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地底を家族で探検! 美祢市「秋芳洞の未公開エリアツアー」

山口さん

山口県美祢市にある特別天然記念物「秋芳洞」。国内最大級の鍾乳洞で、洞窟内は1年を通じて15〜18°Cとほとんど気温が変化しないことから季節を問わず人気のある県内屈指の観光地です。
そんな秋芳洞で「未公開エリア」の探検ツアーが始まったのをご存知ですか?今回はそんな未公開エリアについて実際に探検しましたのでその魅力をたっぷりと紹介します。小学生から参加可能なコースがありますので、家族での探検にもおすすめですよ!

【写真はこちら】自然の織りなす造形美!

秋芳洞って?

県内屈指の観光地の一つ、美祢市東部に広がる広大なカルスト台地・秋吉台。その地下100mに広がる大鍾乳洞が秋芳洞です。夏涼しく、冬温かいという特徴があることから年間通じて多くの観光客で賑わいます。

洞窟内の観光コースは約1kmあり、整備されたルートを歩きながら、「百枚皿」や「黄金柱」といった、長い年月をかけて作られた自然の造形美を堪能することができます。

ただ、一般に公開されているのは実はごく一部なんです。
洞窟自体は10km以上あると言われており、このたび、美祢市観光協会はこれまで一般の人が立ち入ることができなかった一部分を「未公開エリアケイビングツアー」として観光商品化。今月より「特別な体験コース」として予約制での販売を始めました。

未公開ゾーンには果たしてどんな景色が広がっているのか・・・これは気になりますね。

今回、そのゾーンを取材する機会が得られましたので、行ってきます!

つなぎやヘルメットなどの装備も用意

集合場所は秋芳洞に続く商店街の入り口にある「秋吉台観光交流センター」。ここで、つなぎやヘルメット、長靴など必要なグッズを借りることが出来ますので、会議室などを使って着替えましょう。

洞窟内では湿度も高く汗をかきますので、吸汗性の高い長袖のインナー、スパッツなどを下に履いてからつなぎを着ることが推奨されてます。子供サイズも揃っていますよ。

着替えが終わったら早速出発。当日の天気が晴れていて予約が入っていなければ、東南アジアでタクシーとして使われている三輪バイク「トゥクトゥク」で洞窟まで連れて行ってもらえますので、秋吉台の風を感じつつ、冒険の気持ちが高まってきます。

未公開エリアへの入口は秋芳洞エレベーター口から。出発前にガイドを務めてくれる方から、探検するゾーンや注意事項などの説明がありますのでしっかりと頭に入れましょう。

ガイドの指示に従うこと。隊列をしっかり組み、押したり、走ったりせず、そして足場の岩が崩れる恐れがあるので、ジャンプしないことも重要です。

今回ガイドを務めていただいたのは美祢市の「美祢魅力発掘隊員」定野愛美さん。

大学時代に探検部で世界中の洞窟を巡った経歴の持ち主で、2024年10月より洞窟ツアーのガイドなどを務める役割に着任しました。

それではいざ出発!

エレベーター口が開くとそこはまだ一般観光エリア。ここで準備運動やヘッドライトの調整などをすませます。

果たして非公開ゾーンにはどんなところから入っていくのか・・・。そんなことを考えていると、ガイドさんがおもむろに、観光エリアに取り付けてある手すりをひょいとまたいで岩だらけの斜面へ。

そう、未公開エリアへの入口は、この手すりなんです。

定野さんを先頭に隊列を組んで進んでいくと、そこは未公開エリアなので当然歩道として整備されておらずゴツゴツした岩を乗り越えていくルートばかり。

ヘッドライトの明かりを頼りに、せり出した岩に頭をぶつけないよう身をよじらせて進んだり、足元を流れる水を乗り越えたり、なかなかハードな行程です。

エリアによっては定野さんが滑りやすい箇所や、保護の観点で触ってはいけない箇所など注意点を教えてくれますが、常に水の流れる音が響いているため、隊列の前の人が後ろの人に伝言ゲームのように指示を伝えていき、安全を確認しながら慎重に歩みを進めていきます。

今回取材で体験したのはショートコース。エレベーター口からおよそ450mほどを川に沿って進んでいくコースです。

往復で約2時間ほどの行程となっていて、道中、鍾乳洞ならではの岩の様子や、水の中に生息する2mmほどの小さな生き物を観察する時間も設けられています。

足元が悪く危険、と思われるかもしれませんが、このショートコースは小学生も参加可能。ちゃんと指示に従ってゆっくり進んでいけば問題なく探検できますので、家族で挑戦してみてはいかがでしょうか。

気の遠くなるような歴史を感じる

歩くこと40分程でショートコースのゴールに到着。

ここでは、洞窟の天井から滴る石灰分を含んだ水が結晶化した鍾乳石の一種「つらら石」、そしてその水が上に向かって伸びる「石筍」の成長過程を見ることが出来ます。

1cm伸びるのに要する時間はおよそ100年。つらら石と石筍がくっつくと「石柱」と呼ばれる1本の柱になるのですが、こちらはよく見ると、つらら石と石筍の成長位置が少しずれているのが分かります。

これは、石筍の土台となっている岩がその下を流れる水によって削られ、ほんの少しずつ傾いているのが原因だと言われています。

はたしてこのつらら石と石筍はくっつくことができるのでしょうか?その答えは数千年後。お楽しみに!

この秋芳洞は数億年前に形成されてきたと言われていますが、その気の遠くなるような歴史を感じられるのがこの河原です。

あたりには、幾つもの石が転がっていますが、石を拾い上げてよく目をこらしてみると、ところどころにサンゴなどの化石を見つけることができます。

はるか昔にハワイ近郊で広がっていたサンゴ礁。それらが海洋プレートにのって西に向かって移動し、大陸プレートにくっついて隆起したものが秋吉台の石灰岩です。そして秋吉台の地下にある秋芳洞はこの石灰岩の中でできた洞窟なので、これらの化石はその歴史を物語っています。

つまり私たちが今いる秋芳洞は、かつてハワイの海の底だった、というわけなんです。

そして河原で円になって座ったら、ここでしかできない体験を。

それぞれのヘッドライトを消し、光の届かないはるか地の底で暗闇体験をしましょう。

目を開けても閉じても景色の変わらない真の暗闇。頼るのは聴覚のみで、ずっと鳴り響く水の轟音を聞いているうちに、水との距離感をはっきりと感じられるようになってきます。

ここからはいま来た道を戻っていきますが、往路では通らなかった場所を通り、わずかな水の滴りが遥か長い年月をかけて形成し続ける鍾乳石を間近で見ることもできます。

そして隊列を組んで進んでいき、一般観光コースに戻ってきました。距離としてはそこまででもないものの、足場の安定しないアップダウンのある道を進んでいくため、体にはしっかりと疲労感が残っていました。

このあと、一般観光コースで「黄金柱」や「百枚皿」といった名所を見ながら洞窟正面入り口に戻りますが、非公開ゾーンを経て改めて見ると、この景観がいかに長い年月をかけ、奇跡的なバランスで生み出されたものかということに感動すら覚えます。

いかがでしたか?

今回ご紹介したショートコースのほかに、そこからさらに奥まで行く3時間超の「琴ヶ淵ロングコース」もありますので、体力に自信がある人は挑戦してみてはいかがでしょうか。ロングコースは中学生から参加可能です。

家族揃ってまだ見ぬ地底深くを冒険して、山口県の歴史を再発見してみませんか?

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