横浜DeNAベイスターズ 「リーグ優勝で価値を本物に」 チーム統括本部長に聞く
横浜DeNAベイスターズは昨季、26年ぶりの日本一に輝いた。リーグ3位から厳しいクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がっての日本一は「最大の下克上」とも呼ばれたが、それゆえに「リーグ優勝」は今季の大きな宿題だ。編成トップのチーム統括本部長・萩原龍大さんに話を聞いた。(聞き手/本紙・岩田潤)
26年ぶり「日本一」の熱狂
――日本一の優勝パレードは30万人もの人が沿道に駆けつけました。
「パレードの日は早朝から準備のためにハンマーヘッドに向かったのですが、すでに会場に向かう多くのファンのみなさんの姿を目にしました。その後、沿道がすべて人で埋まっている光景には圧倒されましたね。
我々は球場スタッフも含めて500人くらいの中小企業。こんなことが起こせるのかというのは、想像をはるかに越え、泣きそうになりました。あれを知ったら毎年やりたくなる。選手スタッフみんなにとって大きかったと思います」
――一方でビールかけの時ですが、日本一を喜びながらも牧秀悟主将は「来季はリーグ優勝」と引き締めていました。
「私の立場でも、少なくともリーグ優勝をしていない段階で手放しで喜ぶことはできないです。来季も全力ですね」
――日本シリーズ出場は17年以来でした。
「今でも覚えているのが、その翌18年の春のキャンプです。選手、コーチ、スタッフみんな一言でいえば浮足立っていました。あの時もリーグ3位で、結果を出せなかったのですが。
当時を知る選手がベテランとして在籍しているのは大きく、秋のトレーニングも、全員が何をすべきか、リーグ優勝に何が必要かを考え、取り組んでいました。今年リーグ優勝してはじめて、昨年の日本一の価値が本物になると思います」
絞り尽くした1年
――とはいえCS、日本シリーズでは勢いや力強さを見せました。
「『意図をもって勝つ』という取り組みが実を結んだと思います。本当はリーグ終盤に発揮できればよかったですが。ただ、チームとして『最高の準備をする』とはどういうことかがわかってきたと思います。
例えばCSからの戦いは、初日にピークを合わせることを徹底して共有しました。全員が意思統一を図り、そこからは日々を全力で。息切れしてもいいから、乗り切ろうと心を揃えたんです。
だから日本一のビールかけが終わった後は、みんな疲弊していたので飲みにも行かずに帰っていきました。余力なく絞り尽くした1年でした」
――中川颯投手(戸塚区出身)ら新戦力も躍動しました。
「うちのノウハウ、技術環境なら伸びるはずという選手を獲得していますが、戦力外から加入した選手たちは想定以上の活躍でした。補強の形として新しい引き出しを増やせたと感じています。
またベテランがチームを引っ張ることに目覚めてくれた1年でもありました。うちは優勝を経験していないメンバーがほとんどで、強い文化がなかった。『勝ち切る覚悟』というスローガンを掲げた頃から、遠慮せずに力を発揮してくれました。
牧が主将として引っ張ってくれましたが、さらにベテランの中心にゴウ(筒香嘉智選手)がいたのは大きかった。相当いろんなことに腐心してくれたと思います」
――編成トップとして現状の手応えは?
「チームの究極のゴールは世界一のチームですから、やらなきゃいけないことは山ほどある。破綻しないように、緩まないように、仮説と検証を繰り返して着実にゴールに向かっている手応えは感じています」