293店のうち81店が「回復困難」判定 「ヴィレッジヴァンガード」が2期連続の最終赤字
雑貨と書籍の独自セレクトで知られるヴィレッジヴァンガードコーポレーションは7月14日、2025年5月期の通期連結決算を発表した。売上高は249億6200万円(前年比0.7%増)と微増にとどまり、営業損失は9億3500万円と前年とほぼ同水準の赤字。親会社株主に帰属する当期純利益は42億4700万円の赤字となり、2期連続で最終赤字を計上した。
■ 店舗の3割が「再建困難」 特別損失は30億円超に
「ヴィレッジヴァンガード(Village Vanguard)」などを全国で293店舗展開する同社だが、そのうちの81店舗について「業績回復が困難」と判断。これを受けて、棚卸資産評価損24億7200万円と減損損失6億7400万円を特別損失として計上している。一部店舗の縮小・閉鎖を含む構造改革を進めていると見られる。赤字は続くものの、経営陣は選択と集中による収益構造の再構築を急いでおり、不採算店舗の整理が今後の立て直しのカギとなる。
■ 次期は営業黒字を見込む ポップアップとオンライン事業が成長ドライバーに
2026年5月期の業績予想は、売上高は259億2100万円(前年比3.8%増)を計画。営業利益は10億4800万円の黒字転換を目指し、最終利益も8億4700万円の黒字化を見込む。その柱となるのが、ポップアップ事業とオンライン販売事業だ。それぞれ売上高構成比を6.5%まで引き上げ、約18億円規模にまで拡大させる見通しだ。従来の「リアル店舗依存」から脱却し、外部イベント出店やECでの販売を強化する方向性が鮮明になっている。
■ 独自の世界観は維持しつつ、事業構造の転換を急ぐ
「ヴィレヴァン」といえば、書店とも雑貨店ともつかない「カオスな空間」でファンを魅了してきたが、近年は消費者の購買行動の変化や固定費の重さにより、旧来型の店舗ビジネスが重荷となっていた。次期に向けては、「ヴィレヴァンらしさ」を残しつつも、機動力の高い小型展開やECとの連動、イベント型販売への転換が成否を左右する。2期連続赤字という厳しい状況の中で、構造改革の実行力が問われることになりそうだ。