ほぼキャッシュレス時代におけるお金の管理で意識したいこと
財布を持ち歩かない人が4人に1人!
キャッシュレス決済はもはや当たり前のものとなってきました。2010年位は「キャッシュレスが使える店」と「使えない店」だと、使えない店の方が多くて、現金は必須だったのですが、今では財布を持ち歩かない人も増えているそうです。
メットライフ生命保険の「全国47都道府県大調査 2024~社会情勢の変化と将来への備え~」によれば、なんと4人に1人は普段から財布を持ち歩かないとのこと。20歳代男性では4割まで割合が高まったそうです。
ちょっと出かける位であれば、スマートフォンは必須ですが「財布は…無くてもいいかな」という感覚はよく分かります。スマートフォンにFeliCa系の電子マネーを設定(九州の読者にとっては、モバイルSUGOCAがないのが残念ですが2027年にはアプリ化の予定があるようです!)、あるいはQRコード決済のアプリを設定、さらにクレジットカードをスマホのウォレットに追加しておけば、日常のほとんどのシーンでお会計ができます。
・交通移動(電車、バス、タクシー等)
・コンビニやスーパー
・ドラッグストアや家電量販店
・ファーストフード、ファミレス等飲食店
・駅ビルのテナント
などなど、日常の生活シーンのほとんどがキャッシュレス決済対応店舗です。むしろ、キャッシュレス決済未対応で現金のみという店舗を探す方が今は難しくなっています。
便利な時代の到来ですが、こういう時代ならではの「お金の難しさ」も浮上してきています。
キャッシュレス時代の注意点は「お金を使った感覚の喪失」
キャッシュレス決済の特徴はまさに「現金いらず」ということですが、現金の受け渡しは、お金を「使ったという感覚」が持てる方法でした。
「財布に3000円入っている」
→「支払いに1500円を渡して支払う」
→「財布に残っているのが1500円となる」
というような単純な流れも、お金の流れを「見える化」する効果があります。最後の1000円札を使った時などは財布に小銭しかない状態になり、「ちょっと使い過ぎたかな?」と認識するきっかけになったりします。
ところが、こうした「ちょっとずつ減っていく感覚」がキャッシュレス決済ではありません。お金を使ったという感覚があったとしても、1カ月の予算が徐々に減っていく、という感覚にはならないわけです。
やっかいなことは支払いのタイミングが分かれていることです。現金払いは「その場で」お金が減ります。チャージ払い(プリペイド)の場合は、「使用する少し前」にお金が電子マネーに移動します。クレジットカードの場合は「後払い」です。実際にお金を使ったタイミングから1カ月ほど後に、銀行口座から引き落とされます。
キャッシュレス決済に切り替えると、こうした支払いのタイミングのズレも加わり、お金を計画的に使うことを難しくしているわけです。
キャッシュレスだからこそ、お金を使う感覚を「意識」することが大切
キャッシュレスにすると「使った」という感覚が持ちにくいだけでなく、具体的な金額に対する意識も甘くなりがちです。
実際、コンビニでキャッシュレス決済で支払う時「1000円超えるかそれ以下か」位の値段はなんとなくイメージしていると思いますが「200円台だったか、300円台だったか」のようなところの感覚を持たずにさっさと支払い、お店を出てしまったりします。
日常的によく行う買い物ルーチンであれば、支払い額のイメージがあるでしょうが、値上げされても気が付かずに支払ってしまうかもしれません。
キャッシュレス決済に切り替えた人ほど「お金を使うことを意識」する必要があります。
使った金額、1カ月のやりくりの中でのバランス感覚などを持たないと、お金はいくらあっても足りません。多すぎた出費を翌月のクレジットカード払いに押しつけてしまえば、その月はやりくりできても翌月の支払いに苦労することになり、家計の収支はいつか維持できなくなります。
本当に困った時、短期的なキャッシングができることも便利ではありますが、借り入れ状態が当たり前になっては困ります。
キャッシュレス決済で便利になった分、しっかりお金の流れを意識し、管理する必要があるわけです。
お金の流れを「見える化」するいくつかのツール
キャッシュレス時代の対策として考えられるのはお金の流れを「見える化」することです。
仕事において、上司や先輩から「見える化が大事」と言われることがあります。業務のプロセスは一人で抱え込まず、誰でも分かるような「見える化」が大切です。
個人のお金においても「見える化」を考えてみましょう。銀行のアプリ、家計簿アプリなど、収支のレポート機能があるアプリを使ってみます。
銀行のアプリは残高照会や振込だけでなく、お金の流れを把握するためにも使えます。シンプルに、「今月使っていいお金だけを普通預金に入れてある(貯金するお金は定期預金にしておく)」という管理をするだけでも、家計をコントロールする第一歩になります。
家計簿アプリも便利です。複数の銀行口座の全体像把握、クレジットカードなどの銀行預金以外の出費の把握もできる便利ツールになります。
アプリによっては予算機能があって、使い過ぎについて忠告してくれることもあります。「今月、ちょっと使い過ぎじゃないですか?」なんてアドバイスされれば、「ああそうかも!給料日まで気をつけよう!」となるでしょう。
——日常生活費が現金払いのみだった時代には「予算を現金で6つの封筒に分けて管理しましょう」なんてアドバイスもありましたが、キャッシュレス時代にはそうはいきませんよね。
もはや財布を持ち歩かない、キャッシュレス時代ならではのお金の管理を心がけてみてください。