東大教授が座り込み抗議!菅元総理が拒否した日本学術会議候補に大竹まことが聞く
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 6月9日の放送は、毎日新聞出版から発売されている『となりの史学 戦前の日本と世界』の著者である、東京大学大学院教授で歴史学者の加藤陽子氏を招き、話を伺った。
大竹「日本学術会議の法人化法案が決まっちゃいそうですね。明日ぐらいですか?参議院は」
加藤「ええ、明日ぐらいですね」
大竹「加藤さんが、デモというか座り込みに参加なさったと聞いて驚いたんですけど」
加藤「はい。その反響は多くの方からいただきました。わたくしは、それなりに過激なことは書いているんですけれども、どうも喋り方がとろいもので、お上品といいますか…それでわたくしが路上に出たというので皆さん驚かれたと思います。それだけ法案が悪かったんです」
大竹「ネットではどんな反応があったんですか?」
加藤「今は、参議院議員会館前には来られなくてもネットで配信されるので、わたくしの発言は比較的正確にきちっと伝わっていると思います。この法案は「学術会議はなくなってもいいのではないか」というような、政府なり自民党のプロジェクトチームの意向を強く反映したものかなと思いました」
大竹「実際に座り込みなさったって、ご自身もちょっと驚いていらっしゃる」
加藤「そうですね。隠岐さや香さんとは同じ大学の教育学部でおりますが、その方の呼びかけで。やはり手続き的に、衆議院参議院でちゃんと審議するのは本当なんですけれども、例えば衆議院の委員会でも21対18っていうようなギリギリで。非常に審議未了でパッと通ってしまって、「あら」という形で本会議も通った。これが5月13日だったんですね。ですから、参議院は良識の府と言われる中で、内閣委員会なり、そこで充分な議論はなされるのだろうか。その不十分さを行動で補ってしまったという、そこですね」
大竹「その前に、日本学術会議の会員候補者6人が、当時の菅首相に任命を拒否されたと。その6人のうちの1人が、加藤先生でいらっしゃる。任命拒否をされた時はどんなお気持ちだったんですか」
加藤「5年前のことになりますけれども、学術会議は学術会議法で学術会議の総会なりが推薦したり選んだ委員は、そのまま形式的に総理大臣が任命するということが決まっておりましたので、今回、わたくしは2020年10月に、初めて拒否された1人になり、しかも菅首相が、加藤陽子さんのお名前だけは知っている、という、そういう名誉を受けてしまった。まあ、非常に驚きました」
大竹「加藤さんは、2021年10月に公開されたメッセージで、法解釈の変更無しに行えない違法な決定をなぜ菅首相が行ったのか。意思決定の背景を説明できる決議文書があるか、政府に尋ねてみたい、とお書きになっていますね」
加藤「これは、2020年10月、まさに任命拒否があったその日の夜に出していただいたんですね。2001年とか2011年には、情報公開法とか公文書管理法とか、政府がいろいろ国民に関して行政的な措置を行ったプロセスを残さなきゃだめだよっていう法律がせっかくできたんですね。だとしたら、わたくしを、(笑)まああの不当に、とは言いませんけども、拒否したという判断をなさるには、やっぱり資料を作る相談ごとがあっただろう。この法律の解釈を変えるのはいいんだろうか、それを資料として文書として残してなきゃいけないだろう、っていうことで、わたくしはまず決裁文書はあるのか、出してくれ、みたいなことを言ってみました。でも、これは実は、そんなに筋の悪い要求じゃなくって、ごく最近5月のことなんですけども、参議院議員の小西洋之さんが法制局に学術会議問題の法解釈を聞いた政府の文書を請求したんですね。そしたら開示しない、黒塗りだ。これは不当だと裁判を起こした。その東京地裁判決が5月に出て、国民がこれを知ることは非常に利益になるから出せと言う判決を出してくれました。でも結局、国は控訴してるので、また黒塗りのままなんです」