トキ鉄10月から運賃平均18%値上げ 高校生らの通学定期の負担軽減を沿線自治体に要請
新潟県上越市のえちごトキめき鉄道は2025年10月1日から運賃を平均18%値上げする。値上げは2020年4月以来で、7月までに国交省北陸信越運輸局に申請する。通学定期も値上げするため、同社は高校生などの負担軽減策を沿線自治体に要請している。2025年2月12日に記者会見した平井隆志社長は「様々な経営努力、利用促進に取り組んできたが、今のまま経営を続けるのが難しい状況になってきている」と話し、理解を求めた。
《画像:10月からの運賃値上げについて説明する平井社長》
運賃改定は2022年3月に公表した中期経営計画(2021〜2025年度)で明らかにしていたが、利用者の負担軽減を図るため、実施時期を当初の2025年4月から半年遅らせ10月とし、値上げ幅も当初の平均20%から18%に抑えた。値上げ後の運賃は初乗りが現行の190円から220円となり、直江津―高田間は280円から330円に、直江津―上越妙高間は340円から400円に、直江津―糸魚川間は900円から1070円となる。
前回の値上げでは通学定期の値上げ幅を普通運賃より低く抑えたが今回は同様に値上げし、高校生用6か月で直江津―高田間は2万2360円から2万6400円に、新井―南高田間は2万4650円から2万9070円となる。また激変緩和措置として開業時から実施していたJR東日本、西日本やしなの鉄道、あいの風とやま鉄道との乗り継ぎ割引は通学定期以外は廃止する。
《画像:えちごトキめき鉄道の車両》
平井社長は「利用者には負担をおかけすることになり大変心苦しいが、ご理解を賜りたい。(通学定期と通勤定期で)値上げ率を変えていくと差の部分が増えていくので、公平に上げたい。ただ学生の負担が非常に重いので、なんとか自治体でご支援いただけないかとお願いしている」と話した。
利便性向上のため、地域イベントに対応した臨時列車運行や増結対応のほか、列車の運行状況を各駅でタイムリーに案内するモニターや高校生の利用が多い高田駅に自習室の設置、キャッシュレス決済の導入をそれぞれ検討するとしている。
同社は沿線の人口減少やコロナ禍の影響、資材やエネルギー価格の高騰、人件費増加などで厳しい経営状況が続き、2024年度は2億9600万円の純損失を計上する見通し。今回の値上げで年間約7200万円の増収となり、2025年度までの中期経営計画全体では営業収益、純利益は計画を達成見込みとしているが、赤字の経営構造は変わらず、地域の鉄道維持のため県や沿線3市と新たな支援スキームを協議しているという。
えちごトキめき鉄道運賃改定について | えちごトキめき鉄道株式会社( https://www.echigo-tokimeki.co.jp/information/detail?id=2299 )