患者中心の医療が大切、患者も遠慮なく質問を、四日市で「安全で安心な医療を願う会」15周年の催し
三重県四日市市で理想的な医療と市民の関係づくりを目指している「安全で安心な医療を願う会」(阪本則子代表)の設立15周年を記念する催し「医療者と患者がともに生きるとは?」が9月22日、市文化会館で開かれた。医療過誤などに取り組んできた市民グループ代表者と胸部外科の医師がそれぞれの立場から医療の世界の課題を語り、患者を大事にし、「お任せします」で済まさない患者側の、それぞれの意識改革の大切さが語られた。
〇父の医療事故を機に医療の変化を求めて会を設立
阪本代表は開会あいさつで、父が救急搬送の時、研修医の指示で注射による投薬の誤りがあり、父が寝たきりになったこと、それをきっかけに、医療事故をその場限りのこととせず、その経験を生かして医療が変わってほしいと思うようになり、2009年9月に会を立ち上げたと紹介した。
駅頭で署名活動をし、病院と市民の意見交換会を実現。市立四日市病院の医療安全管理委員会に外部有識者2人が入るなどの変化も起きた。2015年からは患者が賢くなるための勉強会も立ち上げているという。阪本代表は「病院と市民の橋渡し的な役割をしている」と、相互理解が進むよう頑張ると締めくくった。
〇医療過誤の説明を正直に、患者を大事にしない医師は失格
催しでは、「医療の良心を守る市民の会」代表の永井裕之さんと、東京大学医学部名誉教授の髙本眞一さんが講演し、その後、阪本代表との3人でパネルディスカッションをした。
医療者の立場から医療界の意識改革の必要性を語った髙本眞一・東京大学医学部名誉教授
髙本さんは、1980年代後半から最近までの日本の医療界の動きも紹介しながら、患者が中心に据え、患者を大事にする医療が世界の主流になっていることを説明した。手術などで、医療事故があった時に、やるべきことを怠って、うそで説明するようなことがあれば、その病院の院長や医師はやめるべきだとの強い意見を述べた。
永井さんは、妻を点滴の医療過誤で失い、死因についての病院側のごまかしと闘った経験をもつ。「今も、巨大な病院が、何のミスもなくやっているなんて、ありえない」と、医療界の隠蔽体質への疑いを語った。何よりも医療者側から医療行為の説明をするインフォームドコンセントが大切で、患者側も遠慮なく質問し、必要ならセカンドオピニオンを選択すべきだと、患者側の意識向上も求めた。