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Roseliaの紡いできたモノガタリ、Poppin'Partyへの憧れ、ファンに対する、星のように瞬く“ありがとう” のキモチ──10周年を迎えた『バンドリ!』の軌跡をRoselia・相羽あいなさんに聞く

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『バンドリ!』プロジェクトが2025年2月28日で10周年を迎えた。この10年で数多くのバンドが生まれ、音楽とストーリーを紡ぎながら進化を続けてきた『バンドリ!』。現在、2023年に放送されたTVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』から続くTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』がTOKYO MXほかで好評放送中だ。また、2026年2月28日には、『バンドリ!』プロジェクトの全バンドが出演する「BanG Dream! 10th Anniversary LIVE」の開催がKアリーナ横浜で決定している。

『バンドリ!』プロジェクトを支えてきたバンドのひとつが、圧倒的な世界観と演奏力でファンを魅了し、咲き誇り続けるRoseliaである。そのボーカル・湊 友希那役を演じる相羽あいなさんに、『バンドリ!』10周年を迎えた今の想い、これまでのRoseliaの歩み、そして未来のことについて聞いた。

【写真】Roselia・相羽あいなが振り返る『バンドリ!』10周年の軌跡

『バンドリ!』を引っ張るPoppin'Partyへの思い

──『バンドリ!』が10周年を迎えましたが、相羽さんご自身はどのようなお気持ちですか?

相羽あいなさん(以下、相羽):10周年ってすごいことだなという思いと、出会ってくださった方々、いつも応援してくださっているバンドリーマーの皆さまに、心から「ありがとうございます」という感謝の気持ちが大きいですね。

『バンドリ!』はPoppin'Partyさんをきっかけとして生まれたコンテンツなので、愛美さん(戸山香澄役)がいなかったら今の『バンドリ!』はなかったと思うんです。あいみんは、私の中でもその存在の大きさを感じます。

それに加えて、私はポピパさんのライブを観に行ったことがあったのですが、当時はまさか自分がRoseliaのボーカルになるなんて思ってもいなかったんです。『バンドリ!』というコンテンツの入り口に立っていたのがその時期で。でも、それが10周年の思い出に含まれているんですよね。右も左も分からなかった当時の私が、ポピパさんを観て、その後Roseliaとして活動を始めて、そして今『バンドリ!』10周年を迎えている。その流れを考えると、本当にすごいことなんだなって、改めて振り返りました。

──Poppin'Partyのライブを観に行かれていた当時というのは、観客として楽しまれていたのでしょうか。

相羽:一応、関係者の立場ではあったんですが、まだRoseliaのオーディションを受ける前で、ボーカルとしての歌唱チェックもしていない時期でした。純粋な興味もあって観に行ったような感じでしたね。実際にライブを観たら「すごいことをしているな」と驚きました。声優さんがギターやベースを弾いて、ボーカルをして、ピアノを弾いて……。そのときはまだ大橋彩香さん(山吹沙綾役)はいなくて、大塚紗英さん(花園たえ役)が加入して2回目のライブだったと思います。それが私の中での、『バンドリ!』の歴史の始まりという印象で、感慨深いと言うか……いろいろなことがあった10年でしたね。特に私の場合、あいみんや伊藤彩沙(市ヶ谷有咲役)、りみりん(西本りみ/牛込りみ役)は同じ事務所の尊敬する先輩たちでもあって。

当時は本当に一方的に見ている存在で、友達というより「演者さん」として見ていたんですよね。それが今では先輩になって、さらには友だち、なんならファミリーという大きな存在になっている。だから、ポピパさんが築いてきた歴史や軌跡を振り返ると、本当にすごいことだなと思います。もう背中が本当に大きくて。背負ってきたものが大きいし、築き上げたものの大きさにも圧倒されますね。

──『バンドリ!』10周年は、Poppin'Partyの10周年でもありますしね。最近、大橋さんや大塚さんにお話を伺った時も、まさにポピパ=姉妹・兄弟のような関係性ということをおっしゃっていました。Roseliaは今9年目。そういう視点から言うと、Roseliaはどのような関係性になったと考えられていますか?

相羽:なんだろうなあ。Roseliaとしての活動が始まった頃から仲は良かったんですが、間違いなく家族より会っている存在ですし……ライブの準備をしているときは仲間のようだったり、時には姉妹みたいな感じにもなるし、まるで学校みたいな瞬間もあったり。本当にいろんなシチュエーションがあります。

でも今はもう「家族」のような感覚が強いです。今日もセトリ会議をしていたのですが、プロデューサーが入ると学校のようになるんです。セトリ会議なのに「うるさいです! 静かにしてください!」って(笑)。

──6月には単独ライブがありますもんね。相羽さんは、そういう時も騒いでいる側ですか?

相羽:私も騒いでいる側にいました(笑)。場合により、立ち位置が入れ替わることがあって。あれ、録音してたら面白かっただろうなあ。

改めてRoseliaの歴史を振り返ると……当時、私は本当に何も分からない状態からRoseliaに入りましたし、工藤さん(工藤晴香/氷川紗夜役)や櫻川さん(櫻川めぐ/宇田川あこ役)も、バンド活動としてはまだまだ初心者だと仰っていたので、みんなで急ピッチで仕上げていきました。

特にRoseliaは作中で「高い技術を持つ本格派ユニット」と言われているので、本来はPoppin'Partyよりも演奏が上手くなければいけないというプレッシャーもあって。でも、私のことで言えばポピパさんより上手くなかったし、「どうしよう、全然私は高技術じゃない」と焦る気持ちが大きかったです。

おそらく工藤さんや櫻川さん、当時のメンバーである遠藤ゆりかさん(初代 今井リサ役)、明坂聡美さん(初代 白金燐子役)も、きっと葛藤があったと思います。そこで、見せ方やパフォーマンスを意識して、どれだけ強く魅せられるかを意識しつつ、「私たちはなにか違う、とりあえずオーラを見せていこう!」なんて話していましたね。

──Roseliaの初ステージは、Poppin'Partyのライブのサプライズ出演でしたよね(「BanG Dream! 3rd☆LIVE Sparklin' PARTY 2017!」のシークレットゲスト)。

相羽:はい、2017年2月5日ですね! 記念日が好きなので覚えてるんです(笑)。私はいつも記念日をメモしていて……(念のため確認して)やっぱり2月5日ですね。Roseliaとして初めてステージに立った日で、そこから8年が経ちました。今はライブの技術的な話をするようになって、メンバー間の会話の内容も変わりました。

──それだけ成長されたということですよね。

相羽:初期は「パフォーマンスをどう魅せるか」が主な話題だったのに、今は「どんな技術を取り入れるか」という話をしています。私自身、ボーカルとしての意識もどんどん変わってきました。

──歌い方について、どのような変化があったように感じていますか。

相羽:ものすごく変わりましたが、特に自分とマイクにどう向き合うかという意識が変わりました。Roseliaに入る前は、「歌う=とにかく声を出せばいい」と思っていたんです。でも、それだと声が枯れてしまうし、マイクにしっかり乗らないことに気づいて。

「あ、そうじゃないんだ!」って、そこからゼロからのスタートでした。どうやったらマイクにしっかりと声を乗せられるのか、どうやって歌えばいいのかという発声の基礎から学び直しましたね。何ができて何ができないのかもよくわからなくて、とにかく「Roseliaのために頑張らなきゃ!」って必死でした。

でも、今は「どうやったらもっとRoseliaらしさを出せるか」「どうやったらもっとお客さんに喜んでもらえるか」「どうやったらみんなと一つになれるか」といったことを考えるようになりました。以前はスタッフさんに言われたことをとにかく一生懸命やるだったのが、今では「こうしたらもっと良くなるんじゃないか?」とメンバーと一緒に意見を出し合いながら作り上げていくようになりましたね。

──ボーカリストとしての意識も変わったのでしょうか?

相羽:めちゃくちゃ変わりました。最初の頃は自分に自信がなくて、「どうして私がRoseliaのボーカルに選ばれたんだろう?」と悩んでいた時期もありました。そもそも、Elements Gardenの上松範康さんが私の歌を聴いて「大丈夫、磨けば絶対にいけます!」と言ってくれたのがきっかけだったのですが……ボーカリストとしての経験があったわけではないし、確かに芯の強さや声の張り、高音は出せるけど、「私には他の人に勝るものがないのでは?」と思ってしまっていて。選んでくれた人がいる限り、そんなことを思うのもどうかなとも思うんですが……。

でも、「R」(2018年7月発売の6thシングル)を歌ったときに、「あなたはハイトーンですよ」と言われたような気がしたんです。直接的にそう言われたわけじゃなく、入っていたから歌った……という感じではありますが、でも言われたような気がして。

その後に「FIRE BIRD」(2019年7月発売された9thシングル)があって、はっきりと「あ、私の武器はハイトーンなんだ」と気づいたんです。そこから「自分の武器をもっと磨こう!」と意識が変わりました。もちろん、短所も克服しながらですけど、自分が評価されている部分をさらに伸ばそうと思ったんです。

Roseliaの絆のモノガタリ

──そういう話ってメンバー内でされることもあるんですか。

相羽:話してましたが、当時はそこまで詳しくなかった気がします。でも私はメンバーに対して、たくさんのリスペクトがあって。志崎さん(志崎樺音/白金燐子役)のピアノは本当に麗しくて素敵で感情が乗っているし、櫻川さんのドラムも信じられないくらい上達して、迫力が増し増しになっていて、「今の千手観音くらい手あったで!」って驚くくらい!(笑) 工藤さんは、ギターの音色に感情が乗っていて、音色にこだわっている姿も含めてとてもクール。中島(由貴)(中島由貴/今井リサ役)さんのベースは、音もパフォーマンスもすごく力強く安定感がある。もうみんな本当にかっこいいんですよ! かっこいい・辛い・悲しい・楽しいといった色んな感情を音で、パフォーマンスで、表現していて。みんなの音に支えられているんですよね。だからこそ、「私も負けていられない!」と思うんです。でも、私は楽器を弾かずに歌うだけだから、ちょっと劣等感を感じることもあって……。

──そうだったんですか。

相羽:みんなはいろいろな仕事がある中で楽器を弾いていて、本当にすごいし、尊敬していて。私は私の役割を全うするためにも、ボーカルをもっと磨いて、説得力のある歌を届けないと、みんなにも失礼だし、Roseliaのためにならない。だから、私はボーカリストとしてさらに成長しなきゃいけないなって思っていました。

そしたら、あるとき、メンバーが「Roseliaの歌はあいあいにしか歌えないよ」と言ってくれたんです。「この曲は他の人が歌っても成立するかもしれないけど、それはRoseliaじゃない」って。それを聞いたとき、すごく救われた気持ちになりました。しかも、同じような言葉を4人から言われたんですね。もう本当にすごく嬉しくて。

──それぞれ別のシチュエーションの中で、そういう話が?

相羽:そうなんです。櫻川さんがライブ映像を見ながら「いや、あんたすごいよ!」って言ってくれたり、中島さんが「この歌は本当にあいあいしか歌えないよ!」って言ってくれたり。ふたりはすっごく気軽に言ってくれた言葉だと思うんですけど、すごく刺さりました。

工藤さんも「あいあいにしか歌えないんだよー。あいあいの歌だよ!」って真剣に言ってくれたことがあって。一方、志崎さんは直接じゃなくて第三者に「あいあいさん、本当にすごいんですよ!」「(声を)聴いてくださいよ!」って言ってくれているらしく、それを聞いてまた嬉しくなりました(笑)。私に直接言ってくれたのは酔っている時でしたね(笑)。それもまた嬉しい。

本当に、Roseliaのメンバーは最高の仲間です。だからこそ、私もこのバンドをもっともっと成長させたいし、これからも全力でボーカルを磨いていきたいと思っています。

「友希那と同じ場所に立っている」

──お話を伺っていると相羽さんご自身はどちらかというと、少しネガティブな面もあるんでしょうか?

相羽:そうなんですよ(笑)。ポジティブに見られがちなんですけど。

──でもそこから這い上がる心意気はすごくポジティブな気がするんです。

相羽:ああ、なるほど……確かにめちゃくちゃポジティブだ(笑)。落ち込んでいる時間がもったいないので、そこから這い上がるだけっていうか。本当に最初の頃は「私が湊 友希那でいいのか?」ってずっと思っていて、世の中には歌の上手い人がたくさんいるし、「私なんて全然ダメだ……」と。

私が思い描いているRoseliaのボーカル・湊 友希那に、ずっと自分が追いつけていないと感じていました。ステージに立っている時はそういうことは考えてないんですけど、でも改めて見返すと、全然友希那に勝てない……って。でも、今は「友希那と同じ場所に立っている」って思えるようになりました。

──相羽さんにとって、湊 友希那はどんな存在ですか?

相羽:すごく助けられている存在ですね。私自身、それこそ自信がなかったり、悩んだりするタイプなんですが、そんなことを考えている暇がないくらいRoseliaの活動に追われていて。でも、友希那自身も悩むこともあって、それでも彼女は前に進み続ける。その姿勢に私も影響を受けていると思います。それと、真の強さという意味では、私も持っている部分があるからこそ、どこか似ているんじゃないかなと感じます。「こんなことしてる場合じゃない、早く次のステップに行かなきゃ!」って思うのは、友希那と共通している部分かもしれないですね。

──まさに「相棒」的な存在なんですね。

相羽:そうかもしれないですね。落ち込んだ時に、「友希那だったらどう考えるだろう?」って考えることがよくあります。そう思うと、もう1人の自分……と言うにはちょっと大げさかもしれないけど(笑)。

でも、友希那から学んだことは本当に多いです。彼女はもともと1人で突き進むタイプで、周りをあまり気にせずにきつい言葉を投げたり、幼馴染のリサすら、傷つけたりしてしまうことがあった。でも、Roseliaの活動や、Poppin'Partyの香澄たちと関わる中で、人との関係を大事にするようになってきたんですよね。

──友希那自身も成長している、と。

相羽:そうですね。人と成長していった、というか。昔は「音楽のためなら、人に何を思われてもいい」って思っていましたが、今は音楽を通して、人とのつながりも大切にするようになった友希那の姿を見ていると、しみじみ成長しているんだなって思います。

私はどちらかというと、友希那と正反対。人が大好きで、嫌われたくないタイプなんです。友希那は「嫌われてもいい、別に気にしない」と思うタイプだったから、すごく対照的で。でも、彼女といられることで「何を思われてもいい、自分の信じるものを貫けばいい」と考えられるようになりました。

──『バンドリ!』の活動を通じて、相羽さんご自身の考え方、スピリットにも変化があったと。

相羽:本当にそうですね。もともとは「嫌われるのが怖い」って思っていたけど、「Roseliaのため、作品のためなら私自身は何を思われてもいいや」って思えるようになりました。譲れないものは妥協せずに伝えようって。前の自分だったら、もうちょっと……人にどう思われているか、気にしていたと思います。

それって、私だけじゃなくてメンバーみんなも同じ気持ちじゃないかな? Roseliaというバンドを良くしたい、作品をより良くしたいっていう気持ちがある。みんなが真剣に向き合っているんですよね。だから、「人にどう思われるか」なんて別に気にしない。大事なのは、Roseliaをもっと良くすることなんです。

──Roselia、『バンドリ!』が、相羽さんの人生にも大きな影響を与えているんですね。

相羽:めちゃくちゃ影響されています! 友希那から学んだことは、歌だけじゃなくて、精神的な部分も大きいですね。めちゃくちゃ強くなることができました!

一度でいいから、客席でRoseliaのライブを観たい

──そんな相羽さんが特に印象的だった対バンライブはありますか?

相羽:やっぱりPoppin'Partyさんとの合同ライブ『BanG Dream! 9th☆LIVE「The Beginning」』(2021年)ですね。念願すぎて……すごく嬉しかったです。なんだったらもう1回やりたい。さっきの話と被ってしまいますが、Poppin’Partyさんあっての『バンドリ!』なんですよね。私も彼女たちのライブを観ていたから「いつか一緒にやりたい」と思っていました。その夢が叶った瞬間は、本当に感動しましたね。

──最近は新しいバンドも増えてきましたね。

相羽:今はMyGO!!!!!やAve Mujicaや無限大みゅーたいぷといった新しいバンドが登場していて、「一緒にやりたいなあ!」って思いつつ、まだ直接対バンしたことはないんですよね。

──確かに「Farbe」(2023年/有明アリーナ) のときにAve Mujicaは、オープニングアクトという形でしたもんね。

相羽:もしできることなら、ちゃんとストーリーの中できっかけができて、一緒にライブをする展開が生まれたらいいなと思います。

──『バンドリ!』の音楽性もどんどん広がっていますね。

相羽:そうですね。しかも、 各バンドの音楽を聴けば、「あ、このバンドだ!」ってすぐに分かるのがすごいなと思います。それぞれのボーカリストの個性も、それに合ったバンドサウンドもすごいなって。唯一無二の音楽になっているんですよね。本当に『バンドリ!』ってすごいなって思います。

それこそ、初めての合同ライブは、RAISE A SUILENさんとだったんですけれども(2019年/「Rausch und/and Craziness」)、ジャンルは違えど、私たち、バンドとしては互いにつよつよじゃないですか。でもRASさんはプロ、私たちはまだまだ。どうやったらRASさんと同じステージに立てるんだろうね、ってRoseliaで試行錯誤していました。

いつも以上にMCも少ないだろうし、ペース配分も考えてやらなきゃいけないねってめちゃくちゃ作戦会議をした記憶があります。Roseliaを知らないRASさんのファンに、どうしたら刺さるんだろうって。

──相羽さんは演出面まで、特に細かく考えられている印象です。

相羽:みんなと考えていますね。「この流れでいったら熱いよね!」とか、一回、ライブを観るファンになるようにしているんです。それは私だけじゃなくて。実際に曲を並べてシミュレーションして「わーっ!」ってみんなで盛り上がったり、「この曲良いじゃん!」って言い合ったり。逆に「ちょっとここでは、このイントロだと乗り切れないな」って変えることもありますね。

──Roseliaでありながら、Roseliaのファンでもある。ある意味、いちばん最前列にいるRoseliaのファンといいますか。

相羽:確かに!(笑) だから「一度でいいから、客席でRoseliaのライブを観てみたいよね」って話してるんですよ。絶対無理だけど……科学の進歩で、どうにかならないですかね?(笑)。

でもそれで言うなら、今の私の叶えたい夢は「Poppin'Partyさんのライブを最前列で観ること」です! ……武道館ライブ……でキラキラドキドキを感じたいです……しばらく観に行けてないので、ポピパさんのライブ観たいですね。って、何の話でしたっけ?(笑)

──セトリの話をしていました(笑)。でもさすがに、歴史を振り返ると、いろいろなトピックスがありすぎて、混乱するのも無理もないですよね。

相羽:そうだ、セトリだ(笑)。でも、本当に話したいことが多すぎて、6時間でも足りないくらいです。セトリに話を戻すと、テーマを決めて、それに合わせて曲を選ぶことが多いですね。「こういうテーマでいこう!」と決めて、みんなで曲を当てはめていくんですけど……意見が分かれるんですよ。

例えば、「元気な曲を選ぼう!」となったら、「Roseliaの“元気”ってなんだろう?」って話し合うんです。でも、人によって「元気」の解釈が違うので、「この曲、歌詞に“元気”って入ってるから入れよう!」っていう発想になったり(笑)。まず曲を入れてみて、組んでみて、「ちょっと違うな」ってなったら、またやり直す、みたいな。

──そういうやり方は最初からですか?  それとも、曲が増えてきたからこそ?

相羽:当初からかも? 私、すっごく覚えていて……基本的には焼肉屋さんでセトリを考えることが多いんですけど(笑)、ある時は「ハードロックカフェ」で考えたこともありました。外で打ち合わせするときは、周りのお客さんに迷惑にならないように、こそこそと。

でもたまに「今日はちゃんと考えよう!」ってご飯を食べながら作戦会議になって、気づいたら誰もセトリの話をしていないこともあります(笑)。で、あとから来たくどはるに「全然セトリ考えてなくない?」ってつっこまれて「確かに!」「ほんまや!」って。

──仲の良さが伝わってくるエピソードばかり。

相羽:本当に、そういうチームにすごく救われています。

──相羽さん自身も、来年でデビュー10周年ですよね?

相羽:そうなんですよ! 2016年デビューなので10周年なんです。ほぼ、湊友希那とデビューが一緒なんですよね。今思うと、私を友希那に選んでくれた人たちは賭けだったんじゃないかなって思います。

だって、私は元プロレスラーで、歌の経験はほとんどなかったんですよ。いくらパワフルとは言え、私自身のキャラクターも友希那とは全然違いますし。友希那が「青い炎」だとしたら、私は「赤い炎」。そんなに違うタイプの私を友希那に選ぶって、かなりのチャレンジだったと思うんです。

それが賭けだったかどうか……は詳しく聞いてませんが、「テキトーに選んだ」なんてことは絶対になくて、真剣に考えてくださった結果で。自分を信じて選んでいただけたことが本当にありがたいし、「ありがとうございます!」っていう気持ちしかないです。

今振り返ると、Roseliaをやっていなかった世界線なんて考えられなくて。もしRoseliaがなかったら、今のメンバーとも出会っていないって……考えられないし、自分自身も成長できていなかったかもしれない。そう思うと、めちゃくちゃ怖いですね。

──『バンドリ!』に出会って、人生が大きく変わったわけですね。

相羽:本当に「ありがとう!」って思います。だって、友希那に出会わなかったら、自分の長所にも気づけていなかったと思うし。間違いなく、上松さんのおかげですし、ハイトーンボイスという武器には気づけていなかったと思います。「FIRE BIRD」も生まれていなかったかもしれないですよね。

──こうしてお話を聞いていると、今すぐに「FIRE BIRD」を聴きたくなります(笑)。

相羽:私自身も改めて聴くと、「ああ、こんな風に歌ってたんだな」って思うことがありますし、聴き返すことはよくあるんです。Roseliaの初期の楽曲でも高音はあったんですけど、あの頃は今ほどロングトーンを意識してなかったんですよね。上松さんや藤永龍太郎さん(Elements Garden)はずっと私の声を聴いてくれていたので、そこを見抜いてくださったのかなって思います。

例えば、「LOUDER」っていう楽曲は、「BLACK SHOUT」のカップリングなんですよね(2017年にリリースした1st SingleCD)。「LOUDER」をレコーディングしたとき、あまりに魂を込めすぎて、収録後に声が出なくなってしまったことがありました。

今、同じ発声で歌えって言われても、多分できないと思うんですよね。あの時はあの時の良さが絶対にあって。武器の使い方が変わったというか。(当時の歌い方は)喉には負担のかかる歌い方ではあるんですけど、かと言って、声は変えてはいけないし。そこはすごく考えさせられました。

──過去の自分の歌い方を聴いて、「ここはいいな」と思うこともありますか?

相羽:ありますね! 自分のライブ映像とかを観ると、「この時の気持ちの入り方、良いな」とか、「この歌い方、今の自分だったらどう表現できるかな」って考えます。それと、工藤さんと櫻川さんと最初のステージに立ったあの時の、殺気やオーラは凄かったよねーって話すのですが、あれってあの時にしか出せなかったものもあると思うんですけど、それを忘れたくはないというか。それは志崎さんにも中島さんにもあって。

中島さんが初めてステージに立ったのは「BanG Dream! 5th☆LIVE Roselia -Ewigkeit-」(2018年)、志崎さんは「Roselia Live Vier」(2018年)だったんですけど、それぞれの「初めて」ってドキドキしたと思うんです。みんなそれぞれ、あの当時の「やってやるぜ!」という気持ちを大切にしているんじゃないのかなって。

──その初心を忘れない気持ちは、言わずもがな、共鳴するものがあるんでしょうね。

相羽:そうですね。ライブ前、円陣を組むときも「やってやろう」「私たち世界一かっこいい!」って言い合って。ぶちかます!って気持ちでステージに出ていきます。だからみんなあんなにカッコいいのかなあって。

──なんだか面白いですね。Poppin'Partyの皆さんはマイペースにステージに向かっていくという話をされていて。昔は円陣を組んでたよね、といった話をされていました。

相羽:へえ! 私が円陣やりたがりというか(笑)。体育会系ということも関係しているかもしれません。私は緊張すると、人にハグしてもらうんですよ。それで心を落ち着かせているんですけど、それと同じ感覚が円陣なのかもしれません。メンバーと一回、確認しあうところがあります。

歌をうたい続けた今。溢れ出す想いと“ありがとう”

──こうして8年間続けてきて、お客さんもどんどん増えていますよね。さらに、初期からずっと応援してくださっている人もいるという。

相羽:本当にありがたいことです。最近特に感じるのが、「ファンの皆さんも『バンドリ!』のキャラクターと一緒に成長している」ということです。

「昔は小学生でした!」とか「中学生だったんですけど、やっとバイトできるようになって、初めての給料でライブに来ました!」っていう子たちがいるんですよ! 私たちからすると「そうなの?」って驚きで!(笑)

それと、「See you! 〜それぞれの明日へ~」が出るのと同じタイミングで「私も卒業しました!」って報告してくれる方がいたりして「一緒じゃん!」「羨ましい、私もその世界線で生きたかった!」と(笑)。まあ、そうしたら今のパフォーマンスはできていないんですけども……。

あとは家族が増えて「娘を連れてきました!」とか、海外のファンの方からお声をいただいたりするのが、本当に嬉しいですね。最近好きになりました、ってお声も本当にありがたいです。

──まさに、相羽さんにとって『バンドリ!』が人生を変えたように、ファンの方にとっても『バンドリ!』、Roseliaが人生になっているんでしょうね。

相羽:それはすごく感じます。私も学生時代に音楽に支えられてきたので、それが今、自分の歌を通じて誰かに届いているんだって思うと、すごく感慨深いです。私の歌がその人の支えになっているんだ、というのがとても嬉しいですね。誰かのためになれているんだったら、もっと頑張ろう!って。もっともっと、ぶつけたいなって。

──ちなみに、相羽さんが学生時代に励まされた曲は?

相羽:たくさんあるんですけど、1曲上げるとしたらケツメイシの「手紙 ~未来」という曲がすごく刺さっていて。「私、ちゃんと大人になれるのかな?」って悩んでいたときに、この曲を聴いて励まされていました。

それとマイケル・ジャクソンの「Man in the Mirror」とか。背中を押してくれる曲に助けられています。で、Roseliaの楽曲ってめちゃくちゃそれが多いように感じていて。 Roseliaは強いは強いんですけど、挫折もしているんですよ。落ち込むときもあるけど、だけど今から私たちは這い上がるわよ、という強さがある。それは歌いながら、自分自身も励まされるような気持ちになりますね。

Roseliaに救われた曲はたくさんあります。「BLACK SHOUT」もそうですね。〈黒でもいい【all right】 白じゃなくても【ok】〉とか……周りとは違うかもしれない、でも私は私で生きていくんだ、ってすごく良い歌詞だなって。

──まさに応援歌ですね。辛いことが多いかもしれない、それでも……っていう。

相羽:そうなんですよね。今のRoseliaは「押す」だけじゃなくて、「寄り添う」こともできるようになってきたのかなって思います。コロナ期間で言うなら、私達はここにいるというメッセージが込められた「ZEAL of proud」(2021年発売の11th Single)。私自身、コロナ禍の時はすごく不安でしたが、みんなに「ここにいるよ!」と言えることが励みになったし、ファンの方々にもそれを伝えたいなと思っていました。今のRoseliaだからこその説得力があるんじゃないのかなと。

──そう考えると、Roseliaって本当に成長してきたバンドなんですね。

相羽:そうなんです。進化してきました。Ave Mujicaになにかできるなら力になりたいですね。

──Ave Mujicaは現在(インタビューは2月下旬)結構なピンチですね……。

相羽:Ave Mujicaを見ていると、私だったらどうするかな、Roseliaだったらどうするんだろう、なんて思います。

──それこそTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』もRoseliaもですが、海外での『バンドリ!』人気がすごいですよね。Roseliaは先日上海での追加公演(「Stille Nacht, Rosen Nacht」)があったばかりで。

相羽:半年くらい前に「また上海でライブできたらいいな」って言っていたんですが、まさか本当に半年後に実現するとは思っていなくて。しかも、前回の初の上海単独公演のチケットが即完売だったと聞いて、びっくりしました。「え? そんなにたくさん応募が?」って。「今回もやります!」って発表されたときも、キャパがさらに大きくなったと聞いて、「え? こんな大きい会場で?」「ここ上海だけど」ってまた驚いて(笑)。でも、それだけ多くの方がRoseliaを待っていてくれたんだと思うと、本当に嬉しかったです。やっぱり音楽の力ってすごいなって、改めて感じましたね。

逢いにゆくわ 今、 貴方のもとへ 共に歌おう

──改めて、『バンドリ!』ファミリーとしての今後のビジョンといいますか。これまでの10年、そしてこの先の10年について、お考えをお聞かせください。

相羽:本当に10年ってすごいですよね。仲間がどんどん増えていく中で、『バンドリ!』チームの一員としては、もっとたくさんの景色を一緒に見たいなって思います。やっぱり、みんなとステージに立ちたいですよね。『バンドリ!』ならではのフェスだったり、全バンドが集まるようなライブだったり……そういうのをみんなも見たいんじゃないかなって思うし、私自身も見たいです。

それと、もっともっと『バンドリ!』というプロジェクトの魅力を多くの人に知ってもらいたいですね。Roseliaだけじゃなくて、いろんなバンドがいて、今全部で10バンド。こんなにすごいバンドがいるんだぜ、って!

特にいま、ありがたいことにMyGO!!!!!とAve Mujicaで新たな風が吹いていて。ロックはロックでも、その中に違いがあるし。バンドごとに違う音楽の世界観があるからこそ、それが一堂に会したときに生まれるものって、すごく特別なものになるんじゃないかなって。それぞれの世界観や音楽があって、それぞれの物語がある。そんな『バンドリ!』の魅力を、これからもたくさんの人に届けたいなって思います。

──特に、新しいバンドや世代のファンが増えていく中だからこそ。

相羽:いくらでも沼れる可能性があると思います(笑)。それぞれのバンドの性格も、サクセスストーリーも全然違いますから。たとえば、Pastel*Palettesはアイドルバンドにもかかわらず、最初ちょっとギスギスしたところから始まったり、ハロー、ハッピーワールド!にはいつもハッピーだけど、ハロハピならではの悩みがあったり。Afterglowの幼馴染感もすごくリアル。それぞれに感情移入ができるところがあると思います。

──それぞれのバンドに、それぞれのドラマがありますよね。

相羽:そうなんですよ。だからこそ、Roseliaもまだまだ進化し続けたいなって思います。

──Roseliaは6月に単独ライブを控えていますが、Roseliaとしての目標というと?

相羽:やっぱり「会いたい」って言ってくれる方のもとには、できる限り会いに行きたいなって思っています。初の全国ツアーをすることができて(2024年開催「Rosenchor」)、ようやく「ずっと生で見たかった!」っていう方々にお会いできたのがすごく嬉しかったので。さまざまな事情から、なかなか来られない方もいらっしゃるじゃないですか。

そんな方の近くの場所に行くことができて、「やっとRoseliaを見ることができました!」という声を聞いたときに「めっちゃ気持ち分かる!」って。私自身、大阪にいたので学生時代はなかなか東京には行けなくて、目当てのライブを見ることができないこともあって。

だからこそ、今会いたいと言ってくれる人がいる限りは、日本国内はもちろん、海外の方々にも会いにいきたいなと。しかもRoseliaは、成長し続けて、頂点のその先を目指したいと言っているので。私たち自身も成長して、新たなRoseliaを皆さんにお届けし続けたいなって思っています。

──ちなみに大塚さん、大橋さんが「おばあちゃんになるまでポピパをやりたい」とおっしゃっていたのですが、相羽さんはどうでしょう?

相羽:それは私たちもよくそういう話をしています。もしその時がきたら「BPM落としたりするのかな」「私も激しくできないのかな」とか(笑)。続けていいですよ、って言われたら、それこそずっと続けていきたいです。それくらい、『バンドリ!』ってすごいプロジェクトだと思っています。

──この先のRoseliaのアニバーサリーも、『バンドリ!』の15周年、20周年も楽しみにしています。

相羽:ですね! その頃私は何歳になるんだろうは考えないようにします(笑)。友希那はまだ大学生ですし。この先彼女たちにも私たちにもどんな未来が待っているのか、とてもとても楽しみです!

【インタビュー・文:逆井マリ 撮影:小川遼 編集:鳥谷部宏平】

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