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唯一無二の馬券師・弥永明郎『伝授』第4回 個人的に「馬券を儲ける」にはここしかないと思っている条件を伝授

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唯一無二の馬券師・弥永明郎『伝授』第4回 個人的に「馬券を儲ける」にはここしかないと思っている条件を伝授

さて、今回はパドックから読み取れる新馬戦の見立て方を中心に書いていきたい。

まず俺は新馬戦で近くに行って見たい馬がいる時は、記者席からパドックまで下りて行く。馬の馬体をチェックするなら正直テレビ画面の方が良くわかるし、パドックが混んでいて見る場所がコーナーになってしまったりすると馬体を把握しづらい。
だけど、近くに行って実際に見てみるとテレビで見るのとは気配が違う。なので、目当ての馬がどんな雰囲気かを知るためにパドックに行く。

パドックで馬の一生をイメージする
俺はパドックで馬を見て、その馬の一生を勝手に決める。この馬は“一生未勝利で終わりそうだな”、“1つは勝てそうだな”、“条件が合えば上のクラスまで行ける”とか、“これは本物だな”といった具合にね。それを新聞の印とは関係なく見て、見た目は悪くないのに「意外と人気がないじゃん」という馬の馬券を買う。
逆に人気でも、俺には全く良く見えなくて「こんな馬が1番人気かよ」というパターンもたくさんある。

また、芝のマイルの新馬戦を使ってきたけど、“この馬の適性はマイルじゃない、次に別の条件を使ってきたら狙ってみたいな”とか思うことも少なくない。そういう馬は2戦目、3戦目でイメージ通りの条件を使ってきた時が一番面白い。

どの馬が垢抜けているかというのは人それぞれの感性なので、自分の感覚でパドックを見て結論を出せばいいだけ。難しく考えることはない。

牡馬は見た目で嘘をつかない、牝馬はその限りではない
牡馬は見た目で嘘をつかない。これはどういうことかというと、見た目が不格好な牡馬は走らない。見た目が良い馬は走るという単純なこと。
まあ、6~7割の馬が不格好だと思っているので、そういう馬同士の組み合わせでなら1つや2つ勝つことはあるけど、それ以上には行けない。例えるなら育成枠でプロ野球選手にはなれたものの、ずっと1軍には行けない選手といった感じだよ。

だけど、牝馬の場合は一概には判断できない。牝馬は“見た目が良くないなぁ、馬体がブスだなぁ”と思っていても、ある程度は名を残す馬になったりする。
これは気性の問題なんだと思う。牝馬は気性が強い馬が少なくないので、馬体の見た目が良くなくても一生懸命に競馬で走れば結果を出せる。
勝ち時計だって未勝利とOP馬ではさすが違うけど、クラスが一つ上がってもそこまで何秒も差があるわけじゃないから一生懸命に走れば差はない。

長距離馬・短距離馬を馬体で見分けるには?
一般的に背中が長いのが長距離馬というけど、それは根本的に間違っている。
背が長かったら、そもそも走らない。背が長すぎてはエンジンを伝えられなくて、馬としての作りが悪いということだからね。
一方、お腹側が長いのはゆとりがあるから良い。だから長距離馬の見極めは背中じゃなくて、お腹の長さで見ることが重要。
もちろん例外もいる。心肺機能がズバ抜けていれば走る場合もある。最近では背が長くて走ったサトノダイヤモンドは異質だった。

短距離馬に関しては、胴のサイズが詰まっている馬という認識で問題ない。
ただし距離の見極めは、レースを見ないことにはパドックの体型だけでは一概には言えない。しかもレースを見ていると明らかに能力が足りなくて負けているのに、“距離が長くて止まった”と平気で距離のせいにしたりしている解説者もいる。
距離が合わなくて止まったとして、能力があれば最後に距離で止まったなというレベルでしか負けない。それが4馬身も5馬身も負けて距離が合わなかったから負けたというのは、それは能力がなくて負けただけ。そういう馬は距離を変えたところで、多少のレベルアップはあるにしても勝ち負けするのは難しい。
明らか距離で負けたというのはレースを見ていればわかるのに、全部一緒くたにしてしまう場合が多いので、惑わされないように気を付けていただきたい。

俺流の具体的な馬券の組み立て方
俺は馬券を消去法で組み立てることが多く、仮に12頭立ての新馬戦だったとしたら、まず買いたくないなという馬をパドックで7頭くらい消す。残りの5頭に圧倒的な1番人気がいて、人気ほどその馬が抜けているわけじゃないと思えば、その馬を外して残りの4頭で買う。

今回は新馬戦というくくりで書いているけど、実際に馬券を買う割合としては、新馬戦より未勝利の方が多いかな。まあ、レース数自体の差もあるが。
芝の1400mでデビューしたけど、“絶対ダートの1200mだよな”と思う馬がいたとしたら、今回負けても次は狙おうという気になる。仮にそのことにみんなが気が付けば、1番人気・2番人気になるけど、新馬戦の成績が8着とか10着とかだとそこまで人気にはなることはほとんどない。そうすると配当が良い。個人的に馬券を儲けるのはそこしかないと思っているし、それが楽しい。
人気の盲点になりやすく、配当の妙味があるのが新馬戦や未勝利戦の魅力なので、読者の皆さんも楽しんで、そしてできれば儲けていただければと思う。

弥永 明郎


(やなが・あきお)

唯一無二の馬券師。デイリースポーツ「馬サブロー」の美浦取材班・看板記者。グリーンチャンネル中央競馬中継のパドック解説でもお馴染み。狙った穴馬は決して逃さない「競馬界のゴルゴ13」。業界歴は長く、騎手、厩舎関係者、馬主など人脈も幅広い。

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