災害時も一緒に、四日市で初のペット同伴避難所の訓練、飼い主が協力して運営
災害時にペットと同じ部屋で過ごせる「ペット同伴避難所」の運営訓練が5月28日、三重県四日市市の市中央陸上競技場で行われた。市は4月に同競技場をペットと同伴できる避難所に指定し、今回、初の訓練を企画した。同伴避難所は全国的にも注目されるようになっており、市は、飼い主が役割分担して運営できる方法などを練り上げていく方針だ。
訓練には動物愛護団体の協力で参加した飼い主と犬4匹、猫2匹、市の関係各部署の担当者、オブザーバーとしての県動物愛護推進センター、県獣医師会三泗支部などの計約40人が参加した。
市は今回、災害時に飼い主とペットがすぐに避難を始められるよう、陸上競技場の選手召集室、役員室、役員控室などを同伴避難所のスペースとし、避難してきた飼い主が自分たちで開設、運営できるよう、必要なマニュアルや掲示物などをそろえた「スターターキット」を準備した。これを使って運営を始めることで、避難する部屋の設営や、あとから来るペット連れの避難者の受け入れもできるという。
訓練では、基本的な避難所の開設や運営について説明を聞いたあと、実際にペットの避難の動きを体験した。避難する場合はペットケージやキャリーケースなどに入れることが前提で、ペットフードなども自分で用意することが望ましい。体の小さい猫はキャリーケースなどで持ち込めるが、大型の犬は、ペットケージをまず避難所の部屋に運び入れ、あとで犬を連れてケージの中に入れる方法をとった。犬と猫の間は双方が見えない仕切りを設けるなど、ペットのストレスにも配慮した。
犬と奥にある猫の居場所の間には仕切りを設け、互いのストレスにならないよう配慮した
早くから来た飼い主は避難者の受付なども設営し、あとから来たペット連れ避難者の受付事務や避難所についての必要な説明をする。訓練の参加者同士で実際の災害時に役割分担をどうするかなどの意見交換もされた。
小松威仁危機管理統括部長は講評で、「初の訓練で、最初から100点満点ではないが、細かいところにも目を向け、ブラッシュアップしていきたい。本当の災害時はもっと時間の余裕がないので、手続きの簡素化も考え、避難者による運営がしやすいようにしていきたい」などと話した。
ペットとの避難では、ペットと共に避難するものの、飼い主とペットは避難所の異なるスペースで過ごす「同行避難」と、同じスペースで過ごせる「同伴避難」がある。四日市市では同行避難の準備はあったが、過去の災害の被災地で「ペットと共にいたい」との声は多く、今回の取り組みになった。
ペットの避難にはこれだけの用意が必要という会場での展示。