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藤原竜也、森田望智らが村上春樹の作品をどのように舞台化するのか語る 舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の製作発表が開催

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(下段左より)池田成志、森田望智、藤原竜也、フィリップ・ドゥクフレ(上段左より)島村龍乃介、富田望生、宮尾俊太郎、駒木根葵汰

2026年1月に開幕となる、舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の製作発表がフランス大使公邸で行われた。藤原竜也、森田望智、宮尾俊太郎、富田望生、駒木根葵汰、島村龍乃介、池田成志、そして演出・振付のフィリップ・ドゥクフレが登壇し、作品の魅力やクリエイティブな稽古の様子を語った。また日本公演後行われるワールドツアー(シンガポール、中国、イギリス、フランス)の各地主催者からのメッセージも紹介された。

日本を代表する世界的作家・村上春樹が36歳の時に発表され、海外でも人気の高い長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が世界で初めて舞台化される。

本作の東京公演は2026年1月10日(土)~2月1日(日)東京芸術劇場プレイハウスにて上演、その後、宮城・愛知・兵庫・福岡にて行われる。そして、日本公演後、シンガポール、中国、イギリス、フランスの4カ国を巡るワールドツアーが決定。世界中で愛読される『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の世界初の舞台化を受け、各国からの熱烈なオファーによって、日本公演と同じ出演者によるワールドツアーが実現する。

なお、製作発表では、稽古中の登壇者たちが、村上春樹の幻想と冒険の物語がどのように舞台化されるのかを語り、新たな舞台が生まれる期待が一層高まった。

舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』


会見コメント

■藤原竜也/“ハードボイルド・ワンダーランド”の私 役

藤原竜也       撮影:山本春花

フランス大使公邸に来ることができ非常に嬉しく思っております。僕としましては、村上春樹さんの作品、そしてフランス・パリ公演も初めてのことなので、この世界的文学作品をフランスの方たちに受け入れてもらえるように芝居を作っていきたいと思います。「私」と、「僕」、「影」と二つの世界が同時に進行して、失ったものを求めていくという作品です。演出のフィリップさんの期待に応えられるよう必死に稽古し、良いものを作り上げていこうと思っております。まだ試行錯誤しているのですが、フィリップさんも稽古初日に仰った「良い作品にしたい」、その一つの目標に向かって、世界の人たちに届けられる良い芝居ができるように、頑張っていきたいと思います。

■森田望智/“ハードボイルド・ワンダーランド”の司書、“世界の終り”の彼女 役

森田望智       撮影:山本春花

私自身初めての舞台なので、素晴らしいキャスト、ダンサーの皆さんから日々学ばせていただいて、刺激的な毎日を送っています。
「司書」、「彼女」の二役に関しても色々な捉え方があると思うのですが、私自身としては、「彼女」は「私」が失ったものを体現していて、「司書」はそれを彷彿とさせる現実世界に生きている女性だと考えております。私自身もまだ答えはなく、模索している状態ですが、同時に「私」(藤原竜也)と「僕」(駒木根葵汰/島村龍乃介)が惹かれる一人の女性でもあるので、その繋がりは持ちつつも、同じ人なのか違う人なのか捉えどころのない、観た方によって余白が残る人物になったらいいなと思っています。

■宮尾俊太郎/“世界の終り”の影 役

日本で制作したものをこれだけ海外で上演できることはやはりすごいことで、演者として嬉しく思っております。僕はずっとバレエダンサーとして、言葉のない世界で表現させていただいてきましたが、身体的に言うならば、筋肉を使って、空気を振動させて表現するといった点では違いは大きくないと思っております。言語というのは相手がいて初めて成立するものですが、舞踊は一人でも成立し、より自分の内側に向いたもので、本能的で精神性があると思っています。 今回の作品においては、「私」(藤原竜也)の深層心理の世界の中に入っていきますので、自己と対話する部分は言語を使い、一人の内側に向いた精神性、本能的な部分は舞踊で表現できるのかな、と今模索しているところです。今回シャトレ劇場での公演もあるということで、かつてのディアギレフがバレエ・リュスを率いたように、ドゥクフレさんがフランスからお越しくださり、日本のアーティストと一緒に仕事をして、そしてそれを世界にお届けできるのは、バレエに携わってきた僕としては感慨深いものがありますし、非常に楽しみにしております。

撮影:山本春花     

■富田望生/“ハードボイルド・ワンダーランド”のピンクの女 役

今回、ピンクの女というとても魅力的な人物を演じられることを本当に光栄に思っております。この小説に対する世界の想像の膨らみ方や、ピンクの女に対してどういう印象をお持ちかは、読んだ方それぞれによって違うのではないかと思っております。実際に稽古を進めていく中で、私自身が感じていた小説に対する思いや、ピンクの女に対する思いが皆さんで良い意味で違っていて、色々な角度からスパイスや潤いを与えていただいている時間になっているなと思っています。 答えはまだ見つかっていないのですが、キャストの皆さんとダンサーの皆さん、フィリップさんの想像、頭の中を覗きながら、色々なものをいただきながらピンクの女との冒険を見つけることができるのではないかなと、とてもワクワクしております。毎日稽古場でドキドキしているのですが、楽しみながら、面白いなと思いながら、ピンクの女の前に訪れるものをキャッチして精一杯生きていけたらと思っておりますので、是非楽しみになさっていてください。

■駒木根葵汰/“世界の終り”の僕 役(Wキャスト)

僕も初めての舞台になるのですが、一つの役をWキャストで演じることも初めての経験で、島村くんと一緒に色々な意見を出しながら、より良いキャラクターになるように日々精進しています。(池田)成志さんも色々意見を下さって、本当にみんなで作品をつくり上げているという感覚を体感しながら、「舞台ってこういうものなんだな」と感じています。稽古中、自分が出ていないパートを見ているときに、こんなに美しいものができるんだなと思い、本当に完成が楽しみです。皆様により良い舞台を届けられるように努力していきたいと思います。

■島村龍乃介/“世界の終り”の僕 役(Wキャスト)

初めて海外の舞台に立たせていただくことになり、本当に緊張していますが、同時にこの作品が海外でどのように受け止められ、評価されるのか今からワクワクしています。まずは来年の日本公演を通してどんな経験ができるのか、とても楽しみです。海外では言葉や文化は異なりますが、舞台が持つ「物語を届ける力」は世界共通だと思います。稽古を通して言葉以外の表現も磨き、この素敵な物語を皆さんにしっかりお届けできたらと思っています。

■池田成志/“ハードボイルド・ワンダーランド”の博士、“世界の終り”の大佐 役

「博士」は、科学に対して純粋無垢な人で、とても無邪気に「何故なんだろう」「どういうことなんだろう」と追求している人です。一方「大佐」は、“世界の終り”に住んでいて、すべてを捨てて安らぎの世界で生きているのですが、「僕」(駒木根葵汰/島村龍乃介)に出会って少し心を動かされているんじゃないかな、と思っています。この二役は非常に微妙で繊細で、フィリップさんが作る世界も美しくて、村上さんの原作も不思議でナイーブな世界なのですが、私自身は普段、雑で大雑把な芝居をやっているので、その繊細さをどう表現すればいいんだろう、ともがいている状態で、苦しんでいます。その結果を是非ご覧いただければと思っております。

■フィリップ・ドゥクフレ/演出・振付

フィリップ・ドゥクフレ       撮影:山本春花

この作品を演出できることは大変嬉しく、本当に壮大なプロジェクトだと思っています。ホリプロとは30年来作品作りをご一緒させていただき、今回は3作品目になります。このようにお付き合いさせていただけることにも心動かされております。今回も素晴らしいチームを組んでいただきました。俳優の皆さん、ダンサー、そして技術スタッフ、制作スタッフの皆さん、大勢で非常に質の良い仕事をしてくださっており、心から感謝します。
最初にこの作品を知った時、これをどのように舞台にできるのだろうかと思いました。異なった二つの世界が現れ、700ページあり、豊かな世界観を表現することが無理ではないかと思ったのですが、だからこそ興奮を感じたのかもしれません。いわゆる演劇でもなく、バレエでもなく、ミュージカルでもなく、同時に全てでもあるような、そんな作品です。願わくば新しい何かを、そして特別な何かを皆様にお届けできたらと思います。稽古がまだ始まったばかりですので、どうなるかはまだお話しできない状態ですが、この素晴らしい皆さんと一緒に追求しているところです。この冒険に一緒に歩み出してくれた皆さんに心から感謝したいと思います。

(左から)藤原竜也、フィリップ・ドゥクフレ       撮影:山本春花


ワールドツアー主催 コメント(抜粋)

■シンガポール公演主催:イヴォンヌ・タム(エスプラネード Co Ltd CEO)
エスプラネードは、蜷川幸雄さんの演出とホリプロの製作による『海辺のカフカ』『ムサシ』をはじめ数多くの良質な日本の演劇作品をシンガポールで紹介してきました。今回再びホリプロとともに、高名な村上春樹さんの小説を舞台化した『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を、同作のワールドツアーにおける最初の公演地としてお迎えできることを大変嬉しく思っています。 この作品の演出振付を手がけたフィリップ・ドゥクフレさん、主演の藤原竜也さんはいずれも当劇場で上演された作品でご一緒しており、エスプラネードで友人たちと旧交を温めるのが待ちきれません。

■中国公演主催:周黎静(上海町芸文化伝播有限会社 ゼネラル・マネージャー)
村上春樹さん原作、フィリップ・ドゥクフレさん演出振付による舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を中国でご紹介できる機会をいただき、大変光栄に思います。私たちがこれまでに上演してきた藤原竜也さん主演の『ムサシ』と『中村仲蔵』はいずれも中国で大変ご好評をいただきましたが、今回の舞台で描かれる世界もまた当地の観客に深い印象を残してくれることでしょう。 ホリプロのご支援により、私たちが作品の誕生と共に歩む貴重な機会に恵まれたことに心より感謝申し上げます。

■イギリス・ロンドン公演主催:トニー・ラックリン(バービカン・センター 演劇・ダンス部門代表)
世界で初めて舞台化される『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が、ここ日本で開幕することを嬉しく思います。フィリップ・ドゥクフレさんと藤原竜也さんは、いずれもその卓越した才能により、バービカン・シアターでロンドンの観客に深い印象を残してきました。数年前、バービカンは村上春樹さんの原作による舞台『海辺のカフカ』を上演し、大成功を収めました。 そして来年同じ舞台に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』をお迎えできることと、ホリプロとの長きにわたる友情を続けていけることを大変喜ばしく思っています。

■フランス・パリ公演主催:オリヴィエ・ピイ(シャトレ劇場 ディレクター)
このたび、日本人作家村上春樹さんのベストセラー小説を、フランスの演出・振付家フィリップ・ドゥクフレさんの手によって初めて舞台化する作品『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を、ワールドツアーの一環としてパリで上演できることに大変誇らしく感じております。村上春樹さんが描いた世界が、フィリップ・ドゥクフレさんの手により藤原竜也さんとともに舞台上に視覚化される、という独創的な作品をシャトレ劇場にお迎えすることを心より喜ばしく思います。

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