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あ~よく寝た!は、気のせい!?

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先月、睡眠に関して、ちょっとびっくりする研究結果が発表されました。その内容は、一言で言うと、『睡眠に関しては、自覚は当てにならない』というものなのですが、いったいどういうことなのか。

「充分寝た」と言っている人の45%が睡眠不足!?

この研究結果を発表した、筑波大学の柳沢正史教授にお話を伺いました。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長 柳沢正史教授

「三つくらい重要な結論が出たんですけど、一つは、いわゆる睡眠不足かそうでないかというお話。自分は十分に眠っていると言っている方の内の45%が、客観的に言うともうちょっと眠った方がいいですよ、どう見ても睡眠不足でしょっていう結論だったんですね。それが第一。

第二が逆に、いわゆる不眠の訴えですね。不眠っていうのは睡眠不足とは全然違っていて、時間はきちんと確保して眠ろうとしてるんだけど、思うように眠れないというのが不眠ですね。なかなか寝付けない入眠障害、ないしは中途覚醒、睡眠の維持が出来ない、そういう不眠の訴えのある方の中で、なんと66%、三分の二が客観的なデータを見る限り不眠の兆候が無い、というのが結論です。

三つ目に関しては、自覚的には、自分は睡眠の質は悪くないですって言ってる人の、なんと40%に睡眠時無呼吸の疑いがあったというのが三つ目の結論です。」

充分寝た!と言っている人の45%が睡眠不足?!これは結構衝撃的な数字です。

柳沢先生が会長を務めているスタートアップ企業「S’IMIN」が、自宅で睡眠時の脳波や血中の酸素濃度を計測できる機器を開発し、これを使ってデータを集めました。(「インソムノグラフ」という機器です。インターネットで購入して、計測して分析を受けられる形です。)

睡眠障害の診断を受けていない日本人421人の、合計1490晩分のデータと、本人に記入してもらった質問票を分析したところ、充分寝たと言ってるが、脳波や血中酸素濃度は覚醒状態だった、本人の感じ方と客観的なデータは合っていなかった、ということなのです。

同様に、不眠に関しても、客観的にはスヤスヤ寝ているにもかかわらず、その時間帯に眠れなかったと訴える睡眠誤認の被験者の方が66%もいましたし、睡眠の質は悪くないと自覚している人の40%が軽症・中等症以上の睡眠時無呼吸の疑いがありました。中等症以上、というのは、きちんと治療を考えた方が良いレベルなのですが、それに絞っても16%いました。

みなさん、昨晩はよく眠れましたか?

では、実際、街のみなさんは、自分の睡眠時間や睡眠の質をどう自覚しているのか。祝日の昨日、「昨晩はよく眠れましたか?」と聞いてみました。

・「よく眠れた。夜中に起きないこと、あと睡眠時間が6~7時間取れたこと。昨日はバッチリですね。

・「6時間くらいですね。年取ってきたから3時間くらいに一回は目覚めるっていうくらいで。うん、まあでも、あんまり寝ててもだるくなってくるんで、そんなもんすね。」

・「子供が起きるから寝れなかったですね。寝つきが悪いですね、ずっとスマホ見てたりするんで。一時間くらいポチポチしてて気づいたら寝落ちしてるみたいな感じです。」

・「え~10時くらいには寝てるんで、9時間くらいは。久しぶりになんかしっかり寝たなって感じですね。結構もともとロングスリーパーの方なんで、平日は全然足りてない。」

・「昨晩はまあまあ寝れたと思います。起きた時にあんまり動いてなかった。だから寝返りが少なかったんじゃないかな。いつもオレだいたい横向いて寝てるので、けどおんなじ方向で起きたので。寝覚めも良かったですし、だからよく寝れたんじゃないかなと。そうっすね、あ、なんかしっかり寝たなみたいな、スッキリしてるなって感じです。」

祝日でしたから、平日の睡眠不足を解消すべく、たっぷり眠れた、よく寝たよ、という方が多かったです。

そしてその「よく寝た」の判断は、睡眠時間の長さや、起きた時の寝姿勢、朝のスッキリ具合などなど。私も、そうやって自分がよく寝られたかどうかを判断しています。

自覚も大事。でも、一度は客観的計測を!

でもこれ、当てにならないんですよね・・・。なんだか不安になってきました、と柳沢先生に正直に伝えてみました。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長 柳沢正史教授

「ご自身で主観的に感じている、睡眠の休養感とか熟眠感とかそういうのが意味がないと言ってるわけではなくて、それはそれでもちろん大事なんですけども、だけどそれと客観的な睡眠の状態というのは、しばしば乖離してますね、だからやっぱり一度はご自身の睡眠を見える化してみた方がいいですよっていうのも、この論文のメッセージの一つですね。

当てにならないっていうことを知るだけでも、それから自分の睡眠の質や量っていうのは客観的にはこうだったって知るだけでも、必然的にやっぱり睡眠行動、睡眠をより、今までより大切に思うでしょうし、睡眠良くなる方が多いですよね。だからやっぱり知ることは睡眠改善の第一歩であると。

健康診断とか、眼医者・歯医者行くのと同じような、歯茎の掃除行くのと同じような感覚で(笑)、時々一年に一回でもいいから測ってみるとか、そういう世の中になるといいですね。」

睡眠は、私たちの健康にすごく大事なのものですが、意外と自分自身では、科学的に客観的に知っていなかったんですね。

ちなみに、なぜ、自覚と客観的な計測結果が乖離してしまうか、そのメカニズムはまだ分かっていないそうです。不思議ですね。

ただ、乖離があることはハッキリ分かりましたし、柳沢先生たちが作った自宅で睡眠を計測できるキットなど、睡眠を測るハードルは少しずつ下がってきているので、ぜひ、と。

(おでこと両耳の後ろに、シール電極を貼って、脳波を測ります。 写真はすべて柳沢先生提供)

(計測結果イメージ:良い睡眠の場合 こうした計測結果と専門家の分析を受け取れます。)

(計測結果イメージ:睡眠時無呼吸疑い)

また、これは、私たちがびっくりした!というばかりでなく、柳沢先生のお話によれば、不眠症の診断や治療の場面でも、「思うように眠れない」「昼間に眠い、元気がないなど障害が伴う」「その症状が慢性的に続いている」と、全て患者さんの訴えで行われていて、客観的な睡眠測定は一切出てこない、という現実があるので、こうした病気の診断や治療にも、活かしていけるのではないか、と話していました。

今までは無かった、自分の睡眠の客観的な把握。これから一般的になるかもしれないですね。

みなさんは、昨夜はよく眠れましたか!?

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:近堂かおり)

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