「いつ帰ってくるかわからない…」不確実さが招く不自由
こんにちは! 家事シェア研究家の三木です。 先日、ある新米パパさんから「妻に予定を聞かれるのが面倒で。自分の予定を管理されるのは嫌なんですよね」という話を聞きました。この気持ち、わからなくもないです。でも、ちょっと待って。その考えが、パートナーの自由をどれだけ奪っているか、考えたことはありますか?
「いつ帰ってくるかわからない」が生む不自由
いつ帰ってくるかわからない夫。
妻は、こう思います。
「夕飯、用意する? しない?」
「一緒に食べられる? 食べられない?」
「今日は子どもと二人? 三人?」
すべてが、不確定。予定が立てられない。一人でいる時間も作れない。友達とも約束できない。
じつは僕も妻に対してモヤモヤしていたことがありました。(わが家は僕が食事を作ります)
「今日は帰るのが遅くなるから、夕飯いらない」
そう言われたときにハッとしたのです。 「君は『夕飯いらない』と言えば、それが家のことをやらなくていい免罪符みたいになるけど、僕にはその免罪符はない」と。
それって、実は「軟禁」と同じかもしれない
「管理されるのは嫌」という気持ちはわかります。自由でいたい。縛られたくない。
でも、あなたが自由に過ごしている間、パートナーは家で待っている。いつ帰ってくるかわからないから、外出もできない。友達との約束も入れられない。
これは大げさな言い方をすれば「軟禁」に近い状態なのです。
ある方は「夫が帰る時間を知らないから、夕飯の準備をいつ始めたらいいかわからない。早めに作って冷めちゃうのも嫌だし、遅くなって子どもがお腹を空かせるのも嫌。結局、いつも落ち着かない」と言っていました。
食事の準備だけではありません。洗濯物を取り込む時間、お風呂に入るタイミング、子どもの寝かしつけの段取り。すべてが「夫がいつ帰ってくるか」によって変わってくるのです。
時間は「家族の共有財産」という視点
そこで、こう考えてみてください。
時間は「家族の共有財産」である、と。
自分が自由に過ごせる時間は、パートナーの時間を使った上で成り立っています。あなたが残業している間、飲み会に行っている間、趣味の時間を楽しんでいる間。パートナーは家事育児をしながら、あなたの帰りを待っているのです。
「管理される」のではなく「共有する」。この感覚を持てるかどうかで、コミュニケーションが大きく変わります。
予定を伝えることは、管理されることではありません。家族がそれぞれの時間を有効に使うための、思いやりなのです。
具体的には、どうしたらいい?
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。まずは「今日の帰宅時間」を朝に聞きあう習慣をつくってみる。 「今日は19時くらいに帰る予定」「今日は残業で21時過ぎるかも」。それだけで、パートナーは一日の予定が立てられます。
そして、変更があったら連絡する。「ごめん、30分遅れそう」「早めに終わりそう、18時半には帰れる」。このひと言があるだけで、相手は自分の時間を調整できるのです。
できるなら、カレンダーアプリで予定を共有しましょう。残業や飲み会の予定も、わかった時点で入れておく。予定の共有は「いちいち聞かれなくていいし、お互い安心して予定を入れられるから、楽になる」という大きなメリットがあります。
またあるご家族は、週の初めに「今週の予定」を確認し合う時間を作っているとのこと。「水曜は飲み会」「金曜は早く帰れそう」と共有するだけで、妻も「じゃあ水曜は子どもと二人で簡単なご飯にしよう」「金曜は家族で外食しようか」と計画を立てられるそうです。
予定を伝えるだけで家族の空気が変わる
「予定を伝える」。たったそれだけのことで、パートナーの自由は大きく広がります。
管理されるのではなく、共有する。この視点を持つだけで、夫婦のコミュニケーションは変わってきます。
時間は家族の共有財産。あなたの自由と、パートナーの自由は、つながっているのです。
この感覚を持てるかどうか。それが、家族みんなが心地よく過ごせるかどうかを左右します。ぜひ、今日から予定を共有してみてください。
三木智有/家事シェア研究家