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担々麺がうまい稲荷町『一番太鼓』は、店主の趣味がギュッと詰まった名物スポット!

さんたつ

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店名の『一番太鼓』とは、落語で開場と同時に叩かれる別名「入れ込み太鼓」のこと。その名の通り、店には落語のポスターが天井にまで貼られている。店主の福永さんは落語好きが高じて、演芸場に近いこの稲荷町で店を開いたほど。

一番太鼓( いちばんだいこ)

落語に競馬、ストリップ……趣味が渋滞する店

奥の小上がりを高座にして「稲荷町駅前寄席」が時々開かれる。

地下鉄稲荷町駅からすぐ、店構えは一見普通の居酒屋風。でも店内に一歩入ると、そこらじゅうに貼られた落語のポスターに驚かされる。小上がりの壁にも独特の筆文字で書かれた落語家の名前。店主の福永一郎さんは無類の落語好きで、開業にあたって上野の『鈴本演芸場』と『浅草演芸ホール』が近いこの場所を選んだ。小上がりは高座になっていて、ここで落語会も開いている。

2021年に開かれた「稲荷町駅前寄席」のポスター。
寄席紙切芸の第一人者、林家正楽さんの寄席太鼓と宝船の切り絵。

「生まれは埼玉なので浅草にはゆかりはないんですが、30代の頃、親父と見にいった寄席が面白くてね、店を出すならここでやりたいと思いました。落語ファンは全国にいて、わざわざ落語を聞くために都内の寄席に来るんです。今では全国、いろいろなところに友達ができました。開業したのは2012年なので、もう12年目になります」と福永さんは笑う。

笑顔がまぶしい店主の福永一郎さん。
『浅草ロック座』の手ぬぐいも。

店内には『浅草ロック座』の踊り子さんたちの名前が入った手ぬぐいが飾られていた。『浅草ロック座』は昭和30年頃に最盛期を迎えた歓楽街・浅草六区に誕生したストリップ劇場。現存するストリップ劇場としては最古参にして最大手だ。

取材時に福永さんが着ていたTシャツも、『ロック座』のストリッパーALLIY(アリー)さんのデビュー10周年記念Tシャツとのこと。踊り子さんのファンが有志で作ったグッズだそう。「2024年9月で11周年です。おめでとうございます」と福永さん。

ウォッカにゴールドシップ、ファレノプシスとすべて馬の名前。その下には、競馬馬の名前が入ったカップ酒の空き瓶がずらり。 「ストリップも競馬も好きなんですよ」と福永さん。
2022年に行われたお笑いイベントでは、8組もの芸人が2日間のフェスを盛り上げた。

スープまで飲み干せるあっさり坦々麺

ランチの坦々麺は850円。

さて、ランチの一押しは坦々麺。ゴマをペースト状にするところから手作りしているので、ゴマの風味とコクが格別だ。スパイスが効いているものの辛すぎず、油も多すぎないのでスープまで飲み干せる。程よい酸味も感じられるあっさり味の坦々麺。麺は柔らかめの細麺。ラーメン店の坦々麺というよりは本格中華の一品だ。

麺がなくなったらライス(ランチは無料でサービス)を追加して、スープや肉と一緒に食べてもおいしい。

実は『四川飯店』出身。中華の味は本格派

厨房で手際よく鍋を振る福永さん。
ランチの麻婆豆腐960円。これにライスと小鉢とスープ、ザーサイがつく。

実は福永さんは中華の鉄人・陳建一氏の直営店で腕を振るっていた中華の料理人。麻婆豆腐は、陳建一氏直伝の一品だ。四川の調味料にこだわり、豆板醤の風味とラー油の辛さが効いている爽やかな後味。激辛ではないので食べやすい。痺れる辛さや香りを追加したい時は、テーブル上の調味料、花山椒や青山椒をかけてみるのもおすすめ。

信条は「基本には忠実に、アレンジは大胆に。丁寧に作る」。スタッフと一緒になって作りあげる料理は、新しいメニューが登場することもあるそう。

現在(2024年9月)は、ランチ時のスタッフが不足しているので、日によって営業時間やランチメニューの変更があるとのこと。公式X(旧Twitter)を確認してから訪ねたい。

店内は小上がり席含め20席ほど。

一番太鼓( いちばんだいこ)
住所:東京都台東区東上野6-2-7 /営業時間:11:15〜14:00LO・18:00~22:00LO/定休日:日・不定/アクセス:地下鉄銀座線稲荷町駅から徒歩1分

取材・⽂・撮影=新井鏡子 構成=アド・グリーン

アド・グリーン
編集プロダクション
1982年創業の編集プロダクション。旅行関係の雑誌・書籍、インタビューやルポルタージュを得意とし、会社案内や社内報の経験も多数。企画立案から、取材・執筆、デザイン、撮影までをワンストップで行えるのがウリ。

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