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『こち亀』だけじゃない! 亀有さんぽのおすすめ8スポット。下町のかけがえのない日常劇場へ

さんたつ

【散歩の達人】亀有エリア

『こち亀』の存在感が強すぎる亀有。それはもちろん楽しいけれど、もっとフラットにこの街の“素(す)”に浸ってみたい。農村から大工場の街へ、現在は活気ある商・住タウンを巡って日常を感じよう。

子供がうらやましい!と思ったら……。『絵と言葉のライブラリー ミッカ』

2018年、リリオ館7階に誕生した一風変わった小さな図書館。個性的ないくつもの部屋で絵本や図鑑、画集や漫画、写真集など約8000冊の蔵書を読んだり、アトリエで工作したりできるのは、16歳以下の子供のみ(保護者同伴可)。ただし、木・金・土の18時30分~21時は「おとなミッカ」として大人限定で利用OKだ。入館料500円で再入館可。

通常10:00~18:00、月・第4木休。
☎03-6662-4315

朝から味わえる“小さな幸せ”『Petit Bonheur(プティ ボヌール)』

向かいのイートインスペースには藝大生限定のギャラリーを併設。

注文を受けてから専用のマシンで搾るフレッシュオレンジジュースと、たっぷりの発酵バターで作るクロワッサンの店。使用するオレンジは国内、海外から旬のものを用意し、季節ごとに違う味わいが楽しめる。「1週間で約100㎏消費しています」と店主の和賀花恵さん。デカンタM1260円は平均約10個分だ! クロワッサン350円。

7:30~16:00(土・日・祝は~17:00)、月休。
☎なし
petitbonheur2418

この品揃え、コンビニ以上『コンビニエンス たなか』

創業70年以上の駄菓子屋から1972年頃にボランタリーチェーンのコンビニに転身。現在は完全個人経営で、田中孝さんが松戸の市場などで仕入れる品は、食品から酒、花、日用雑貨に園芸・ペット用品、新聞雑誌、たばこまで揃う。砂糖や塩の種類の多さ、珍しい石けんなど、目を引くラインアップに興奮!「よもぎせっけんがおすすめです」と妻・むつ子さん。

7:30~22:00、第2・4木休。
☎03-3603-8100

週末限定のカルチャー空間『AWESOME TODAY』

本とレコード、植物を愛する木村公一さんが川辺のマンションの一角で2021年から営む店。本は量販店にはないような個人出版物に力を入れ、レコードは中古メインでソウルやブラジル、ジャズなど。春には多肉植物なども増えるとか。「本と音楽で地域とつながれたらうれしい」。2024年、初めてオリジナルのZINE『AWESOME TODAY Magazine』1320円も発売。

11:00~19:00、土・日のみ営業。
☎080-4067-1831

造りたいときの駆け込み寺『製作スペース Maison 144(メゾン イチヨンヨン)』

「ものづくりの街・葛飾区で誰でも使える作業場を作りたい」と雪平健太さんが2023年にオープン。最大14席の店内では、道具はもちろん塗料も300色以上完備。プラモデル作りやフィギュアの塗装などに利用できる。この日はガンプラのグフを作るイベントで、幅広い世代が和気あいあいと打ち込んでいた。1時間650円~。

18:30~22:00(土・日・祝は11:00~)、不定休。
☎03-6262-6144

紫の実の可能性を再発見『Blue THE Berry』

ブルーベリーベーグル450円。
ブルーベリーミルク620円。

目を見張るほど鮮やかな紫のベーグルに、粒いっぱいのパイやマフィン。ミルクやソーダ、ティーなどのドリンクもすべてブルーベリーという、ブルーベリースイーツの専門店。使うのは名産地の一つ、茨城県つくば市北部の「つくばブルーベリーゆうファーム」産。「ブルーベリーは意外と加工が難しい。でもこのおいしさを伝えたくて」と店長は熱い。

11:00~18:30、月休。
☎03-5856-2298

子供もうれしい超下町価格!『たこぼうず』

ねぎぼうず15個450円。

穂坂洋子さんが大阪出身の友人と「たこやきやる?」で始めて36年。自宅を改装したたこ焼き店は厨房の両側にイートインスペースが2つあるのがありがたい。さらに感激なのは6個150円~の安さ。「使うと粘りが違う!」と、生地には大和芋か長芋も入れている。極上のふわふわ感は何個でもいける。おすすめのねぎぼうずは青ネギモリモリのしょうゆ味だ。

13:00~18:00(土・日は11:00~17:00)、無休。
☎03-3690-2062

いつ来ても気持ちよくひとっ風呂『第一日立湯』

屋号は日立製作所の工場のそばだった名残。創業年は定かでないが、「1945年にうちが買い、1983年に改装しました」と2代目の坂田浩二さん。屋内は清掃が行き届き清潔感ある気持ち良さ。脱衣所には鯉(女湯は金魚)が泳ぐ小庭あり、1人で2個使えるよう工夫された便利なロッカーあり。千鳥破風や青のタイル壁にもほれぼれ。

16:00~22:00(女湯は~21:25)、月休。
☎03-3605-0532

子供も大人も一緒。エイジレスに楽しむ

亀有を朝から歩くなら、『Petit Bonheur』のフレッシュオレンジジュースと香ばしいクロワッサンで始めたい。暗かったコロナ禍に「元気になれる場所を作ろう」と立ち上がった地元っ子の和賀花恵さん。旅したパリのカフェで毎朝飲んで元気をもらったという話を聞いて、こちらもしっかりエネルギーチャージだ。

中川沿いの土手は車通りの少ない舗装路。中川橋―中川大橋間を気持ちよく歩ける。

常磐線の高架沿いでは、何屋さんか不明な店を発見。「よく言われます(笑)。なのに近所のおじいちゃん、おばあちゃんがふらっと来て世間話したりお煎餅くれたりする。ああ、下町だなって思います。あ、着ぐるみの両さん(『こち亀記念館』関係か?)も乱入してきたことも!」と、『製作スペースMaison 144』の雪平健太さん。

店内では大人も子供も持ち込みのプラモと思い思いに格闘中。「製作ペースは年に数個だったのに、ここができてから爆上がり。去年だけで24個です!」と笑う元少年。

1974年開店の『梅原牛乳店』。雨避けのテントの中は、平日昼間はご婦人方、夕方や週末は子供たちでにぎやかだ。

年齢問わず一緒に楽しむエイジレスな光景っていいな。亀有はそんな場が多いような気がする。そうだ、この街は子供の存在感も大きい。歩くといつでも子供の声がする。楽しい公園や『梅原牛乳店』みたいな居場所が多くあるからだろうか。

「自然もあって住みやすいから、東京の西から子育てのために移り住む人も多いそうですよ」と教えてくれたのは、『AWESOME TODAY』の木村公一さん。訪ねたときも、お母さんと小学生の女の子が来て気になる絵本を見つけたようだ。

大きな山のような遊具が子供に人気の亀有公園。両さん像もいる。

「昔は何にもない原っぱ、田んぼ。水戸街道ができた時はこんな所に大きな道路を造って大丈夫?と言われたんです」と苦笑するのは、『コンビニエンスたなか』の田中むつ子さん。

オクタン餃子(市川名物)の幟(のぼり)に惹(ひ)かれて入ると、コンビニなのに中身はザ・商店の独特な世界観。「『昭和の匂いがするね』とか『夜道が暗くなるからやめないで』と言われます」。末永く続いてほしい生活の灯なのだ。

上千葉砂原公園のカラフルなリング状の大型遊具はその名も「メビウスの輪」。

散歩の終わりは亀有に意外と多い銭湯で、と『第一日立湯』へ。

「日立の工場が昭和40年代に撤退するまでは、このあたりは本当に人通りが多くて。亀有の人より工員さんのほうが多かったと言われたほど。だから映画館やパチンコ屋などの娯楽施設が多い街でした」と坂田浩二さん。そんな往時を思いながら、きれいな風呂であったまる。ああ、極楽。

『こち亀』の街だからって突飛な騒動が起きるわけじゃない。そこには、ささやかだけどかけがえのない日常劇場が日々繰り広げられている。

取材・文=下里康子 撮影=泉田真人
『散歩の達人』2025年3月号より

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