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ファン待望の「チーズドッグを日本橋高島屋で」。名物の昭和フードが5月28日~6月3日に期間限定で帰ってくる!

さんたつ

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「チーズドッグ」をご存じだろうか。いつの間にか姿を見かけなくなったこのホットスナック。聞けば「懐かしい~」と思う人、「どこで食べられるのか」と求める人がいる一方、ピンとこない人もいるだろう。もしかしたら、一時流行ったチーズハットグ(韓国のアメリカンドッグのようなホットスナック)だと思う人もいるかもしれない。でも、チーズドッグは、戦後日本生まれの食べ物なのだ。

チーズドッグって何?

ワッフルのようなアミアミ模様の表面が特徴。

専用の焼き器に生地を流し込んで焼き上げるチーズドッグは、両端が丸みを帯びた長さ15㎝ほどの円筒形。ワッフルをも思わせる、凹凸のある網目模様が特徴だ。

ひと口食べると、ふんわりしながらもみちっと詰まった生地にはほんのりと甘みがある。アメリカンドッグの生地とも鯛焼きの生地とも違う、独特な食感と味。

ポイントは、生地の中に塩気の効いた棒状のチーズが入っていること。この生地とチーズが名コンビなのだ。

焼きたてを割れば、中のプロセスチーズがとろけている。

その発祥は定かではないが、登場はおそらく戦後の高度経済成長期頃。

デパートをはじめとする商業施設や喫茶店など、あちこちで焼きたてが提供されていたそう。

特に、『日本橋高島屋』では1963年から2004年までの長きに渡って焼き売りされたロングセラーで、ファンがとても多かったという。

攪拌(かくはん)した生地を、“チャッキリ”という器具に入れて焼き器に絞り出す。

しかし、残念ながら近年は、焼き器を使った円筒形の手作り焼きたてタイプはなかなかお目にかからなくなった。コンビニやパン店、食料品店、あるいは冷凍食品で見られる平たい柔らかタイプが主流になっているようだ。

チーズドッグは家族の思い出の味だった

「私の記憶では、『日本橋高島屋』の地下2階に大食堂がありまして、その脇で焼き売りされていましたね」

そう教えてくれたのは、今回、『日本橋高島屋』の催事でチーズドッグを販売する『ちーずどっぐ屋さん』の店主・秋本俊之さん。

お店は2016年に葛飾区立石でオープンしたが、家庭の事情でやむを得ず2019年に閉店。その後は年に数回、葛飾区堀切で間借りの販売会を続け、現在は『柏高島屋』で年2回ほどの催事出店でチーズドッグを焼いている。

堀切で年数回の販売会をしていた時の秋本さんと房恵さん(2023年撮影)。

実は、秋本さんは妻・房恵さん共々、『日本橋高島屋』の元社員。

「結婚退職した妻は母と子供を連れて買い物した後に食べて帰るのがお決まりで、家族の思い出の味でした。それで私は定年退職後にチーズドッグを焼きたいと思い、かつて高島屋でチーズドッグを作っていた人形町のフルーツパーラー『果山』(閉店)の方から作り方を一から教わったんです。その1年後になんとか高島屋の味に近づくことができたので、チーズドッグ専門店をオープンしました」

立石で開店したその年、偶然にも地元在住の高島屋社員に店を見つけてもらったことから『日本橋高島屋』で「東京うまいもの巡り」というテーマの催事に出店。個数を限定して売らなければならないほど連日大行列だったという。

「その高島屋の催事で知ってくれた方が後日、私たちの店に来店してくださったのですが、焼きたてを召し上がりながらすすり泣いていたんです。心配してどうしたのかと聞いたら、『亡くなった母と一緒に日本橋の高島屋で食べた時のことを思い出してしまった』と。胸が熱くなりましたね」

こんがりと焼けていい色! 軽そうに見えてかなりボリュームがある。

『柏高島屋』にもかつて「ローズタウン」という専門店ビルがあり、そこでもチーズドッグは焼き売りされていたそうで、「『部活帰りによく食べました!』と懐かしんでくれる方がいますね」

高島屋はチーズドッグの育ての親!? 9年ぶりの出店は青天の霹靂

『日本橋高島屋』。

高島屋のチーズドッグの存在感は大きく、実はさまざまな方面に影響を与えている。

1987年にニチレイの業務用冷凍食品として発売されたチーズドッグ(商品名は『原宿ドッグ』)は、ホットドッグのようにワンハンドで食べ歩きできる手軽なスナックを目指して開発。当時の担当者は、上司から言われた「『日本橋高島屋』にこういうスナックがあるから商品にしては?」という言葉がヒントになったそう。

また、神保町の老舗喫茶店『珈琲と洋酒の店 さぼうる』のチーズドッグ。こちらも何を隠そう『日本橋高島屋』由来だ。

先代のママさんは独身時代の勤め先がなんと『日本橋高島屋』。その縁でよく先代マスターと食べていたのがチーズドッグだったそう。それが2004年になくなると聞いたママさんが、『うちの店で出したい』と、高島屋から焼き器のメーカーを紹介してもらいメニューに加えたのだという。

現在は焼き器の故障のためチーズドッグは休止中だが、店主によれば、いずれは再開するつもりとのこと。首を長くして待ちたい!

1度に最大6本焼ける焼き器を3台使う。墨田区のサンテックコーポレーション製だ。

ところで、秋本さんが『日本橋高島屋』で催事出店するのは9年ぶり。なぜ出店することになったのだろうか。

「私たちも驚いたほど突然のことだったんです。担当者の方からお電話で出店のお誘いをいただきまして。理由を伺ったところ、『柏高島屋』さんでの催事の評判が耳に入ったようでお声がけくださったそうです。実はたまたま『柏高島屋』さんが改装リニューアル工事のため、今年の出店は中止になったんです。がっかりしていた矢先でしたので大変ありがたかったですね。

私たち夫婦は高島屋が好きですし、特に『日本橋高島屋』は私たちが育てられた特別な場所。そこで自分たちの店を出店するのは夫婦共通の目標でしたから、また叶えられてとてもうれしいんです」

『ちーずどっぐ屋さん』のチーズドッグの特徴は?

「高島屋で食べてきたチーズドッグは“バリ”をきれいに取って提供されていたと思います。でも、私たちがお店を始めたところ、『バリを取らないで』と言われることがあったので、なるべくバリは残してお出ししています。なかには、『バリだけもらえませんか?』なんて方もいましたね」と房恵さん。

バリをかなり残しているのがわかる。

周りに残る“バリ”は、焼きたてであればあるほどパリッパリの歯ざわりで小気味よい。

味の種類も定番のチーズだけでなく、チョコ、ハム(チーズ入り・チーズなしが選べる)、ウィンナー、あん、プレーンといったレパートリーがある。チーズが苦手な人やアレルギーがある人などのために選択肢を増やしたのだとか。

左から、ハム(チーズ入り)、チーズ、チョコ、ウィンナーの断面。

今回の催事出店では、その中からチーズとチョコの2種類に絞って用意する予定。

中身のチーズはプロセスチーズを、チョコにはバトンショコラと呼ばれる焼き込み用の棒状のチョコレートが使われる、店で人気の2トップなのだ。

親子三世代で楽しむ光景が見たい

昭和から平成にかけて家族で出かける場所であったデパートや商業施設に多かったチーズドッグ。それゆえ、家族と一緒に食べた思い出の味だという人は少なくないという。

「親子三代でお見えになられて、『これはパパが子供の頃に食べたチーズドッグなんだよ』なんて会話しながら召し上がっていただければうれしいですね。チーズドッグを焼きながら、そんな光景が見られたらいいなあと思っています」と秋本さん。

「『日本橋高島屋」で待ってます」と秋本さん夫妻。

懐かしんだり、新鮮に感じたり。

焼きたてのチーズドッグをそれぞれの感覚で味わってみようじゃないか。

『ちーずどっぐ屋さん』出店情報

2025年5月28日(水)〜6月3日(火)
『日本橋高島屋』本館地下1階催事場、「諸国味わい探訪」にて出店
☏03-3211-4111(代)

チーズドッグ1本350円。種類はチーズとチョコのみの予定(予約不可)。

取材・文・撮影=下里康子

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