「うちの子の可能性を潰す気か!」店内で商品を破壊する子ども…注意した店員に父親が逆ギレした呆れた言い分
「うちの子の可能性を潰す気か!」――。商業施設で商品を破壊して暴れる子ども。注意した店員が父親から浴びせられたのは、耳を疑うような逆ギレの言葉だった。しかも、この親は子どもが暴れている間、「がんばれー」と声援まで送っていたというのだから驚きだ。
編集部では、ショッピングモール内のテナントで店舗マネージャーとして勤務しているAさん(40代男性)に取材。その衝撃的な体験について詳しく話を聞いた。(文:篠原みつき)
暴れる我が子に「がんばれー」と声援を送る親
それは数年前の事。Aさんの元にアルバイトスタッフが「とんでもない親子が暴れている」と相談にやってきた。Aさんが売り場へ向かうと、そこには信じがたい光景が広がっていた。
「3、4歳くらいの男の子が、日用品売り場の雑貨を投げたり、倒したり踏んだりして暴れていました。少し離れた所から見ていた両親は、それを止めるどころか『がんばれー、凄いすごーい、やれーやれー』と笑って応援していたんです」
Aさんは「これはダメな人達だ」と瞬時に判断。子どもに近づき、「やめようね」と優しく注意した。すると、後ろから父親の怒声が飛んできた。
「『なんで止めさせるんだーっ!』と聞こえて、思わず『はぁっ!?』と振り返ってその父親に近づくと、私の勢いにひるんだのか、相手は後ずさりしていました」
Aさんによると、父親は身長がAさんの顎あたりしかなく、小柄だったという。後ずさりして母親にぶつかった父親は、威厳を見せなければと思ったのか、再び前に出てきてAさんのお腹に自身の胸を当ててきたそうだ。威嚇のつもりだったのだろう。そして、こう叫んだ。
「うちの子どもの可能性を潰す気か!」
「子どもの未知数の才能が…」父親が語った珍妙な“教育論”
まさかの言葉に呆れつつも、Aさんは冷静かつ厳しめに切り返した。
「父親に向き合い、近い距離で『可能性?子どもが怪我をする可能性?子どもが児童相談所に保護される可能性ですか?』と問い詰めました」
以前、Aさんは子どもを放置した結果の事故で起きた事例について、勤務先の注意喚起として聞いたことがあった。その記憶がとっさの言葉として出たという。しかしAさんの問いに、父親はさらにヒートアップした。
「『そうじゃねえよ、子どもの未知数の才能が何で開花するかわからないだろう!』と、自身の教育論みたいな事を延々と話しだしました。私が『やめてねー』と言ったのは良くないらしく、『やめてくださいねえと敬語で、やさーしくやさーしく子どもに言わなければいけない』などと説教されました」
延々と続く父親の話を聞き流していたAさんは、事態を収拾するため、父親に聞こえるように指示を出した。
「側にいたバイトに、『保安に電話して、あと商品の損害を確認して』と指示をしました」
商品の損害額は8000円ほどになったが……
その言葉を聞いた瞬間、父親の表情は曇り、あたりを見回し始めたという。すると、離れた場所にいた母親と子どもが「もういいじゃんよ!行こうよ!」と父親を呼び、納得のいかない顔をした父親は渋々とその場を去っていった。
結局、この親子が破壊したり汚したりした商品の損害は8000円程度にのぼった。箱が変形したものや、子どものよだれや鼻水で汚れたもの、床に落ちて売り物にならなくなったものなどが含まれていた。しかし、賠償請求には至らなかったという。
「館のルールで、明らかな犯罪を立証できない限り、保安止まりで警察には届けません。商品破損についても、悪質、意図的でない限り請求はしませんでした。過去には、子どもが起こした事故でフロアの損害が20万円という事故もありましたが、その際も賠償は求めなかったそうです」
後始末に追われたAさんが、「子どもの可能性云々の前に、人としてのモラルや常識を学ぶべきだと思いました」と、静かに語ったのも頷ける。親が常識的な振る舞いを教えなければ、その子の「可能性」は社会で開花する前に摘み取られてしまうのではないだろうか。
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