【静岡スポーツ事情】スポーツ記者はいくつの競技を取材!?県内で人気の競技は!?運動部長がリスナーの質問に答えました!
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「リスナーの質問に答えます、静岡スポーツ事情」。先生役は静岡新聞の寺田拓馬運動部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年10月10日放送)
(山田)今日は、リスナーさんから寺田さんに質問をたくさんいただきました。いくつか紹介していこうと思います。
「スポーツ記者の皆さんは、1人でどのぐらいの数の競技を取材していますか。番記者という言葉は聞きますが、それだけではないと思いますし、寺田記者は主に取材する競技とかは決まってるんでしょうか?」
「静岡は全国から見てもスポーツが盛んな県なのでしょうか?県内でも競技人口が多かったり、人気があったりする競技は何でしょうか」
県内に多数のプロチーム!
(寺田)静岡は他県と比べても、スポーツが盛んな県だと思います。サッカーだけじゃなくて、いろいろな競技で「王国」と言ってもいいと思います。
ところで、県内にスポーツのプロチーム、何チームあると思いますか?
(山田)ちょっとみんなで考えましょうよ(笑)東部地区からいこうかな…東レアローズ、アスルクラロ沼津、中部では清水エスパルス、ベルテックス静岡、西部はジュビロ磐田、フットサルのアグレミーナ浜松、ラグビーのブルーレヴズ…。
(寺田)なかなかですね、よく考えていただいたと思うんですよ。実は18チームあるんです。
(山田)えっ!
(寺田)県のスポーツ局のカウントによる数字なんですが、多いですよね。しかも、どんどん増えています。
まず、Jリーグのクラブが4つありますよね。J1の磐田、J2の清水、藤枝、J3の沼津。他の競技もプロチームが増えていて、野球のくふうハヤテは今回2軍のウエスタンリーグに参入しました。
バレーボール、バスケットボール、ラグビー、これらも県内にプロチームがあります。バレーボールは今季から完全プロ化を目指すSVリーグが新たに始まって、男子の東レアローズ静岡が参戦します。
バスケはB2リーグのベルテックス静岡ですよね。ラグビーの静岡ブレーレヴズは、前身のヤマハ発動機ラグビー部から歴史がありますよね。それから卓球のTリーグには静岡ジェードが参加しています。ここまでで9チームなんですよ。
まだ9チームあります。女子サッカーのなでしこ1部静岡SSUボニータ。女子ラグビーのアザレア・セブン。自転車は2チームあり、三島が本拠地のチームブリヂストンサイクリング、富士が本拠地のレバンテフジ静岡がありますよね。女子バスケWリーグのシャンソンVマジック。バレーのV2リーグブレス浜松。それから先ほど挙げていただいた、フットサルのアグレミーナ浜松。
あと、女子ソフトボールのNECプラットフォームズレッドファルコンズと、静甲女子ソフトボール部。合わせると18チームです。
(山田)うわあー、ありますね。
記者は複数競技を担当
(寺田)これだけスポーツが盛んな静岡ですが、静岡新聞社の運動部員って何人いると思います?
(山田)1人1チームはないとしても、10人とか…?
(寺田)ほしいですよね、プロだけで18チームですからね。でも、部長の私を入れても6人なんですよ(笑)
Jリーグの4クラブには担当する番記者をつけていて、沼津は、運動部ではなく東部総局の記者に担当をお願いしています。野球は高校も社会人もあるし、高校サッカーや中学、高校の各種競技もあります。最近は佐賀県で国民スポーツ大会もやっていて、ここにも記者2人とカメラマン1人を送ってるんですよ。
(山田)すごいですね。取材するものが多くて。
(寺田)冬になれば駅伝もあります。11月末には県市町対抗駅伝があり、それから中学高校の県大会、全国大会、都道府県対抗駅伝、あとは箱根駅伝もありますしね。高校スポーツもウインターシーズン、バスケ、バレー、ラグビーが全国大会まで続いてきますよね。
(山田)よく6人でやってますよね。
(寺田)記者は1人で何競技取材しますかという質問ですが、担当する競技は当然あり、それ以外に2〜5競技ほど。スポーツは何でも取材できないと、運動部の記者は務まらないんです。
(山田)ルールも当然知っておかなきゃいけない。
(寺田)勉強しなきゃいけないし、練習なども取材に行くと、「そうかこういう競技なんだ」っていうのが分かってきます。
(山田)寺田さんも部長とはいえ、部長席に座って記者さんたちが集めてくるニュースを見てるだけじゃないんですね。
(寺田)私も現場に行って取材しています。なかなか、これだけプロチームがある都道府県ってないと思いますね。
女子児童の競技人口が特に少ない!
(寺田)もう一つの質問「県内競技人口はどうか」。県スポーツ協会が毎年、「競技団体人口調査」を行っていて、51競技について調べています。2022年度データを見ると1位はサッカーなんですよね。サッカー王国ということで、3万5000人いますね。2位は何か…。
(山田)静岡、ってことで考えて、バスケットボール。
(寺田)実はテニス。テニスが2万8000人で、3位が野球の1万9000人、バスケットボールは僅差の4位なんですね。
(山田)テニスは正直意外でした。
(寺田)5位以下は、陸上、卓球、ソフトテニス、バレーボール、ソフトボールと続きます。ちょっと意外なのは10位が剣道、11位が空手と、武道がランキングに入るんですね。
(山田)剣道は強いと聞きました。結構盛んなのですね。
(寺田)私が趣味にするゴルフは12位でした。ただ、ちょっと心配なのは、前年度と比べて、サッカーやテニスなどは競技人口が微増していますが、3位の野球は1000人以上、陸上競技は6000人近く減っちゃってるんです。6000人というのは何か事情があったのかもしれません。
少子高齢化が進行する中で、致し方ない面はあると思いますが、全競技を合計した人口も1万5000人減っているんですよね。さらに男女差に注目してみると、静岡県内のスポーツをやる競技団体の男女の数を比べてみると、男性は14万3000人に対して、女性は6万6000人、つまり女性の競技人口は男性の半分以下の46%だそうです。
(山田)そうですか。
(寺田)女性が男性より多い競技は、バレーボール、武術太極拳、体操など、ごくわずかなんですよね。「男女共同参画社会と言いながら、働く大人の女性が家事や育児に追われて、スポーツする時間を取れないという男女の不平等があるんじゃないか」っていうご指摘もあると思います。
それだけじゃないんですよ。小学生だけで見ると、男子の競技人口って2万3000人なんですが、女子は8000人。
(山田)ええっ。
(寺田)中高生になると、部活が始まるからか、男女差が縮まって2対1、女の子は男の子の半分ぐらいになるんですが、小学生の時の男女差が一番大きい。体を動かすことが好きな女の子も多いと思うので、小学生の時にスポーツが好きなのにスポーツに親しむ機会が与えられないとしたら問題ですよね。
(山田)そうですね。
(寺田)統計を見て、私もちょっとハッとしたんですよね。女の子だからおしとやかにしてないと駄目とか、大人たちにそういうジェンダーバイアスが働いているとしたら根深い問題ですよね。
(山田)十数年前よりも、例えばサッカーでいうとなでしこの活躍があるから、やりたいって子たちが増えてるのかなとは思ってたんですよ。違うのかな。
(寺田)最初に、県のプロチームは18チームあると紹介しましたが、内訳をみると、女子チームは18チームのうちの6チームで男子の半分以下。その中で、競技の報酬だけで生活が成り立ってる選手がいるチームはどうかというと、シャンソンぐらいです。
静岡が真のスポーツ王国になるには、男女関係なく幼少期からスポーツに親しむ機会を増やし、女の子でも才能ある選手が競技を続けて、その先プロになって活躍できるような環境の整備を進めていく必要があるんじゃないかなと思います。
(山田)まだそれだけ差があるっていうのは、ちょっと驚きですね。
(寺田)リスナーの皆さんも、スポーツの秋ですので、何か始めてみてはどうかなと思います。スポーツの楽しみ方って自分でプレーするだけじゃないので、応援してみる、環境作りで支えるっていう関わり方もありますからね。スポーツをそれぞれの生活の中に取り入れていただけたら、日常の中に潤いが出るんじゃないかなと思いますね。
(山田)そうですね。僕がよく行くお寿司屋さんの大将が大のエスパルスファンで、ゴール裏で旗を振ってジャンプしてるんですよ。「応援が運動になる」って話を聞いて、スポーツを見ることも運動になるんだなと思いましたね。今日の勉強はこれでおしまい!