airattic[ライブレポート]バンドセットで轟かせた圧巻のパフォーマンス
airatticが、3月24日(月)に渋谷CLUB QUATTROにて<3rd Anniversary ONEMAN「airattic.tokyo20250324」>を開催した。
2022年のデビューから3年、オルタナティブギターロックアイドルとして国内外でその存在感を強めてきた彼女たち。バンドセットで臨んだこの夜は、新たに黒とグレーを基調とした衣装をまとい、これまでの白衣装から一新された姿で、グループの成熟と進化を示すステージとなった。
本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。
開演を告げるSE「air」から「#343」、「invisible」と続く。この流れは3年前のデビューライブの冒頭と同じだ。次に響いたのは、airatticのライブに欠かせない存在となった「閃光」。観客がギターリフを大合唱し、キメフレーズ《閃光信号》を一斉に叫ぶ光景は、この3年で彼女たちとファンがともに育んできたものだ。
「レイニータクシー」「オイルド・クラーケン」と重厚なバンドサウンドで攻めた後、メンバーからの挨拶も束の間、そのままライブは加速を続ける。MC後の「mixjuice」からは「plastic dada」「フリッカーズ・ハイ」とダンサブルな楽曲が畳みかけるように続く。
ステージとフロアの熱が高まったところで、空気は一変する。「シングルライダー」「夏の終わりのアパートメント」「フィルムリールを回して」と続き、airatticがコンセプトとして掲げてきた“モラトリアム”な世界観をじっくりと叙情的に描き出す時間帯へ。疾走感ある前半とは異なる、内省的で淡い感情の輪郭が際立つ。
後半に差しかかったところで、ステージはMCに入り1度落ち着きを見せる。メンバーたちが今に至るまでを振り返る中で、桜木穂乃花が声出し解禁など変化の大きな3年間であったことや誰一人欠けることなくメンバー5人で続けられたことに触れつつ、“今は可愛くてハッピーなアイドルが売れているのに「可愛いは正義じゃない(plastic dada) 」と大声で歌うアイドルは、airatticだけなんじゃないかなって昨日の夜勝手に思ってて(笑)。幸せなことがいっぱいだったらいいけど、普通に生きていたら不安や焦り、後悔もあると思う。そういう感情に寄り添った曲があるのがairatticのよさで私の好きなところでもある。そんなマイナスな感情も包み込んで背中を押せたり、希望になれる曲をこの場所で歌っていきたい”と語る。
その流れを受けて披露されたのが、この日初披露となった新曲「フルメタル・アティチュード」。タイトなビートと鋭利なギターが絡み合うロックナンバーは、airatticの現在地点を強く印象づけた。
そこから「ディストーション」「サーチライト」と続き、観客の熱量はさらに高まっていく。「サーチライト」前のコール&レスポンスでは、メンバーとフロアが一体となり、渋谷CLUB QUATTROの空間を震わせた。
終盤、観客を待っていたのは「環状線チルドレン」。デビュー当時からグループのアンセムとして在り続けたこの楽曲は、この日も熱狂の中で披露された。そしてこの場面で、airatticのメインソングライターでありギタリストとして参加している林直大がステージ前方に現れ、ギターソロでフロアを沸かせる。それに応えるように、メンバーやフロアの熱狂はさらに加速し、バンドとアイドルの垣根を越える彼女たちだからこそ描ける最高の光景がそこに広がっていた。
その後は「屋根裏から愛を込めて」でエモーショナルなロックサウンドが胸を打ち、ラストは「灰色の街について」。荘厳で美しいバラードが静かに響き渡り、本編を優しく締めくくった。
アンコールでは、MCで「フルメタル・アティチュード」がヒトリエのシノダ提供曲であることが発表され、観客からはどよめきが広がる。ラストはONIGAWARA提供の「プラネット」、そして爆発的な勢いの「檸檬」でこの夜の熱量を最後まで押し上げた。
今年は台北・ソウルでの海外公演や東名阪ツアーを経て恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを控えるairattic。3周年の節目を越え、彼女たちはさらなる高みを見据えている。