ランダウンプレーの応用:ランナーが複数いる場合【高校野球から逆算した少年野球デキる選手を育てる方法】
【習得レベル:★★★★☆】
今度は塁上に複数ランナーがいる場合のランダウンプレーについて考えみたいと思います。例えばランナー1、3塁のケースで1塁ランナーを挟んだ場合について、方法のひとつを紹介します。
この場面では3塁ランナーに本塁突入のチャンスをできる限り与えないために、いかに時間をかけずに1塁ランナーをアウトにするかがカギとなります。
<後ろのランナーを素早くアウトにする方法>
①1塁ベース寄りで挟んだ場合
投手の牽制球で挟んだ場合などは、一塁手がランナーを深追いするのではなく、二塁手がランナーの走路に入り、一塁ベース側にダッシュします。一塁手は二塁手の合図でボールを投げて、二塁手がタッグします。
②2塁ベース寄りで挟んだ場合
盗塁などで捕手が2塁送球した場合などに見られるケースですが、ショート(または二塁手)がボールを持っている際は必ず3塁ランナーを一度見ましょう。場合によっては偽投も行います。優先するのはあくまでも3塁ランナーです。
一塁手は1、2塁間に挟まれたランナーを追いかけます。ショート(または二塁手)が偽投している間などにランナーとの距離を詰められますので、ボールを保持している選手に合図してボールを投げてもらい、ランナーにタッグします。
①②どちらも方法のひとつに過ぎず、他にも方法は様々あると思います。私が紹介したこの方法では、時間をかけないために受け手側がボールをもらう合図を出すようにしています。それが前回紹介した「ランダウンプレーの基本」とは異なる点です。投げ手が自分のタイミングではなく受け手の合図通りに投げなければならないため、難易度は高くなりますが、ぜひチャレンジしてみてください。
<ランナーが詰まっている場面で後ろのランナーを素早くアウトにする方法>
例えばランナー2、3塁で2塁ランナーを挟んだ時。まずは慌てずにゆっくり3塁側に追い込みましょう。この時点で投げる準備はしていてもまだ投げる必要はありません。追い込まれた2塁ランナーによって3塁ランナーが押し出されますので、あとは前回の「ランダウンプレーの基本」を行うだけです。
3塁ランナーがすぐにスタートしても良いように、投げる準備はしながら2塁ランナーを3塁側に追い込みましょう。
他にも様々ありますが、少年野球ではまずは前回の基本と今回の応用を練習してミスを少なくしていきましょう。
<豆知識>
ランダウンプレーでは同じ塁にランナー2人が同時に触れている場合が生まれることもあります。その場合はフォースプレーを除いて前の走者に占有権があります。後ろの走者は塁にいてもタッグされるとアウトになりますので、落ち着いて「前の走者 → 後ろの走者」の順に素早くタッグしましょう。前の走者はセーフ、後ろの走者はアウトになります。その後に勘違いして前の走者が塁を離れると、再度タッグされたときにアウトになります。走者としては審判のジャッジが下されるまで塁に留まっているのが正解です。
(記事提供:ヤキュイク)
著:伊豆原真人
伊豆原 真人(いずはら・まさと)
野球指導者。高校数学科教員。令和4年12月で神奈川県立川和高校野球部監督を降りて令和5年4月に異動。現在は長男野球部の保護者としてサポートしながら幼小学生〜大学社会人まで幅広く指導中。高2中1小3の球児の父親。<!-- .c-authorbox__contents -->