猫と『音楽』にまつわる3つの話 猫が特に好むジャンルは?専用の音楽があるって本当?
1.猫好みの音楽とは?
猫は非常に耳の良い動物で、単純に言うと、人間の4倍の聴覚レベルです。特に、高音域の聞き分けが得意で、ネズミ同士のおしゃべりや虫の羽音なども正確にとらえます。
猫が好む音楽ジャンルとしては、まず、クラシック音楽が挙げられます。
2015年のポルトガルの研究によれば、猫の手術中、いろいろな音楽をかけたなかで、クラシック音楽が最もリラックス効果があった、という結果が出ています。確かにクラシック音楽は、音が高く、曲のトーンも柔らかめです。猫の音の好みとも一致します。
また、川のせせらぎや波の音、野鳥のさえずりなど、自然界に存在する音も、猫のお気に入りです。一定のリズムのなかに不規則性が混じる「1/fゆらぎ」を、私たち人間と同じように、猫たちも感じ取っているのかもしれません。
意外なところでは、猫はロック音楽を好む、という指摘です。静かな環境が好きな猫とロックはあまりにもかけ離れているように見えますが、実は、ビートのリズムと猫の心拍数(150~180回)が似ている、という共通点もあります。
そんな話を聞くと、ギターをかき鳴らしながら、ステージ上で「シャ-!」とオーディエンスを挑発しまくる猫ロックスターの姿をつい想像してしまいます。
2.猫は男性の低い声がちょっと苦手
クラシック音楽や自然音を好む一方で、猫は男性特有の低い声が苦手です。低く野太い声が野生時代の捕食動物の唸り声をイメージさせるため、声を聞いたとたん、身の危険を感じて逃げ出したくなります。
上記の話を踏まえると、声の低い男性が大声で歌う楽曲は、どんな音楽ジャンルであっても、猫に恐怖心を抱かせてしまう可能性があります。著名なオペラ歌手の魅力的な低音ボイスにすら、遠慮なく不快感を示すかもしれません。
猫が男性よりも女性になつきやすいと言われるのは、声のトーンが高く、聞き取りやすいからです。
ちなみに、聴覚が鋭い猫だからこそ、困ってしまう生活音はたくさんあります。定番のドライヤーをはじめ、派手なドアの音、鍵を落とす音、救急車のサイレン、雷、花火など。なかには、「火の用心!」の拍子木の音を怖がる子までいます。
3. 猫専用音楽の効果はいかに…
猫専用の音楽と言えば、アメリカ在住の音楽家、デヴィッド・タイ氏によって制作された楽曲が有名です。この楽曲には、科学的視点に基づいて、猫のゴロゴロ音や心拍数のリズム、あるいは、高い周波数など、猫の好みに合わせた要素がふんだんに盛り込まれています。
猫が好むのは、ひと連なりになって滑らかに聞こえてくる音です。専門用語では、「スライディング周波数」と言い、ゴロゴロ音や母猫のおっぱいを吸う音が、これに該当します。
実際に、アメリカ・ルイジアナ州立大学の研究報告によれば、健康診断中に前述の猫専用音楽をかけたところ、猫のストレスレベルが下がったと言います。
さらに猫専用音楽が進化すれば、シーンに合わせた楽曲も生み出されるかもしれません。たとえば、爪切り時に愛猫が喜んで爪を差し出してくれるようになったり、急に動物病院好きへと「転向」したり、そんなニッチな曲ができたら、きっと大ヒット間違いなしです。
まとめ
猫の耳の良さは、日頃から飼い主さんも痛感するところでしょう。簡単に言うと、猫は高音域でトーンが穏やかな音を好みます。音楽では、クラシック音楽がお気に入りです。一方で、ロックのビートにも親和性があるらしく、曲をかけると、スヤスヤ眠る猫もいます。
みなさんの愛猫にも、「この子ならでは」の音の好みがあるはずです。試しに、本文で紹介した猫専用音楽を愛猫に聞かせてみるのもいいかもしれません。