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創業63年。久留米・六ツ門商店街の老舗喫茶店「珈琲の店ばんぢろ」【福岡県久留米市】

フクリパ

創業63年。久留米・六ツ門商店街の老舗喫茶店「珈琲の店ばんぢろ」【福岡県久留米市】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」や「ネオ喫茶」と呼ばれるお店。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。この記事では福岡にあるそんな「昭和レトロを感じられる喫茶店」や「ネオ喫茶」をご紹介していきたいと思います。

「珈琲の店ばんぢろ」の場所は六ツ門商店街そばの路地の中

 

今回ご紹介する「珈琲の店ばんぢろ」の場所は福岡県久留米市。

最寄駅の「西鉄久留米駅」を出て、道向かいにあるアーケードを直進していくと、やがて「六ツ門」の文字が記されたアーケードに差し掛かります。

ちなみにこの商店街は「久留米ほとめき通り商店街」という総称で、六ツ門・六ツ門あけぼの・一番街・西栄通・東町明治通・ベルモール・西鉄駅前の7つの商店街で構成されているそうです。

 

 

レトロ感あふれるアーケードをしばらく直進すると、右手に「久留米シティプラザ」が見えるので、角を右折します。

 

 

角を曲がり、そのまま直進していくと・・・

 

 

右手に案内看板が出現します。矢印に従って路地へと入りましょう。

 

 

「珈琲の店ばんぢろ」に到着。西鉄久留米駅から徒歩で10分ほどでした。

 

 

外観は木造りのログハウスのような雰囲気です。

 

 

建物横の壁面には大きく「珈琲ばんぢろ」の文字が描かれています。

 

 

木製のドアを開け、いざ入店です!

 

先代店主の想いが息づく店内空間

 

古き良き喫茶店を思わせるクラシカルな雰囲気漂う店内。

元々は六角堂広場の近くにあったそうですが、都市開発のため21年前にこの場所に移転したんだそうです。

店内を彩る絵画や骨董品などのアイテムは先代店主のコレクションとのこと。

 

 

一枚板のカウンター席には丸い座面のスツールが6脚並んでいます。

 

 

2階席もありますが、現在は団体客専用として利用されているそうです。

 

 

オールドスタイルのコーヒーミル。現在はオブジェとしてカウンターの一角に鎮座しています。

 

 

ちょっと珍しいアイテムを発見。これはドイツ製のコーヒー豆の保存容器とのこと。焙煎前の豆を湿気から守ってくれるために使われていたそうです。

 

 

かなり懐かしいアイテムも見つけました!その名も「手動釣銭機」。

あらかじめ種類を分けてストックされている硬貨が、丸いボタンを押すと一枚づつ下のトレイに落ちてくるという仕組み。

昭和初期から中期、レジスターが登場する前の時代によく使われていたもので、アラフィフの筆者も実物を見たのは実に幼少期以来。しかも今でも現役なのが素晴らしすぎます!

 

「ばんぢろ」の名前と味を守り続ける2代目店主

こちらが2代目店主の中野成俊さん。今なお「ばんぢろ」の名前を守り続けておられます。

 

元々「ばんぢろ」は1949年(昭和24年)、福岡市にて井野耕八郎氏によって創業されました。「ばんぢろ方式」と名付けられた「浸漬式(しんししき)」で抽出したコーヒーが評判で、かつては昭和天皇皇后両陛下に珈琲を献上したことでも話題となりました。

 

その福岡の「ばんぢろ」で修行した先代が、暖簾分けという形で1961年(昭和36年)に創業したのがこの「珈琲の店ばんぢろ」です。

 

現在の店主は中野成俊さん。元々久留米市のご出身で、幼い頃からよく両親からこの「珈琲の店ばんぢろ」に連れてこられていたそう。

 

高校卒業後は喫茶店の開業を志し、最初は叔父さんが大分県日田市で営んでいた喫茶店で修行していたそうですが、やがて「よりコーヒーに関する知識を身につけたい」という思いから、幼い頃から慣れ親しんでいた「珈琲の店ばんぢろ」に入店。以来、40数年にわたって勤務されました。

その後、11年前に先代より店を引き継ぎ2代目店主に。昔と変わらぬ浸漬式で抽出したコーヒーを提供しながら「ばんぢろ」の名前を守っておられます。

 

ちなみに、福岡の「ばんぢろ」は初代マスター・井野耕八郎氏のお孫さんにあたる徳安善孝さんが、福岡市博多区上川端町にて「Brewer’s Coffee ばんぢろ」として営業しておられます。

 

店名「ばんぢろ」の由来

 福岡市の「ばんぢろ」開業時、場所が当時の九州大学が近かった為、創業者の井野耕八郎氏が親交のあった経済学部の正田誠一先生に店名を依頼したところ「井野さんのコーヒーの抽出方法は他に無いものだから、他に無い名前にしよう。」とフルーツのグァバの和名「バンジロウ(蕃石榴)」を元に名付けられたそうです。

 

しかし、お客様にあまりに名前の由来を聞かれるので、再度正田先生に何か一文を書いて欲しいと依頼したところ

 

「Van Dzilloとは心すぐく働らき者なれどなんとなく尻ぬけてけっきょく大したもの

にならない御仁なりとフランドル民話にもあらわれたり

井野ばんぢろ氏も例外にあらず敢えて珈琲肆の店頭にかかげ奮闘調子よくゆけば

やがてパリ、アムステルダムに游行して彼の地の珈琲道をきわめんとの志を記して

しか言ふ」

 

という文を頂き、この文と井野耕八郎をモデルに日本画家の甲斐巳八郎先生にイラストを描いて頂いたそうで、この「珈琲の店ばんぢろ」の店内にも同じものが掲げられています。

 

出典:https://vandzillo.coffee/free/about-vandzillo

 

 

歴史を感じるコーヒーと、懐かしい喫茶メニューを楽しむ

 

それではメニューをご紹介しましょう。

オリジナルブレンドコーヒー(550円)を筆頭に様々なドリンクメニューがラインナップされています。中にはクリームソーダやバニラセーキといった昔懐かしい喫茶メニューも。

 

 

そのほか、ハヤシライスやドリア、トーストにホットサンドといったフードからデザートまで種類も豊富に揃っています。

 

 

今回はフードメニューの中からチーズハヤシライス(単品1,100円/サラダ・コーヒー付き1,600円)をオーダーしてみました。牛すじ肉を使った自家製デミグラスソースにチーズをトッピングし、オーブンで焼き上げて提供されます。

 

 

とろとろに溶けたアツアツのチーズと濃厚なデミグラスソースは相性抜群。ただしとても熱いので食べる時はくれぐれもご注意を。

 

 

そしてこちらが「ばんぢろ方式」で抽出したコーヒー。鍋にオリジナルブレンドのコーヒー粉と水を入れて煮込んでコーヒーエキスを抽出し、さらにそれをネルでドリップするという珍しいスタイルのコーヒーです。

深いコクとまろやかさが両立した個性的な味は、まさに「歴史を感じる一杯」と言えるでしょう。

 

 

福岡で生まれた「ばんぢろ方式」のコーヒーを、63年もの長きに渡り守り続けてきた「珈琲の店ばんぢろ」は、まさに久留米を代表する名店と言えるでしょう。

是非「歴史を感じる一杯」を味わいに行かれてみてはいかがでしょうか。

 

 

珈琲の店ばんぢろ

住所:福岡県久留米市六ツ門町22-34

TEL:0942-32-0756

営業時間:10:00〜17:00

定休日:水曜日

Instagram:https://www.instagram.com/kurume_vandzillo/

 


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