「白塗りをしない芸妓」が実は欠かせない… 縁の下の力持ちを、札幌の芸妓が紹介【さっぽろ芸妓日記vol.32】
札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。 「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。
しかし北海道にも開拓期から道内各地に花柳界がございました。
現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には11名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。
連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします!
芸妓は2種類に分かれる
芸妓(芸者)は、2種類に分かれます。
私のように、踊り専門の立方(たちかた)と、唄や三味線などの演奏を専門とする地方(じかた)です。
今回は“地方さん”について掘り下げていきたいと思います。
街によっては、立方と地方を兼任する芸妓さんがいらっしゃるところもあります。
札幌は厳密な決まりはないものの、やはり立方・地方ではっきりと担当が分かれているほうだと思います。
ちなみに札幌には、芸者衆 11名のうち、地方のお姐さんが5名いらっしゃいます。
お唄専門のお姐さんもいらっしゃいますし(唄い屋さんと呼んだりもします)、唄いながらお三味線を弾く、“弾き唄い”をされるお姐さんもおり、様々です。## どうやって地方になる?
大まかに、2つのルートがあります。
若い頃は立方(踊り)をやって、その後に地方(演奏)になるパターン。
または、最初から地方スタートのパターン。
実は私も、お三味線を弾く姿に憧れて、最初は地方さん志望でこの世界に入門しました。
“若いうちは立方をやってほしい”という置屋のお母さんの想いのもと、いまは立方をやらせていただいております。
いずれにせよ、日本舞踊もお三味線も全くの未経験で飛び込んだので、結構無謀な挑戦だったなといまでも思います。笑
地方さんは白塗りをしません!
札幌の地方さんに共通して言えることは、「白塗りをしない」ということです。
街によっては白塗り姿で地方さんをされるところもあるそうです。
土地ごとに微妙な違いがあって、おもしろいですよね。
札幌の場合は、白塗り姿の芸者は立方、素顔(洋髪を結っている)の芸者は地方、といった風に、見た目で区別しやすいかもしれませんね。
「芸妓さんは何名から呼べますか?」
「芸妓さんは何名から呼べますか?」というお問合せをよくいただきます。
もし踊りをご覧になりたい場合は、最低、地方(弾き歌い)1人+立方1人の、2名からですとご案内させていただいております。
お座敷のスペースが狭い場合や、まずは気軽に楽しみたい!といった場合は、この組み合わせが多いかもしれません。
反対に、お客様の多い大きめのお座敷やイベントの場合は、唄と三味線でそれぞれ1人ずつ地方さんを呼んでいただくことが多いです。
このように立方・地方の配分はお座敷の規模によって変わっていきますし、そちらについてはお客様とご相談させていただきながら決めていきます。
ときどき、立方がひとりでCD音源で踊らせていただくこともあるのですが、やはり生演奏のほうがより雰囲気をお楽しみいただけますので、地方さんも呼んでいただくことをおすすめしますね。
地方さんは「縁の下の力持ち」という表現をよくされますが、本当にその通りで、やはり地方さんの演奏がなければ立方は踊れません。
お座敷には、必要不可欠の存在なのです。
もし私たちの演舞をご覧いただける機会がございましたら、是非、地方のお姐さんの演奏にも注目してみてくださいね!(すごくかっこいいですよ…!)
お知らせ~中島公園紅葉ライトアップ/芸妓CAFE
さて、去年も大好評で幕をおろしました、秋のイベントのお知らせです。
今年はなんと、さっぽろ芸妓がカフェをやっちゃいます!
中島公園紅葉ライトアップ/芸妓CAFE
日程 2025年10月24日(金)~11月3日(月・祝)
場所 豊平館 広間(札幌市中央区の中島公園内)
時間 午後6時~8時半(ラストオーダー午後8時半)
詳細はホームページからご確認ください。
札幌の中島公園での紅葉ライトアップにあわせて、「芸妓CAFE」を開きます。
上記の日程の内、10月24、25、31日と11月1、2日は演舞もございます。
(もちろん、地方さんもいらっしゃいますよ!)
芸者衆はお当番制です。誰が来るかは当日のお楽しみに!
芸妓CAFEのほかにも、見どころが盛りだくさんのイベントです。
ぜひ、札幌の秋を一緒に楽しみましょう!
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連載「さっぽろ芸妓日記」
文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:Sitakke編集部IKU
<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。
※掲載の内容は記事執筆時(2025年10月)の情報に基づきます