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NIGHTMARE、結成25周年に向けて走り続けるバンドの現在地

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NIGHTMARE

2024年のメンバーのバースデーライブで先行披露していた「久遠」と「Labyrinth」と題した新曲2曲を8月21日に配信リリースしたNIGHTMAREが、9月16日、東京・日比谷野外大音楽堂で『NIGHTMARE ONEMAN LIVE 2024 天下再暴走』を開催する。2005年、全国各地をくまなく巡ったライブハウスツアー『天下大暴走~我等、馬鹿の如ク~』のファイナルとして、彼らが初めて野音で行なったこのツアーの千秋楽公演は、いまでもファンの間でバンド史上、天下一品の伝説のライブとして語り継がれている。彼らはなぜこのタイミングで、あの野音をオマージュするような衣装をまとったアーティスト写真、そして公演タイトルで再び野音に立つのか。YOMI(Vo)、柩(Gt)、咲人(Gt)に話を聞いた。

――まずは本題である『天下再暴走』の話題に入る前に、久々の登場なので2024年上半期の活動の総括からお願いします。

:上半期は各々のバースデーライブがメインかな。

――3人はどんなテーマで挑んだんですか?

:やりたい曲をやらせてもらいました。「極上脳震煉獄・弎式」、「極上脳震煉獄・弐式」、「零-beyond the G.-」をやったんですけど。これは、前にRUKA(Dr)さんが6月9日生まだから「ジャイアニズム碌」と「ジャイアニズム究」を並べてやったことがあったんで、僕は3月5日生まれだから3−2−0にしたんですよ。そこにどんな意味があるのかは敢えて言わないので、謎解きをしてみてください。

YOMI:僕は、もしNIGHTMAERが大きなフェスに呼ばれたらこんなセットリストでやりたいな、というのがコンセプトです。

咲人:俺は、セットリストの組み方は“うつろい”を意識して、滅多にやらない曲や、以前からファンにリクエストされてた曲も入れ込みながらやりましたね。

YOMI

――なるほど。そんななか『天下再暴走』の野音ワンマンライブの発表がありました。これをやろうと思ったきっかけは?

YOMI:来年のNIGHTMAREの25周年に向けてというのと、あとは野音が改修?

:そうだね。

YOMI:工事で使えなくなるから、その前に野音はやりたいよねという話をバンドでしてたんですよ。そういうなかで、運良く野音が取れて。野音といえば自分たち的には『天下大暴走』というのがあるんで、そのリバイバルじゃないですけど、そういうものをやりたいねというので『天下再暴走』というタイトルをつけて。

:実は、NIGHTMAREとして来年の25周年に向けての活動は、8月25日からの全国ツアー『NIGHTMARE TOUR 25-1 RAISING THE FLAG』から始まってるんですよ。でも、野音はこのツアーとはまったく別モノの1本として演ろうということになって。だから、バンドとしては夏のツアー、野音、その後11月から始まる冬のツアー、全部をひっくるめて25周年に向けてというイメージなんですよ。


■バンドとしてやったことがなかったことをちゃんとやり遂げたという達成感はすごくあった。みんなにとって感情を揺さぶられる出来事になったんだと思います。(咲人)

――なるほど。ではそのなかでも今回は野音公演に焦点を絞って話を聞いていきたいと思います。まずはNIGHTMAREの野音といえば、先ほどYOMIさんもおっしゃっていた通り、バンド初の野音となった『天下大暴走』。

:そうですね。あのときは長いツアーをやって。

YOMI:いろんなところを初めて細かく廻ったんだよね。だから、思い出には残ってるよね。

――いま振り返ってみて、一番最初に思い出すことは?

YOMI:四国でメンバーと海に行ったことかな。

:行ったなぁ~。

咲人:俺もライブ以外のことだと、みんなで海に行ったこととフェリーで移動したことが一番印象に残ってるかな。

――海に行ってみんなで泳いだんですか?

:泳いではないです。

咲人:そのとき柩さんの決定的瞬間がありまして。

YOMI:はっはっはっはっ!!

咲人:あれは大暴走だよね?

:ククッ。たぶん大暴走だったと思う。

咲人:車を借りて。

:Ni~yaの運転で。

咲人:海まで行って、テトラポットのあたりで遊んでたんですよ。そのときカメラをゾジー(YOMI)が回してて。柩が海のほうに走って行ったと思ったら一瞬消えて。そのあと「うぁ~」って叫びながら戻ってきた柩を見たら、波をかぶってびしょ濡れになってた。

――だはははっ。なに、ポカリのCMみたいな青春してるんですか!

咲人:ねっ(笑)。青春してるよね。

――メンバー全員で行ったんですか?

:RUKAさん以外じゃないかな。あとはローディーがいたかな。

咲人:メンバーだけだったかも。

:あのときは海だけじゃなくて山の方も走った気がするんだよな。

YOMI:たしかに! 行った行った。

:その日はオフで、じゃあドライブでも行こうかっていって車を借りて。その流れで海まで行きました。

咲人

――ではライブのほうで記憶に残っていることというと?

:ちょうど夏にやってたツアーだったんですよ。ちっちゃいライブハウスを廻るツアーだったんで、どこの会場もすごく暑かったという印象がありますね。

咲人:そういうの以外はあまり記憶にないかも。野音の印象が強すぎて。

――ではファイナル公演となった野音で記憶に残ってることといえば?

:もちろん野音の景色はすごく憶えてるんですけど、あの野音が記憶に残ってるのは、それまでに細かくライブハウスを廻ってきたからで。ファイナルまでの全公演込みで、それを全部含めての野音という印象なんです。

――それを表すように、野音ではそれまで廻った地方のファンが野音ファイナル公演に向けて書き込んでくれたメッセージが、当日垂れ幕となってステージに掲げられるという演出がありましたもんね。

:そうそう。だから、全国のみんなの思いを野音まで持ってきたという達成感みたいなものが、あの日あそこにはあったかな。

咲人:たしかに。ファンとみんなで作り上げた感は強かったね。

:そうそう。

咲人:長いツアーを含めて、みんなの力で成功させた野音という感覚がたしかにあるね。

YOMI:そうだね。あと、俺らはクラウンからメジャーデビューしたんだけど。ちょうどその頃に今後の話をしてたの。ツアーはどんどんよくなっていってる手応えがあったから、俺らは「NIGHTMARE、もっと売れてもいいのに」って。そう思いながらライブをやってた記憶がある。

咲人:あの時期だったっけ? みんなでフグ食べながらそういう話をしたの。

YOMI:そうそうそう! クラウンの人たちと一緒にね。

咲人:俺らの気持ちはもう決まってたから、そこで「辞めます」って話をしたんだよね?

YOMI:そうだそうだ!

咲人:こっちのなかではそう決まってるのに、それを誰が切り出すんだってところで、俺が悪者みたいになった記憶が(苦笑)。

YOMI:先陣をきって咲人が「辞めます」って言ったというね。

咲人:そこまで明確には言ってないけどね。

YOMI:野音の前後、バンドを取り巻く状況はそんな感じだったのをいま思い出しました。

Ni~ya

――当時のNIGHTMAREはツアーが終わったと思ったら、また次のツアーが始まるという感じで、ひたすらライブに追われてましたよね。

:『天下大暴走』のツアー前後から10年ぐらいはずっとそういう活動でした。

咲人:いまよりもやってたよね。ライブは。

:うん。正月明けてファンクラブツアー。そのあとは夏ツアー、冬ツアーやってって。

咲人:完全にルーティーンが出来上がってた気がする。その間に、年間にシングル2~3枚出してアルバム1枚出すというサイクルができてたよね。

――あまりにもそのルーティーンがキツキツなスケジュールで、ツアー初日にシングルリリースが間に合わなかったりしてね。みなさんが愚痴をこぼしてたのを憶えてます(微笑)。

咲人:それを言ったら1stアルバム (『Ultimate Circus』)から間に合ってないから(笑)。渋谷公会堂(『Ultimeta Circus Finale』)でライブをやったのもアルバムのリリース前だったし。だから、そういうことも含めて文句を言ってたのかもしれないね(笑)。

――そんなバンドを取り巻く環境に対してモヤモヤしたものがありながらも、野音を成功させたことはバンドとしてかなりの達成感、手応えはあったんじゃないですか?

咲人:そうね。柩さんとか泣いてたもんね?

:いや。泣いてないですけど(きっぱり)。

――なに言ってるんですか。ステージで号泣してたの、見てたんですけど(微笑)。

:それ、よく言われるんですけど。

――えっ、まだ否定します?

:あの頃から“演技派”に目覚めたの!

――そうきましたか(笑)。泣いてたように見えたのは、あれはあくまでも演技だと。

:そうそう。

YOMI:泣いてたけどね(笑)。RUKAさんもあのときは戻って来てたもんね、アンコールではけたあと。

RUKA

――そうそうそう! しかも、客席に物投げ込んだりしてましたから。

YOMI:してた!

:それこそ達成感があったんじゃない?

咲人:そうだね。さっき話した垂れ幕がアンコールのとき、後ろにあるのを見た瞬間、俺もすごくグッとくるものがあったもんね。

YOMI:あった。野音のファイナルまでやりきって、バンドとしてもだけど自分としても自信がついたから、NIGHTMAREのターニングポイントになったんじゃないかな。あのときやった『天下大暴走』ツアーは。

:当時の感覚で言うなら、ホップ・ステップ・ジャンプの“ステップ”じゃない? その後にやった初の日本武道館をジャンプと捉えるとしたら。ジャンプする前のステップだけど、バンドにとっては全国を廻ったり野音をやったりというのは、当時の自分たちからすると背伸びした大きなステップだったから。

咲人:バンドにとってステップという解釈は俺も正しいと思う。会場が前よりも大きくなりましたという単純な考えだけではなく、バンドとしていままでやったことがなかったことをちゃんとやり遂げたという達成感はすごくあったと思う。だから、武道館をやって、しばらくした後にバンドとしてのターニングポイントを聞かれたときも、このときの野音をあげてたんだと思うし。それぐらい、みんなにとって感情を揺さぶられる出来事になったんだと思いますね。

■あのときのNIGHTMAREもカッコよかったけど、いまもカッコいいんだぞというところを見せられるライブになればいいな。(YOMI)

――そうやってバンドがステップアップした『天下大暴走』から19年。9月に野音で行なう『天下再暴走』。ライブタイトルは誰の案だったのですか?

咲人:打ち合わせのときに俺がノリで言ったような気がする。

――アー写を当時と同じようなスタイリングで撮ったのは誰のアイデアだったのですか?

:自然とだね。

咲人:こういうリバイバルものをやるのは今回が初だから、ちゃんとやりたいというのでこうなりました。

――実際のライブも当時のセットリストを再現したものになるんですか?

:内容まではまだ言えないけど、“再現”って言いきっちゃうと、また俺は泣いたふりしなきゃいけないから(笑)。

咲人:だから、今回も泣けるぐらい。

:いいライブをするという気持ちでいきたいね。ただ、“再暴走”って言ってるぐらいだから、野音のライブ映像が見られる人は、それを見てきてもらうのは全然ありだと思います。ただ、それをまったく同じように再現するかどうかは分からないけどね。

咲人:そこはお楽しみにってことで。

――天気は大丈夫ですかね、咲人さん(雨男説がある)。

咲人:なんで俺に振るの(笑)。でも、俺らは1回雨の野音は経験してて。

――はいはい。アルバム『SCUMS』を提げて行なった全国ツアー『NIGHTMARE TOUR 2013 beautiful SCUMS』の最終追加公演のときですね。あのときは大雨ですごく寒くて大変でした。

咲人:でも、ずぶ濡れになるのも、それはそれでどうにでもなれ感があって楽しかったんだけど。まあ、ウチには晴れ男のゾジーさんがいるから晴れるよ。

YOMI:うん。だから、雨ではないと思う。

――今回の野音、ファンの人たちにはどんな風に楽しんでもらいたいですか?

YOMI:今回の野音を発表したときに、SNSに「天下大暴走のときの野音は行けなかったんです」というコメントがたくさん来てたので、そういう子たちにはぜひ楽しみにしてて欲しいし。当時来た子たちにも見てもらいたい。あのときのNIGHTMAREもカッコよかったけど、いまもカッコいいんだぞというところを見せられるライブになればいいなと思ってるんで。

――柩さんの泣きの演技も期待してます。

:いやいやいや。しれっと帰ります(笑)。

YOMI:はっはっはっはっ。

■ずっと仲はいいんだけど、改めて俯瞰で5人の関係性を見ても仲良いなって思います。いまのこのバンドのコンディションが伝わって欲しいですね。(柩)

――野音の前に行なう夏のツアー『NIGHTMARE TOUR 25-1 RAISING THE FLAG』はどういう位置付けなんですか?

:次に向けての助走ですね。“FLAG”と言ってるぐらいなので、ここで25周年に向けてスタートとなる旗を立てるぞ、ということです。プラス、RUKAさんバースデー、咲人バースデーでそれそれ披露した「久遠」、「Labyrinth」を配信リリースしたので、その2曲を掲げたツアーになります。

――新曲2曲はどんな曲なんですか?

咲人:RUKAさんの曲(「久遠」)はわりとしっとりめでミディアムっぽい感じ。俺の曲(「Labyrinth」)のほうはわりと明るい感じ。ざっくり説明すると。

――夏のツアーの後に野音、そしてその後には台湾の台北THE WALLで『不夜城台湾』というワンマンライブをやるんですよね?

:これは25周イヤーに向けてというのとはまったく別物。2020年頃だったかな? 最初にこの話がきたのは。

咲人:そう。だけどコロナ禍で中止になっちゃったから、それを今回やる感じ。

――バンドとして海外公演はこれが3本目でしたっけ?

咲人:上海、フランス。

:ヒューストンも行ったから4本目。

YOMI:タイミングが合えば今後も海外でもやりたいよね。

――そして、野音の後には11月から冬のツアーが控えています。来年の25周年イヤーに向けて、着々と計画が進んでいくというのは。

:珍しいですよね。

――はい。NIGHTMAREにしては。

:ですよね。今回はこの25周年に向けて、事務所に全員で集まってこれまで何回もミーティングしてきてるんですよ。個人的には来年の25周年のことを考えて、こうして一つ一つ組み立てていくというやり方は、バンドが向かう方向性もまとまりやすいし、みんなのモチベーションにもつながる進め方かもしれないなと思うようになりました。個々で連絡取り合ってやるんじゃなく、みんなで集まって話をするほうが、みんなで一つのものを作ろうとしてる感があってよかったですね。いまさらだけど(笑)。

YOMI:俺は5周年のときも10周年のときも15周年のときも、そこまで周年を大事に思ってなかったところがあったと思う。いまから思うとね。だけど、20周年ぐらいから「あ、周年っていいなぁ」と思うようになって。だから、来年の25周年はファンが喜んでくれるような年にしようと考えて、メンバーでいろんなアイデア出しをする話し合いをしてるの。だから、25周年は絶対にいい周年を迎えられる気がしますね。

咲人:周年でやるライブって、ある意味それまで応援してくれたファンへの恩返し的なところがあるなと感じてるので、ライブをやるにしろ何をやるにしろ、応援してくれてる人たちに喜んでもらえるものをやっていけたらいいなというのはすごくあります。もっと続いてる先輩方もいらっしゃいますけど、同じメンバーでバンドを25年続けるのってなかなか大変なことだと思うんですよ。でも、バンドにとって一番喜ばしいことって、結局はファンが楽しんでくれることや喜んでくれることだと思うんですよ。なので、今年の8月のツアーからプレスタートして。野音もそうだし、その後の冬のツアーもそうだけど、来年の25周年イヤーに向けて、ファンがワクワクする年にしていけたらいいなと思います。

――そんな“ファンファースト”な25周年イヤーをメンバー全員で練り上げ、計画を立てて仕込んで、本番の半年前から25周年に向けてファンをワクワクさせていくというところに、みなさんの凄い意気込みを感じます。

咲人:自分たちで決めて進めていかないと、それこそ最初に話に出たリリースがツアーに間に合わなかったとか、結局、後からその辻褄合わせをしていかなきゃいけなくなるのは自分たちだから。正常なスケジュールで活動したいのにできないっていうことで、いろんなフラストレーションを感じてるアーティストはたくさんいると思うけど。25周年は、そういうのがない、いい周年にしていきたいなと思ってますね。

:そういう行動ができる5人になってきたんじゃないですかね。僕らが。

――おぉーー!!

:昔は個々に不満を感じるだけで、自分たちでどうすればいいのかも分からないから満足するところまでできなかったけど。いまは5人の意見だけで活動を組み立てられるようになったから、より自由に動けるようになってきた。

咲人:うん。今後はよりそうなっていけばいいよね。メンバーそれぞれやりたいことの違いはあると思うから、そのぶつかり合いはバンドとして健全だと思うんですよ。ただ、理不尽な理由であれができない、これはできないってなっちゃうと、みんなストレスがたまるだけなんで。メンバーもスタッフも事務所も含めて、すべてが円滑に回って、なおかついいものが作れていいライブができてファンも喜んでくれる。それができるようになるのが理想かな。周りからなにを言われても、極論言うと、5人がこうだって決めたものが一番意思として強いんだから。

――それだけ、25周年を目の前にしたいまのNIGHTMAREのメンバー5人は、結束が強いってことですね?

咲人:悪い感じは全然しないね。

:うん。シンプルに仲良いし。ずっと仲はいいんだけど、改めて俯瞰で5人の関係性を見ても「仲良いな」って思いますね。いまのこのNIGHTMAREのバンドのコンディションが伝わって欲しいですね。みなさんに。

取材・文=東條祥恵

※初掲載時、ツアータイトルに誤表記がありましたこと訂正してお詫び申し上げます。

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