最初はトモ釣りの楽しさを知って次の楽しみとして自作仕掛けに挑戦すれば良いと思う。
入門にオススメなのがサオ先からハナカン、逆バリまでセットされた市販パーフェクト仕掛け。これに掛けバリをセットするだけだ。仕掛けの全長はサオの長さに合わせて、天上イトで調整する。
掛けバリの種類は、迷うほど多い。ハリは大きく分けて3本イカリと4本イカリ、ハリ先がシワリタイプとストレートタイプがある。シワリは掛かりは遅いがバレにくい。ストレートは掛かりは早いがバレやすい。
3本イカリはキープ力に優れ、4本イカリは掛かりの早さに優れる。選択は好みで良い。私は3本イカリを使うことが多い。初心者には早掛けタイプより、バレにくいキープ力のあるハリがオススメ。やはり難しいのは、掛けた後の取り込み。ここで確実に取り込み、オトリ循環させないとその日の釣りが成り立たなくなってしまう。
私のオススメはがまかつT1要R6.5~8.5号、がまかつT1刻R6.5~7.5号。
トモ釣りの流れ
釣行河川を決めたら川へ行き、オトリと遊漁券を購入。アユ釣りをする場合、必ず遊漁券が必要だ。漁協や釣具店、オトリ店で販売している。日券、年券があり、よく通う川なら年券がお得だ。
オトリ購入は2~3匹が一般的だが、最初は4~5匹購入した方が安心だ。その際に釣れている場所やサイズ、当日の状況を聞いておこう。
オトリ缶にオトリを入れたらいよいよ釣り場にGO。川に降りる前に橋の上や土手など高い場所から川の様子を見よう。じっくり観察して野アユが確認できれば、そのポイントを狙ってもいい。
ポイント
トモ釣りのポイントを紹介しよう。
平瀬、背開き
ほどよい流れで水深もヒザぐらいから腰の高さぐらい。最初のオトリ交換にベストで、流れが緩くオトリも弱りにくい。
早瀬
流れが比較的速いエリア。水深は平瀬と同じぐらいだが、オトリを安定させるのが難しく最初のオトリ交換は難しい。
急瀬
初心者には不向きだが真夏には大型のアユが着きやすい。水深が腰ぐらいから胸ぐらいまでで、流れがかなり強い。オトリを沈めにくいという点はあるが、背バリやオモリを使って攻略する。
チャラ瀬
水深が浅い瀬。全体的に膝ぐらいの高さまでの水深で、天然遡上河川はアユが濃い。真夏の8月ともなれば小型アユの入れ掛かりも期待できる。
トロ場
流れが緩やかで変化がなく、どこを釣って良いか分かりにくい。少しでも変化のある所を釣ると良いだろう。
まずはオトリを引き舟へ移す
釣り場に着いたら、すぐ川に降りられる所なら準備前にオトリ缶を水に浸けよう。流れが緩やかで浅く、平らな所に流されないようにオトリ缶の上に石を置く。
沈めておいたオトリ缶から引き舟へアユを移す。オトリアユはいったんタモに全部出してから、1匹ずつ引き舟に入れる。最初にオトリ交換できそうなポイントが決まったら、いよいよ仕掛けをセットする。
仕掛けをセット
天上イトを出して穂先にセットしたら、穂先から順にサオを伸ばす。サオの長さに合わせて遊動天上イトで仕掛けの長さ調整し、オトリの大きさに合わせて遊動ハナカンの長さを調整する。逆バリに掛けバリをセットしたら完成。
ここで注意。仕掛けやオトリをセットする際はサオを地面に置かず、サオ尻をヒジの下に入れてかついで作業をする。さまざまな場面で使うトモ釣りの基本なので、必ず覚えておこう。
オトリをセット
次はオトリの付け方。最初は引き舟からタモにオトリを全部入れ、元気なオトリを1匹選ぶ。オトリのつかみ方は親指と人差し指で目を隠し、中指と薬指でオトリを軽く包み込む。あまり強く握ると弱ってしまう。
ハナカンは必ずタモの中で通し、尻ビレの付け根に逆バリを刺す。その際に掛けバリが尾ビレの1~2cm後ろになるようにする。これでいよいよ釣り開始だ。
釣り方は2種類
トモ釣りの釣り方は、大きく分けて泳がせ釣りと引き釣りがある。泳がせ釣りはオトリ任せで、流れの緩いポイントに適している。引き釣りは流れの速い場所に有効だ。平瀬や瀬の開きなら引き泳がせ釣りが良い。
サオを寝かせ、穂先はやや上流に向ける。オトリの動きに合わせて張らず緩めずか少し緩め気味でサオを動かし、オトリが止まったらサオで軽く引いて上げる。目印の位置はサオの2節目に一番下の目印を合わせる。
オトリをポイントへ誘導したら、まずオトリが弱らないように心がけよう。イトを張りすぎると弱りやすいし、緩めすぎるとアタリが取りにくい。オトリを弱らせず泳がせられるようになったら、次は順にポイントを探る。オトリをいろいろなポイントへ泳がせたり自分の立ち位置を変えたりして探ると、野アユに出会える確率が上がる。
取り込みは落ち着いて
初心者の最難関が、やはり取り込みだ。初心者は掛かった瞬間に無理に引き抜いたり、のされて下ザオの状態から引き抜き早いライナーで掛かりアユが飛んで来てよく失敗する。
アユが掛かったらしっかりサオを絞り、落ち着いてゆっくりとオトリと掛かりアユを寄せるか、自分が少し下がってアユが真上にくるように立てて引き抜いた方がフワッと引き抜ける。慣れるまでは、ヘチへ寄せてから引き抜くと良い。
アユは食べてもおいしい。今回の特集を参考にしてトモ釣りを楽しんでもらえたら幸いだ。
<週刊つりニュース中部版 渡邉敦/TSURINEWS編>