富山の紅葉2025【弥陀ヶ原|立山黒部アルペンルート】東京ドーム100個超の湿原が一面の錦模様に 9月下旬~10月上旬が見ごろ
富山県立山町と長野県大町市を結ぶ「立山黒部アルペンルート」。
3000m級の山々が連なる立山の四季や険しい峡谷に作られた巨大な黒部ダムなど、ダイナミックな自然を楽しむことができる世界有数の山岳観光ルートです。
10mを超える雪の大壁が出迎えてくれる春や涼やかな空気と青空に萌えるような緑の絶景が心地よい夏など、四季折々の見どころがありますが、静かな人気を誇るのが紅葉の季節。山々が錦の着物をまとったかのような景色が広がり、気温や天候も比較的観光に向いています。
今回は、ラムサール条約の登録地で、国際的にも貴重な湿原とされる「弥陀ヶ原」の見どころを紹介します。
なだらかな溶岩台地に雪田草原広がる「弥陀ヶ原」
立山黒部アルペンルートは、西側の富山県立山町から立山連峰の主峰・雄山の真下を通り、黒部湖、そして後立山連峰の下をくぐる関電トンネルを経て長野県大町市へと至る総延長37.2km、高低差1975mの山岳ルート。
ケーブルカーやバス、ロープウェイなどを乗り継いで移動することができるので、体力に自信がないという人も気軽にでかけることができる紅葉の名所です。
富山側ルートの大半を担う高原バスの出発地「美女平」からバスに揺られて約30分、標高1930mの場所にあるのが「弥陀ヶ原」バス停です。
弥陀ヶ原は、標高1600mから2000mにかけて広がるゆるやかな湿原で、過去の火山活動で作られた東西4km、南北2kmの溶岩台地。称名川を挟んで向かいに広がる大日平とともに2012年7月に「ラムサール条約」に登録されました。
世界有数の豪雪と火山が生み出した稀有な眺め
「ラムサール条約」とは、1971年2月にイランのラムサールという都市で開催された国際会議で採択された、湿地に関する条約です。正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」で、日本では釧路湿原や尾瀬ヶ原など54個所(2025年7月現在)が登録されています。
その中で国内でもっとも高い場所のひとつとなるのが、「立山弥陀ヶ原・大日平」です。
世界でも有数の豪雪地帯といわれる立山ですが、年間降水量は5000~6000mmにも達し、平均積雪量は5m。根雪期間は11月中旬から6月下旬までと、200日余りにも及びます。
標高が高く寒冷な気候と豪雪、豊富な水、強風の影響を受けて成立した雪田湿地には木道が作られていて、ニッコウキスゲやチングルマなどの高山植物のほか、イワイチョウ、モウセンゴケ、ネバリノギラン、コイワカガミなどの絶滅危惧種や珍しい野草なども観察することができます。
弥陀ヶ原を散策していると見えてくるのが、水たまりのような池「池塘(ちとう)」です。
大小さまざまな池塘がなだらかな台地に点在する様子から、仏教と結びついた立山信仰では、立山の餓鬼道地獄に堕ちた亡者が飢えをしのぐため作った田んぼの“ガキ(餓鬼)田”と呼ばれています。その数は、なんと約1000個とも。
池塘の中で背を伸ばしている稲のような植物は、ミヤマホタルイ。カヤツリグサ科の多年草で、鉱山帯の湿地に自生する野草です。
弥陀ヶ原の紅葉 見ごろは9月下旬から10月上旬
紅葉の見ごろは9月下旬から10月上旬。
ナナカマドの赤やダケカンバの黄色が500ha、東京ドーム100個分を軽く超える広さの大高原をカラフルに染め上げます。
色づいた草木に雪が積もる 運がよければ神秘的な光景も
ちなみに、立山の初冠雪が観測されるのは例年10月中旬。
運がよければ、色づいた高山植物の上にうっすらと雪が積もる、神秘的な絶景に出会えることもありますよ。