舞岡中 「福島県の現状を知って」 現地の桃農家が講演
舞岡中学校で2月10日、2年生を対象とした平和学習の一環として、福島県で桃農家を営む橘内(きつない)義知さんを招いた講演会が開かれた。橘内さんは「福島県果樹産地10年の取り組み」と題して、東日本大震災から今日までの状況を語った。
福島市生まれの橘内さんは大学進学で神奈川へ。卒業後、横浜市中央卸売市場の青果卸売会社に勤めたのち、2010年に実家で就農したという。その直後に震災が襲った。
「あの震災で、宮城や岩手と福島がちがうのは原子力災害」と橘内さん。ただ、目に見えないものだけに「報道で知るだけで、現実感はなかった。ただ良くないことが起きている不安感はあった」と明かす。
不安を払しょくしようと、橘内さんは農家有志で勉強会などを開催。放射性物質の濃度を細かに計測するなどして、安全性確認に継続して取り組んできた。
安全と安心のちがい
震災から14年が経ち、福島の放射線量は世界の主要都市や国内の他都市と同程度まで低減しているという。
「震災直後は、はっきりと風評被害があったが、それは消費者の選択として正しいことでもある」と橘内さん。中学生からの「今も震災の影響はあるか」といった質問に対し、「気にしていないつもりでも、あえて福島県産を選ばないというような消費者の深層心理に溶け込んでしまったように思う」とした上で、「信頼を得られるよう安全性を伝え続けていく」と思いを語った。