【イ・ジュニョン インタビュー】映画『勇敢な市民』の悪い男で魅了。忘れ物が、役作りのアイデアに!
ドラマ『甘くない女たち~付岩洞<プアムドン>の復讐者』(‘17年)で俳優デビューして以降、数々の話題作に出演。最近では、Netflixドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』(‘21年)や『マスクガール』(‘23年)での強烈なキャラクターで圧倒的な存在感を放っているイ・ジュニョンが、韓国映画『勇敢な市民』で最強のヴィランに挑戦。役作りから本来の姿まで、久しぶりに使ったとは思えない流暢な日本語でたっぷり語ってくれた。
(フォトギャラリー)【イ・ジュニョン】映画『勇敢な市民』撮りおろし&場面写真
意図せず続いた悪役。結果は…
韓国で高い人気を得た同名のWEBTOON作品を実写化した映画『勇敢な市民』。セレブの息子で、教師でさえも恐れる暴力的な生徒ハン・スガン(イ・ジュニョン)が君臨するムヨン高校に非正規教員として赴任してきたソ・シミン(シン・ヘソン)。正規雇用となるため、元女子ボクシング王者で格闘技マスターであることを隠し、どんなことにも笑顔で応えていた彼女だったが、ある男子生徒の姿を見たことで一念発起。猫の仮面を着けスガンに挑んでいく。
――大人気WEBTOONの映像化ということで、プレッシャーはありませんでしたか?
そんなには、なかったですね。というのは、原作を読まなかったこともあります。これまで出演してきた原作のある作品でもそうすることが多かったのですが、読んでしまうと目にした人物に縛られて自分だけのキャラクターを作ることができなくなってしまう気がして。あまり見ないようにしています。
――『D.P. -脱走兵追跡官-』『マスクガール』から今作と続けて悪役を演じられていますね。
意図せず悪役が続いたので、個人的には不安もありました。ただ、結果としてよかったと思っています。演じた役のディテールまで注目して見てくださった方がいて、イ・ジュニョンという俳優はこんなこともできるんだと、認識してくださったように感じているので。
――今作のメガホンを取ったパク・ジンピョ監督は「たった一つでも暴力の理由を与えたくなかった」とスガンの過去を描きませんでした。その〝悪役に理由はない〟というメッセージに惹かれ今作のオファーを受けたそうですが、ヴィランを演じる魅力とは?
そうですね、ストレス発散できるからですかね(笑)。というのは冗談ですが、自分では過剰かなと思うくらいの演技でも、編集されたものを見てくださった方から「いいね」と言っていただける。そこが本当に面白いです。
印象に残る“悪い目”は、腹が立ったことを思い出しながら
――劇中で見せる鋭い目の演技が印象的です。どんな役作りをされたのでしょうか?
“悪い(人の)目”とはどんなものだろうと、ずっと鏡と向かい合って練習しました。最初に監督から「ジュニョンは優しい目をしている」と言われたので、その印象を消す表情を作ることに意識を集中させました。一番、腹が立ったときのことを思い出しながら鏡を見て(笑)。そうやって家で練習した目の演技を現場で監督に見ていただき「お、いいよ。そのまま続けて」と言われた目でいるように努めました。監督からは「目が課題」と言われたくらいで、あとは僕のことを完全に信じて任せてくださったのでありがたかったです。
――本来のジュニョンさんは悪い人ではないですよね?
もちろん、そうです!(笑)。ただ、スガンを演じているとき、だんだん彼に近づいていきそうになるというか、もしかしたら僕の中にも悪の部分があるのかもしれないと思うと怖かったです。
――腹が立ったときのことを思い出しながら役作りされたということですが、どんなことが頭に浮かんだのでしょうか?
一番腹が立つのが、自分自身の行動。例えば、仕事で準備したものを家に忘れてきてしまったときなんかに。最近、そういうことが多いんです。この前は、イヤホンを無くしたし、財布を落としたこともあって……。
――ドラマ出演が続いて、お忙しいからじゃないですか?
それ、素敵な理由ですね。ありがとうございます!
スタントマンも絶賛!代役なしのアクション
――今作の見どころの一つがアクション。ワイヤーアクションを含めて代役なしで挑戦され「スタントマンより上手」とアクションスクールの方に言われた出来栄えですが。
もとは、代役の方が演じてくださるという話でした。ただ、ほんの一瞬でも表情が見える瞬間があることがわかり「自分で挑戦してみたいです」とお願いをしたんです。俳優としての欲から始まったことですが、1週間ほど練習したときに後悔しましたね(笑)。撮影に入るまでにシミン役のヘソンさんと三か月くらい一緒にトレーニングしました。もともとボクシングはやっていたのですが、よりスクリーンでカッコよく見せるためにはどうしたらいいのかを意識しながらいろいろとトレーニングしました。
――マスクで顔を隠しているヘソンさん(ハードなアクションの一部をスタントマンが演じている)が羨ましかったのでは?
そうなんです! 撮影しているときにヘソンさんにそう伝えました。監督に「僕も仮面が欲しいです(笑)」と冗談で言ったこともあって。映画でシミンに顔を叩かれるシーンがあるのですが、想像以上に力強かったときには、もしかしたら代役の方かなと疑ったりして(笑)。その場では「大丈夫。問題ないです」と何でもないフリをしましたが、僕、何かしたのかなって自分の行動を振り返りました(笑)。
――ヘソンさんが演じる勇敢な主人公シミンの魅力を教えてください。
僕なら出来ないと思う行動を取ることができる、すごく素敵な女性です。彼女みたいな人生を過ごしてみたいですね。僕は、臆病なので……。
――では、シミンのように元ボクシング選手で格闘技にも強い女性をどう思いますか?
すごく魅力的だと思います。一緒にトレーニングしたいですね。もし、僕にパンチが当たっても大丈夫です! 今回の映画でかなり鍛えられましたから(笑)。
ボーイズグループから俳優へ。演技の魅力とは━
――韓国発のボーイズグループU-KISSのメンバーとして‘14年にデビュー。’17年からは俳優活動をスタートさせ、若手俳優として注目を集めています。演じることの楽しさはどんなところにありますか?
僕個人では経験できない職業や人物を演じることが出来る点ですね。今作のような悪役は自分でも成長を感じます。もともとの僕自身は悪い人間ではないので、頑張ったなって(笑)。いまは、声をかけていただけるどんな役にも挑戦してみたいです。台本をいただいて面白いと感じた作品には。まだ、人生経験も少ないので共感できる作品にはどんどんトライしたいです。
――アーティストとしての姿を見たいと期待されているファンもいると思いますが?
最近、膝が痛いんですよ。以前ほど、体力もないし(笑)。ただ、日本で活動したい気持ちはあります! と少し大きなことを言っておきます(笑)。
――以前、一緒にステージに立っていたメンバーのみなさんとの交流は?
たまに連絡しますよ。つい最近も(U-KISSの)フンさんと電話で話をしました。U-KISSが再結成するときにも連絡をもらったのですが、先に決まっていたスケジュールの関係で残念ながら僕は参加が難しくて。だから、みんなのことをすごく応援しています!
『勇敢な市民』(公開中)
提供:KADOKAWA Kプラス、MOVIEWALKERPRESS KOREA
配給:KADOKAWA、KADOKAWA K プラス
(韓流ぴあ/編集部)