これからも安心して暮らしていくために。住まいのお金のコトを考える
「家を購入したら終わり!」ではなく、購入後も住宅ローンや維持費、保険など住まいにかかるお金はさまざまあります。不安なく暮らしていくために知っておくべき「住まいのお金」とは?
お話を聞いたのは…
日本FP協会認定CFP 田中友紀さん 2018年にFPの上級ライセンスであるCFPを取得。イベントやセミナーで講師としても活躍。
住み続けるとかかる維持費・保険・税金
家をお持ちの方に今後かかる費用は、「住み続ける」か「住み替える」かで変わってきます。
まず、住み続ける場合は「維持費」がかかります。
戸建てであれば経年劣化による外壁や屋根などのリフォーム費が、マンションであれば修繕積立金と管理費が毎月かかります。
共通してかかるのは「保険」と「税金」。
所有者が亡くなった場合は相続財産になります。
ただ、耐震や省エネに関するリフォームであれば、さまざまな減税制度がありますので、当てはまるものがあれば活用しましょう。
火災保険や地震保険に関しては、今後も保険料は上がる可能性があります。
今年の10月には火災保険の改定があり、水災補償が細分化されました。
必要な補償を見直し、現在加入している保険が適正なのかを見極めることが大切です。
人生においての「家の立ち位置」を考える
住み替える場合は「購入」か「賃貸」かにもよりますが、新しく家を購入するのであれば、住宅ローンの頭金や返済金、諸費用が必要になります。
賃貸であれば、購入するよりも維持費は軽減されますが、一方で毎月の家賃が必要になり、高齢になっても住み続けられるのか、という不安もあります。
ご自身にとってどの選択が良いのか、未来も見据えて考えていくことが大事なポイント。
そこで重要となってくるのが「資金計画」です。
家を持っていても預貯金が0では、この先暮らしていくのに困ってしまいますので、手元資金(緊急予備資金)を持っておくことが大前提です。
手元資金の目安は、毎月の生活費の最低3カ月分、できれば6カ月分、1年分あればより安心です。
そして資金計画を立てる上で大事なのが、優先順位をつけることです。
生涯には大きなライフイベントがいくつもあります。
家を購入するのもそうですが、結婚や出産、お子さんの教育や自分たちの老後もそうですね。
そういったイベントの中で、やりたいこと、かなえたいことの優先順位をつけていきましょう。
「住まいのお金」だけを見るのではなく俯瞰して見つつ、「家」の立ち位置はどこなのかを考えてみてください。
ライフイベントの優先順位をつけたら、いつ実現したいのか、いくらかかるのかまで、具体的に落とし込んでみます。
その上で、住み替えをするのか、リフォームをするのかも選択していくといいと思います。
そして、ライフステージが変われば状況も変わるので、「資金計画」を定期的に見直すのがお勧めです。
ぜひ、思い描く暮らしをかなえていってください。
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田中さん教えて!住まいの気になる「キーワード」
金利
借りたお金に対して支払う利息の割合のこと。
住宅ローンの金利には固定・変動とありますが、マイナス金利が解除され、今後金利が上がる可能性を考えると、変動金利には注意が必要です。
ただ、変動金利には「5年ルール」「125パーセントルール」という、金利上昇に伴う支払措置があるので、そういうルールも知っておくといいですね。
リースバック
自宅を売却し、その後は賃貸物件として家賃を払って元の家に住み続けることをリースバックと言います。
こちらも資金調達の手段の一つですね。買取金額は市場価格の6~8割程度となります。
賃貸期間がどのくらいなのかを必ず確認しましょう。
リバースモーゲージ
自宅を担保にお金を借りることができる資金調達の手段の一つです。
住宅ローンとの違いは返済が利息のみという点で、元本部分は所有者が亡くなった後に、自宅を売却して返済されます。
住宅はなくなってしまいますが借金は残りません。
住宅が財産として残らないので、ご家族で話し合ってから利用するのがいいかと思います。
借りられる金額は不動産評価額の50~60%になります。