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「困りごと」が仕事になる。ビジネスモデルより大切なのは身の回りを「観察」する力

新しい働き方メディア

何を仕事にするか悩んだら、答えは意外と近くにあるかもしれない。ナリワイの伊藤洋志さんは、自らの生活の中でぶつかった"困りごと"に目を向けることで、数々の仕事を生み出せると、著書『ナリワイをつくる』(ちくま文庫)や『小商のはじめかた』(東京書籍)の中で語ってきた。ジネスアイデアが浮かばないときこそ、観察と実験が鍵になる。

困りごとを解決することそのものが仕事に

「生活や仕事の中で困ったことがあったら、それを解決しようとする。それが『ナリワイ』になるんです」

そう語るのは、「ナリワイ」という働き方を提唱し、自ら実践する伊藤洋志さん。ナリワイとは、ひとつの仕事に頼らず、小さな仕事を複数持つ働き方のこと。どんな仕事を持つかは、自分の暮らしの中にヒントがあるという。

「ナリワイはアイデアよりも観察から始まります。自分が不便だと感じたり、友人が困っていたり。そういうときにどうするかを考えることで、自然と仕事につながるんです」

たとえば、伊藤さんが手がける「床貼り講座」は、空き家の床を自分たちで貼り直すことで住めるようにする実践的な活動だ。業者に頼めば高額になるところを、必要な材料と3日間の時間を使って、自分たちで貼るという。

「素人でも、やってみれば床は貼れます。それに、床を貼れるようになると空き家に住める可能性が広がる。人の生活自活能力が上がるナリワイがいいと思ってやっています」

新しい仕事をつくることだけがスモールビジネスではない

伊藤さんのナリワイは、新しいことばかりではない。時に、昔からある仕事を現代にフィットする形にしてよみがえらせることもある。たとえば、農業。自分で土地を持たなくても、農繁期の人手不足を支える形で収穫に関わり、果物の販売などに広げている。

「梅、桃、さくらんぼ、ぶどう、イチゴなどを扱っています。昔の農村地域には、頼まれた仕事を何でもやるような人がいましたが、いまはそれに近いかもしれません」

こうした実践は、特別な才能がある人だけができるわけではない。

「日常生活の中で実験的なことをしていくと、いろんなヒントが落ちています。たとえば、通勤路を毎日変えてみるだけでも、違う発見がある。発想力よりも、柔軟な感覚のほうが大事です」

仕事で生活を健康的に変える

伊藤さんのナリワイには、一貫して「生活が健康的になる活動」という軸がある。その上で、世の中全体を良くする要素があるかも、判断の材料にしているという。

「空き家の活用や、国産作業着の製造販売などは、自分の生活にも役立つし、社会的にも意味がある。そういう基準があると、やる・やらないの判断もしやすくなります」

今の暮らしの中に“困ったこと”があるなら、それはナリワイの種かもしれない。

文/長谷川恵子

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