全国高校選抜大会 自転車 男子1000メートルタイムトライアル優勝 自分との戦いを制した小岩虎ノ介(別府翔青3年) 【大分県】
自転車の全国高校選抜大会で男子1000メートルタイムトライアルで日本一に輝いた別府翔青の小岩虎ノ介(3年)。不運にもスタートで機材のトラブルに見舞われたが、一切動じることなく、冷静に再スタートを切った。そして、自らの限界を塗り替える走りで、日本一の座をつかんだ。
「1000メートルタイムトライアルは自分との戦い」。そう語る小岩の強みは、終盤までペダルを踏み切れる持久力にある。レース後、「調子はぼちぼちだったけど、最後まで我慢できたのがよかった」と振り返るその口調に、勝負所を見極める冷静さと、自らの力を信じる芯の強さがにじんでいた。
その成長を見守ってきた明珍多久雄監督も、小岩の変化を確かに感じ取っている。「スピードはもともとある。あとは、自主トレを含めて地道に積み上げてきた成果が出た」。先行逃げ切りでも後半追い上げでも戦えるオールラウンダー。そのうえで「今回は冷静にレースを運べたことが勝因」と語る。
地道に練習を積み上げてきた成果が出た
小岩には目指す背中がある。競輪選手として活躍する父の存在だ。「父がいたから自転車を始めた。自分もいつか、ああなりたい」。父から技術的なアドバイスは少ない。それでも、小岩はその背中に向かって、一歩ずつ確実に歩みを進めている。
次なる目標は全国高校総体での優勝。そして「1分4秒台」への記録更新だ。そのために体づくりにも余念がない。現在は体重66キロだが、「70キロまで増やしてパワーをつけたい」と語り、フィジカル面の強化にも明確なビジョンを持つ。フォームやセッティングの見直しにも意欲的で、「現状維持で終わりたくない」という言葉に覚悟が見て取れる。
日本一のタイトルを取ったことで見える景色は変わった。「応援してくれる人たちに恩返しできたことが一番うれしい」。だが、重圧は意識せず、あくまでも「自分との勝負」として自己ベストを目指す。そのシンプルな姿勢が、小岩をまた一段高みへと導く。
全国高校総体でもう一度、日本一を目指す
(柚野真也)