阪神・佐藤輝明が見据える「シーズン40発超」カギは“対甲子園”にあり 金本知憲、ブラゼル以来の大台へ
入団前に掲げた「40~50発」に向けて
2024年も残すところ1カ月を切った。野球界は本格的なオフシーズンを迎え、激闘を終えた選手たちのメディア露出も増えている。
阪神の佐藤輝明は4日、読売テレビの情報番組『す・またん!』に生出演。今季の戦いを振り返りながら、藤川球児新監督とともに戦う2025年シーズンに向けて「優勝」の文字を色紙にしたためた。
佐藤は1999年3月13日生まれ、25歳の内野手。仁川学院高から近畿大を経て2020年のドラフト1位で阪神に入団すると、1年目から126試合に出場して24本塁打を放ち、NPBの新人左打者最多本塁打記録を更新する活躍を見せる。
2年目以降も20本塁打、24本塁打を記録して左打者では史上初となる新人から3年連続の20本塁打も達成。ところが、今季は120試合の出場で16本塁打に留まり記録がストップ。守りでもリーグ最多23失策を喫するなど、苦悩の多いシーズンとなった。
悔しさをバネに、5年目の来季はすべてにおいてキャリア最高の成績を。秋季練習の段階から藤川新監督に「背中を見せていけ」とチームの中心として奮起を促されているように、チームのV奪還に向けても佐藤の爆発は欠かせない要素となる。
上述した番組では前回出演時(ドラフト指名直後)に「40~50本塁打」と目標を語っていたことがフォーカスされ、改めて来季の目標を聞かれると「同じで」と力強く宣言する場面も。
阪神の左打者でシーズン40発以上となると、2010年のクレイグ・ブラゼル(47本塁打)が最後。日本人では2005年の金本知憲(40本)以来で、実に20年ぶりの快挙となる。それが成し遂げられた時、藤川阪神は2年ぶりVに大きく近づいていることだろう。
「甲子園」を味方につけられるか
佐藤のキャリア4年の通算本塁打は84本。年平均では21本となる。シーズン40発超を目指すということは、これまでの2倍のペースでアーチを量産しなければならない。
そのなかでカギを握るのが、「甲子園球場との向き合い方」だ。年の半分近くを過ごすホーム球場でありながら、佐藤が甲子園で放った本塁打は4年間で30本。残りの54本はほかの球場で稼いでいるということになる。
打数は甲子園が「817」に対して他球場が「1056」だから分母に差はあるものの、打数÷本塁打数で算出する本塁打率(=1本塁打あたりに要する打数)を計算すると甲子園が「27.23」で他球場が「19.56」。本拠地での苦戦はデータからも見て取れる。
甲子園といえば、かつて“ラッキーゾーン”が設置されていたことからも分かるように本塁打の出にくい球場として知られている。球場自体が大きいことに加え、独特の“浜風”がライトスタンドから三塁方向へ吹くこともあり、特に左打者にとっては過酷な環境となっているのだ。
この“浜風”に関しては、阪神OBの福留孝介氏も「会心の当たりが失速すると泣きそうになる」と語っていたほど。佐藤も今年9月5日の中日戦で満塁本塁打かと思われたあたりがフェンス際で失速して犠飛となり、「お手上げです」と言わんばかりに両手をあげるシーンが話題になった。
しかし、これは佐藤だけでなく、甲子園でプレーする全ての左打者に立ちはだかる壁である。敵対するのではなく、特徴を活かす道はないものか。先月まで行われていた秋季キャンプでは、センターから逆方向への意識を高く持って特打に取り組む背番号8の姿があった。
思い返してみると、今季の佐藤が放った16本塁打のうち、センターから逆方向に叩き込んだのは5本。ルーキーイヤーからの3年間でセンターから逆方向に放った本塁打は「9」「8」「9」だから、本塁打の総数と同様にキャリア最少となっている。
引っ張りにこだわらずとも、どの方向にもアーチを描けるだけのパワーがあることは証明済み。この秋の意識改革が実り、“浜風”を味方につけて甲子園での本塁打が増加すれば、「シーズン40発」も一気に現実的な数字となってくる。
プロ入り前に掲げた目標をクリアし、新監督の胴上げと日本一奪還へ。勝負の5年目に挑む虎の主砲の躍動に期待したい。
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記事:SPAIA編集部