【記者ノート】「poco a pocoふれんず」山岸代表、生きづらさを抱える若者たちの「居場所」と「働く一歩を」提供し、彼らの社会参加支援に挑む
「poco a pocoふれんず」の山岸恵美代表
山岸代表自身ひきこもり経験で若者達支える
糸魚川を拠点に活動する「poco a pocoふれんず」は、不登校やひきこもり、発達特性など、制度の狭間に置かれた生きづらさを抱える若者たちに、安心して過ごせる「居場所」を提供しながら、社会参加を積み重ね、就労へとつなぐ活動を行っている。代表を務める山岸氏は20年以上にわたり、障害者福祉の現場に携わり、若者たちが社会とつながる第一歩を支え続けている。その山岸恵美代表自身もひきこもり経験があり、「ありのままの自分を温かく受け入れてくれる居場所があったからこそ、一歩踏み出すことができた」と自身の過去を振り返った。
サポート体制の「poco a pocoふれんず」立上げ
5年前、地元・糸魚川で生きづらさを抱える若者やその家族と向き合う中で、見通しが持てるサポート体制が十分整っていない現状を痛感、支援の必要性を強く感じ、ひきこもり当事者の家族を対象とした家族会「こもりびとポコあポコ」を民間団体として設立した。その活動を通じて、当事者である若者たちが少しずつ家から一歩踏み出すようになり、その流れから昨年12月、新たに「poco a pocoふれんず」を立ち上げた。同代表は「現在は、地元の理解と協力の輪を広げながら、若者たちが自分のペースで社会とつながるための活動を続けることができるようになった」と嬉しそうに語る。
秘められた能力の発揮、仲間との関りで自信も温かい“居場所”から就労の道へ意欲を燃やす
クラウドファンディングで施設・活動支援への資金支援へのPRのためのミーティング
株式会社With You(就労継続支援A型事業所)サテライトオフィス糸魚川の様子
施設スタッフのエクセル資格の成績表。秘められた能力は高い
同団体は、障がい者就労支援事業を行う株式会社With You(本社・柏崎市)の協力のもと、糸魚川で就労継続支援多機能型(A型・B型)J With Youサテライトオフィスとして就労支援を展開する。地元企業の製造業や県外企業のデータ入力業務を地元企業を通じ、取組んでいる。同代表は「1人で集中して取組める作業に特化しているため、秘められた能力が発揮され、一人ひとりの自尊心が高まっている。同時に関わる若者たちは、作業だけはなく仲間との関りの中で少しずつ自信も取り戻している」と若者たちの変化にも期待する。ここに通うある女性(18)は「以前は普通高校に通っていたけど馴染めず、通信制高校に転入した。アルバイトも長く続けられなかったけれど、ここに通ううちに、“自分の居場所”を見つけられた」と正直に語ってくれ、別の男性(24)も「先輩の姿を見て、自分もパソコン入力の仕事ができるようにないたい」と働く意欲を話していた。
クラウドファンディングで活動継続支援に100万円
就労支援の活動を支える資金は決して潤沢ではない。現在はクラウドファンディングを活用し、活動の継続に必要な資金100万!を募っている。同代表は「支援をお願いするのは簡単ではないけれど、若者たち自身がポスターやチラシを考えたり、言葉を出し合ったりして“自分たちの想いを届けたい”と動き始めている。取材に伺った日、「poco a pocoふれんず」のミーティング中であり、ふれんずの仲間たちは「チラシには活動写真を入れた方がいい」「問い合わせ先も入れたりして、もっともっと自分たちのことを知ってもらおう」といった様々なアイデアを話し合っていた。若者たちもクラウドファンディングを受けるには大変であることを十分知っている。
サテライトでなく糸魚川独自事業所で再出発
「J With Youサテライトオフィス」は今後、㈱With Youグループの協力下で、糸魚川独自の就労継続支援多機能型(A型・B型)として来年に向けて再出発を予定している。なお一層山岸代表が名実ともに代表としての存在感が増すことにもなる。「関わる若者が増えているので、今の場所も手狭になるかも知れません。それでも一人ひとりが自分らしく地域の中で生活を営み、働ける環境を守りたい」と新たな一歩を見据える山岸代表だ。
竜哲樹(にいがた経済新聞社顧問)
昭和25年新潟県上越市吉川区生まれ、新潟県立高田高等学校卒業。昭和48年3月富山大学文理学部卒業(教員免許取得)。元産経新聞社記者、元上越市議会議員。にいがた経済新聞社顧問。
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