三宅裕司『 THE夜もヒッパレ』の舞台裏。カラオケを歌う女優を救った一言。
メインパーソナリティをパンサー向井が務めるラジオ番組。
9月26日(木)は、パンサー・向井さんが山籠もりのため『ヤーレンズの #ふらっと』
9時台のゲストコーナー『ふらっとおいでよ』のゲストは、三宅裕司さんをお迎えしました。
今ではありえない企画!TBSテレビ『テレビ探偵団』初めての司会。
楢原:我々にとっては三宅さんはテレビの司会者という。
出井:我々が今37歳なんですけど我々の世代からするとテレビでMCされてる三宅裕二さん最初に見てるんで、それ以前ってなるとラジオパーソナリティが最初のMCをやるきっかけみたいなことですよね。
三宅:ラジオパーソナリティをやって、とにかく劇団を売らなきゃいけない。マスコミに出なきゃいけないっていうんで、ラジオパーソナリティやって、あとは劇団だから演じるお笑いっていうのをずっとやってたわけですよ。それをやりたくてテレビの方でコント番組をやりたかったんですよね。
出井・楢原:ほお~。
三宅:『いい加減にします!』っていうコント番組を植木等さんと小柳ルミ子さんとか、新人だった松本明子とかと。
出井:わ~すごいメンバー。
三宅:レギュラーで自分の番組を持ってたんですけどね、ただその頃がちょうどドリフターズの『8時だヨ!全員集合』の視聴率が『ひょうきん族』に抜かれたときだったの。
楢原:あの入れ替わったって噂の!
三宅:どういうことかっていうと、もう『8時だヨ!全員集合!』は1週間かけてリハーサルをして、作りものの演じる笑い、それから舞台の仕掛けとかね、すごいのでわ笑位だったんだったんですけれども。
出井:壮大でしたもんね。
三宅:それをやったらきっと勝てないだろうと思ったかどうかは知りませんけども、裏を見せる…スタッフとか設定の実際の素に戻ってやり出しちゃう『ひょうきん族』っていうのは抜いたということで、演じる笑いのコント番組っていうのはどんどん廃れていく。
出井・楢原:はあ~!
三宅:ちょうどそのときにコント番組をやりたくてテレビ業界に入ったのが……私でございます。
出井:(笑)。
楢原:流れと逆をいったわけですね(笑)。
三宅:だからもうね、コント番組の企画が通らないわけ。そこからひな壇にいる芸人さんのトークの番組とか。素を見せるというね。
楢原:やらしい話、そっちの方が予算もね…かからないですもんね。
三宅:リハーサルもいらないしね。
出井:セットを一回崩してとかやらなくていいですもんね?
三宅:1週間リハーサルしなくていいし。それで司会の話が来るわけですよ。
出井:なるほど!コントとかというよりもMCの方どうですかっていう。
楢原:こういう番組が増えてくるからって。
三宅:その企画で司会者を…それが『テレビ探偵団』というTBSの番組だったんですけども。『テレビ探偵団』知らないでしょ?
楢原・出井:ちょっと分かんないですね…。
三宅:今じゃできない番組ですけども。
出井:どういう番組なんですか?
三宅:ゲストの方を呼んで、その人の人生の中で印象に残っている番組を何でも流してあげますよ、見せてあげますよ、と。
楢原:他局でも?なんでも?
三宅:いい質問ですね。
楢原:池上彰だ(笑)!
三宅:他局でもですよ。他局のものでも、それが海外のものでも。昔は西部劇とかテレビでやってましたから、そういうものでも何でもとにかく思い出の番組をお見せして、そこからその人の人生の話を聞く。
楢原:一緒に見て。
出井:おもしろ~!今じゃ本当できないですね。
三宅:今は視聴率競争がこんだけすごくなっちゃってると…ずいぶん前からそうですけども。今は貸さないですよ。
楢原:割とガッツリ見るんですか?ちょっとだけ?
三宅:ガッツリ。
楢原:それはすごいですね。
三宅:だからTBSでやってる番組なのにフジテレビの番組が見たいって言ったらフジテレビに行って借りてくるわけです。貸してくれたんですよ昔は。
出井:すごいなそれ。
楢原:終わった番組の映像も見れるってことですよね?
三宅:そういうことですね。日テレのも見れるし。
楢原:我々で言うと夜もヒッパレにサザンが来たかい回、とか。
出井:見たい(笑)。
三宅:そうそう、そういう思い入れがあるのを借りて見れる。
出井:HOTEL PACIFIC の。
楢原:そう、 HOTEL PACIFIC。
三宅:当時は全く見れないですからね。YouTubeも何もないわけだから。
出井:TVerとかもないし。
三宅:だからゲストの方はすごい興奮するわけですよ。そうするとそこから話が弾んでいろんな話をしてくれると。
楢原:その当時はテレビがみんなエンタメのトップだからさ、視聴者も絶対見てるし。
出井:あったあった!って言って見るんですね。
三宅:それが20%くらいいって。そこからですよ。
楢原:そこからMCとして確立されたわけですね。
三宅:事務所も司会者の方が何本もできるから。
出井:事務所の内情はいいですよ(笑)。
『 THE夜もヒッパレ』の舞台裏。芸術的な模造紙カンペと女優を救う一言。
出井:我々は『 THE夜もヒッパレ』もずっと見てましたし。
楢原:あれこそ芸能界だもんなあ。
三宅:夜もヒッパレもねすごいリハーサルをやるわけですよ。ゲストの歌のカメラ割りと、あとすごいのが当時はカンペが模造紙だったんですよ。
出井:あ、でも見たことあるわ!
三宅:スタジオ内でADさんが3人がかり。クレーンのカメラがあるでしょ?どのカメラで今撮ってるかを、歌のどこの部分でどのカメラかをADさんが覚えて、クレーンにぶつからないように模造紙を持って、それで歌う人の目線にするわけですよ。
出井・楢原:すごい(笑)。
三宅:しかも模造紙に全部書くと字が小さくて見えないから。
出井:はい。
三宅:模造紙を下へどんどん捨てていく、それを拾う役、3人がいいチームワークでクレーン車とカメラが動く中を縫うように。
出井:そんな大変だったんだ、あの番組!
三宅:それで、人の歌を覚えてきて歌うから緊張しているわけです。最初の音が録れなくて。 本番でも緊張するから。
出井:そうなりますよね。
楢原:つのだ☆ひろさんとか待たせちゃうわけですもんね。
三宅:特に、歌がなれない女優さんが歌う場合。尾崎紀世彦さんとかを待たせる中、 3回NG出したら4回目のイントロなんて入ってこない。 そこで、助けに行くのが私だ! なんて言ってあげると思う?
出井:「リラックスして」とか?
楢原:「 次はないからな。」とかですかね?
三宅:…「 誰も手伝えないから…」 これが一番効くんです。
出井・楢原:へぇ…。
三宅:要は、そこまでいくと誰かに助けてほしいんです。けど、分かるんです。「誰も手伝えないからね」っていうと、私がちゃんと歌うまで終われないと分かるんです。私がちゃんと歌わないと終われないと思うんです。
出井:はぁ…。 助けてあげたいけどって含みもあるし。
三宅:誰も助けられないって本当のことだしね。そこで気持ちがキリッとなるんですよ。
楢原:ご機嫌なカラオケ番組かと思っていたら…裏ではそんなことが。
87歳の喜劇役者・伊東四朗に心が動く!
三宅:この間、伊東四郎さんが熱海五郎一座にゲストで出てくれて。伊東四郎一座から数えて20周年の時が今年だったんですけど。
出井:へえ!
三宅:今年の6月に新橋演舞場で伊東四郎さんが86歳で出てくれて。公演中に87になりました。
出井・楢原:すごい!
三宅:これは心が動きますよね。出てくれた!ってね。
出井:そうですよね。
三宅:全員スタッフを集めて最初に伊東さんが「俺は動けないからね」と。86歳ですからね。それはわかってますよと。そのためのいろんな工夫をして講演は大成功だったんですよ。その伊東さんの87歳にしての、喜劇役者としての振る舞いに心動いたんですよね。
楢原:伊東さんはお座りになられてるんですか?
三宅:まずは伊東さんが動かなくていいような演出を考える。
楢原:なるほど。
三宅:伊東さんが出てるところで暗転になって転換幕っていうのが降りて、その幕の前に明かりが入ると伊東さんがいるっていうシーンがあるんですけど、それを普通にやると伊東さんがいるところで暗転、転換幕が降りながら伊東さんが暗い中で移動して舞台の袖に行って舞台のセンターの幕の前まで歩いて行かなきゃならない。
出井:はいはい。
三宅:そんなことを87歳の方にやらせられないですから暗転にしなかったんですよ。
出井:え!
三宅:明るいまま、そこからいきなりミュージカルシーンにして、そこに出てる2人の女の子が伊東さんの両サイドについて前へ連れていって立ち位置に置いてくるっていうね。
出井:(笑)。
楢原:置いてくるって(笑)。
三宅:で、その2人が急にそういうことをやるから伊東さんが立ち位置に立った後に「なんなの君たち」っていうセリフにして、その2人が歌で「私達はあなたのケアワーカーシスターズ」って言ってあげるわけ。
出井:面白い(笑)。
楢原:そこもちょっとお笑いにしてっていう。いいですね(笑)。
三宅:だから動かないでいい工夫を笑いに持っていく演出を随所に入れて。
楢原:確かにこれはいいですよね。実際に動けないってことを言うんじゃなくてそこすらちょっと面白くしちゃえばお客さんも楽しめるし。
三宅:そうそう・次のシーンもいっぱいそういうのがあって、今度は人数が増えてて。「さっきより人数が多いじゃないか」「私達はあなたのケアワーカーファミリー」って言ってハケていくっていう。
出井:そんな挑戦してるの熱海五郎一座だけでしょうね(笑)。
(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)