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2市1町で進める「婚活」事業。官民連携の多彩なイベントでカップル成立数も増加中!【新潟県新発田市、胎内市、聖籠町】

田舎暮らしの本

2市1町で進める「婚活」事業。官民連携の多彩なイベントでカップル成立数も増加中!【新潟県新発田市、胎内市、聖籠町】

新発田市、胎内市、聖籠町の3自治体が民間業者と連携して行う「婚活支援事業」が注目を集めている。地域密着型のイベントが多数開催されており、まちの関係人口を増やすうえでも効果的。担当者と、イベントに参加して生涯のパートナーに出会った方を取材した。

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掲載:2025年1月号

新潟県新発田市 しばたし
越後平野の北部に位置し、県都・新潟市に隣接する人口約9万2000人のまち。10万石の城下町として栄えた歴史を持ち、新発田城や足軽長屋などの文化遺産が点在。月岡温泉や白砂青松の海岸、磐梯朝日国立公園など、観光資源にも恵まれている。新潟空港より車で約30分。

定住自立圏の事業の1つ、婚活支援を合同でスタート

 新発田市を中心市として、定住自立圏を形成する新発田市、胎内市、聖籠町。さまざまな分野で連携しているが、そのうちの一つが、婚活支援事業である。

 新発田市みらい創造課の大森裕子さんは、その経緯について次のように説明する。

 「これまでも新発田市と胎内市では独自に婚活事業を行っていましたが、2016年にこの2市1町で定住自立圏を形成したことで連携し、合同で婚活事業を始めることになりました」

 行政だけで婚活支援を行った場合、特に女性の集客が難しかったり、企画や事後相談のノウハウもないため、参加者のニーズに応えられないことも多い。そのため、3市町では民間業者の協力を得ることに決めた。

 「自治体と連携して婚活事業を行うからには、その主体となる自治体のファンになってもらうという気持ちで行っています」

 そう話すのは、委託業者の株式会社トアイリンクスの佐藤ユウキさん。

 「カップルになるだけが婚活イベントの成功ではなく、地元の人にまちの魅力を再発見してもらったり、市外の交流人口を増やしたり、そんな基地局のような役割を果たしたいんです」

 委託業者はいるが、運営は丸投げではない。3市町と佐藤さんで定期的に会議を開催し、全員でアイデアを出し合いながら、企画内容からポスターの絵柄まで、事細かに決めていく。

新発田市・胎内市・聖籠町 定住自立圏婚活支援事業

3自治体では、カップリングありの婚活イベントを年2回、コミュニケーションやメイクなどのスキルアップとライフデザインのセミナーを兼ねたイベントを年2回開催。そのほか、完全予約制の個別相談やLINEでのお悩み相談、イベントで気になった参加者にメッセージを伝えられる「チャレンジポスト」などもある。また、婚活支援事業を通じて結婚し、引き続き3市町に住む夫婦に対し結婚記念祝品を贈呈。

【実績】 婚活支援事業(平成29年度~令和5年度)
□婚活イベントのべ参加者数/890名
□カップル成立率/平均42%(平成29年度~令和5年度)
 直近だと平均48%の成立率!(令和3年度~令和5年度)

右から、新発田市の渡邊祥子さん、株式会社トアイリンクスの佐藤ユウキさん、新発田市の大森裕子さん、蒲木みゆきさん、聖籠町の宮森郁恵さん、胎内市の小野響子さん。婚活のほか、ライフデザイン事業にも関わっている。

2023年のイベント「冬恋」の様子。男女とも事前セミナーを行うため、カップル成立率が5割前後と高いのも特徴だ。

個性的なイベントで同じ趣味の相手と出会う

 これまで、地元の店を活用した婚活パーティーのほか、新発田市の寺町エリアや胎内市の天文館、聖籠町のフルーツ狩りなど、地域に密着したテーマで婚活イベントを開催してきた。なかでも人気なのは、クリスマスパーティー「冬恋」。フレンチレストランを会場に、ランチやプレゼント交換、クイズ大会を行うイベントだ。

 「自治体が積極的に関わっているからこそ、地域の企業やお店を巻き込むことができ、その土地の魅力が伝えやすくなります。この定住自立圏では3自治体で地域を盛り上げていこうという空気があるので、とてもいい流れだと思います」(佐藤さん)

 また、3自治体の担当者同士で事業を共有することにより、お互いに相談し合える横の関係を構築できるのも大きなメリットだという。それは婚活という枠だけにとどまらず、自分の人生を設計する「ライフデザイン」の啓発活動にも及ぶ。

 「婚活とは、ライフデザインの一部です。これは、就職、結婚、出産、転職など人生のイベントを自分でデザインし、人生を考えていこうという概念です。定住自立圏では、一般向けのライフデザイン講座を開催してきましたが、新発田市が実施している中学生向けの講座も、定住自立圏に広げていきたいという計画があります」(新発田市・蒲木みゆきさん)

 ライフデザイン講座と具体的な婚活イベントを提供することにより、一人ひとりのマインドが変わり、婚活の活動層が増える。地道な活動ではあるが、実際に婚活を経て成婚した人たちの笑顔は、周りの人のライフデザインにもいい影響を与えることだろう。

10月に秋の乙宝寺(おっぽうじ)で婚活イベント「寺恋♡」を開催。「寺弁」付きで参加者にも大好評。

胎内市の海岸砂丘の林の中に位置する乙宝寺。芭蕉ゆかりの寺でもある。

相手のことを思うだけで毎日の生活に張りが出る

  2024年8月8日に結婚した田中悠也さん・菜穂さん夫妻は、23年の冬恋イベントで知り合った。菜穂さんは友達にイベントを教えられて、悠也さんは会社の回覧でチラシを見て、それぞれ参加を決めたという。

 「私たち2人とも8番だったんです。だから最初の自己紹介のとき、ちょっとだけ話す時間が長かったというのもあって、お互いに印象深かったのだと思います」と、菜穂さん。

 「最初に会ったときから、優しい感じと話しやすさがあって、好印象を持ちました。付き合ってからは、優しい印象はそのままに、責任感があって頼りになる人だなと」(菜穂さん)

 「僕も、最初はかわいい人だなと思ったんですが、付き合い始めて、意外としっかりしているなと思いました。価値観が似ているので、この人になら財布を預けられるなって思ったんです」(悠也さん)

 また、菜穂さんの仕事は管理栄養士。実家暮らしのころから料理が好きで、忙しいときもつくり置きで自炊していたという。

 「料理がとてもおいしくてバランスもよく、彼女に胃袋をつかまれました(笑)」(悠也さん)

 最後に、結婚してどのように生活が変わったかを伺った。

 「それまで、あまり行かなかった場所に行くようになりました。例えば、カフェとか洋服屋さんとか、水族館とか。生活の新しい楽しみが増えて、人生の幅が広がったような気がします」(悠也さん)

 菜穂さんの場合は、生活のパターンではなく、その質が変わったという。

 「もう、何をしていても楽しいんです。料理も掃除も、誰かのためにするというだけで、毎日が本当に楽しくなりました。生活に張りがある感じです」

 イベントで生まれたささやかな縁が、2人にとってかけがえのない未来を紡いでいる。

田中悠也さん・菜穂さん夫妻
2人とも新発田市出身。悠也さんは設備会社勤務で、申込み期間の最終日にパーティーに申し込んだ。菜穂さんは管理栄養士で、市内各施設の献立をつくる会社に勤務。新発田市内で好きなスポットは新潟県愛鳥センター「紫雲寺さえずりの里」。写真は「清水園」の国指定名勝・旧新発田藩溝口侯の下屋敷にて。2人とも「子どものころに来たことがあるけれど、こんな素晴らしい場所だったとは!」と口を揃える。

古いお寺が点在する「寺町通り」の町並み。風情たっぷりで、散策にもぴったり。

結婚指輪を選んだ日。8番同士だったので、8月8日に入籍した。

悠也さんが早く帰った日は料理を担当。「彼の料理、とってもおいしいんです」と、菜穂さん。

移住&子育て支援

◆新潟県新発田市
まずはお試し移住で新発田暮らしを体験

城下町の風情と豊かな自然が魅力の新発田市。図書館と遊び場が一体となった複合施設や遊具が備わった広い公園があり、子どもたちが安心して遊べる環境が整う。24年9月からは市独自の「1歳児保育無料化」を実施し、2歳児の保育無料化の対象年齢を拡充。子育てに関する悩みや質問をサポートするチャットボットや、妊産婦と子どもの健康データや予防接種などの管理に活用できるアプリ「きらりん☆しばた」など、I CTも活用した支援も展開。

問い合わせ/みらい創造課 ☎0254-28-9530

新発田駅前にある複合施設「イクネスしばた」内にある「こどもセンター」。

◆新潟県胎内市
自然豊かなまちで悠々自適な暮らしを

飯豊連峰と日本海に囲まれた、自然豊かで生活利便性の高いまち、胎内市。一般住宅型の「お試し移住体験住宅」が整備されており、リアルな生活を体験するのにぴったり。また、移住する人に向けて、賃貸住宅の借り入れや空き家のリフォームに対する補助金制度がある。最近リニューアルされた「樽ケ橋遊園」は、動物との触れ合いや家族で楽しめるアクティビティが充実。市内にはスキー場もあり、冬も活動的に過ごせる。各種子育て支援もあり。

問い合わせ/総合政策課 ☎0254-43-6111

胎内市では、4月から5月にかけて「チューリップフェスティバル」を開催。

◆新潟県聖籠町
子育て世帯から人気の果物がおいしいまち

果樹の里と呼ばれる、果物の栽培が盛んなまち。夏はサクランボ狩り、秋はブドウ狩りなどに、多くの家族連れが訪れる。誕生祝い金のほか、2歳児までの医療費無料と保育料半額、保健師や子どもソーシャルワーカーなど各種子育て支援があり、妊娠期から子育て期までを切れ目なくサポート。高速ICやバイパスもあり、新潟市や新発田市へのアクセスも良好。住宅取得支援の補助金は、18歳以下の子どもが同居する場合など要件を満たせば加算あり。

問い合わせ/総合政策課 ☎0254-27-2111

聖籠町では、初夏から秋にかけてサクランボやナシ、ブドウなどの摘み取りが人気。

文・写真/はっさく堂 写真提供/新発田市、胎内市、聖籠町、田中悠也さん・菜穂さん

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