「最もふくよかなクマ」を決めるコンテスト クマ同士の喧嘩で1頭が命を落とし、1日遅れで開催(米)
米アラスカ州にあるカトマイ国立公園では毎年、「ファット・ベア・ウィーク(Fat Bear Week)」が開催されている。これは公園内のクマたちが冬眠前に体重を増やす様子を観察し、ライブカメラの視聴者が冬眠に最も適した準備を整えているクマに投票し、「最もふくよかなクマ」を称えるコンテストだ。しかし、今年は2頭のクマの間で喧嘩が発生し、そのうちの1頭が命を落としたため、コンテストの開催が1日遅れた。米ニュースメディア『CBS News』などが報じた。
【写真】10月1日に発表された「最もふくよかなクマ」を称えるコンテストのトーナメント表
米アラスカ州のカトマイ国立公園に棲むクマたちが、冬眠前に体重を増やす様子を祝う恒例のコンテスト「ファット・ベア・ウィーク」では、自然や動物に関するライブカメラ映像を提供するウェブサイト「Explore.org」を通じて視聴者が最も冬眠に向けて準備が整っていると思うクマに投票する。数回の投票ラウンドが行われ、最終的に「最もふくよかなクマ」が選ばれる。米ニュースメディア『The Washington Post』によると、このコンテストは2012年からライブ配信され、毎年1000万人以上が、クマたちが太っていく様子を視聴しているという。
今年は、9月30日にコンテストのトーナメント表が発表される予定だった。
米ニュースメディア『CBS News』によると、同国立公園内のブルックス川で、“469”(またはパッチーズ/Patches)と呼ばれるオスと、“402”と呼ばれる年老いたメスの間で喧嘩が発生し、そのうちの1頭が死亡した。この出来事はライブカメラに捉えられていた。
『The Washington Post』では、2頭とも噛みつき、互いに激しく攻撃していたと伝えており、最終的に“469”が“402”を打ち負かし、“402”は水中に沈んで命を落とした。ファット・ベア・ウィークの投票ウェブサイトを運営する「Explore.org」所属の生物学者、マイク・フリッツさん(Mike Fritz)は、今回の出来事について『CBS News』にこう語った。
「早朝、あるクマが川で別のクマを殺しました。その様子はライブカメラで生中継されており、この出来事を無視してファット・ベア・ウィークのトーナメント表を発表することはできないと判断しました。」
フリッツさんは、今回の喧嘩の原因が食べ物に関連していると考えられることに触れ、次のように述べた。
「私たちは体脂肪を蓄えたクマたちの成功を祝うのが大好きですが、クマは獰猛な動物であり、日々危険に直面しながら生きているのです。クマの暮らしは安楽なものではなく、死ぬときは苦痛を伴います。」
また、同国立公園の自然保護官であるサラ・ブルースさん(Sarah Bruce)も、ライブ配信で「この時期のクマたちは、冬眠に備えてできるだけ多くの食料を摂取しようとし、非常に貪欲になります」と説明しており、「なぜクマが他のクマを食料源として殺そうとするのか、理解に苦しみます。しかし、クマが別のクマを捕食することは珍しいですが、全く起こらないわけではありません。この喧嘩がどのように始まったのかを判断するのは難しいです」と述べた。
なお、ファット・ベア・ウィークのトーナメント表は10月1日午後7時(東部標準時)に発表され、2024年のファット・ベア・ウィークの投票は10月8日まで行われる予定だ。
命を落とした“402”は、これまでファット・ベア・ウィークで好成績を残したことはなかったが、同国立公園で8回出産したことでも知られる母クマだった。
ちなみに、ファット・ベア・ウィークでは2年前に9000票以上の不正投票が発覚した。これらの票は破棄され、審査が行われたと報じられている。
画像は『CBS News 「Bear death caught on camera postpones Fat Bear Week plans: “Harsh realities”」(N. Boak/National Park Service and K. Moore/National Park Service)』『Explore.org 「Fat Bear Week」』より
(TechinsightJapan編集部 MM)