アメリカにAI映画製作会社が誕生、実際の映像公開で「映画製作に革命起こす」宣言 ─ 『トランスフォーマー』Pがアドバイザー就任
『ダイバージェント』シリーズのプロデューサーであるプーヤ・シャーバジアンが、AIによる映画スタジオStaircase Studios AIを設立した。アドバイザーには『トランスフォーマー』『G.I.ジョー』シリーズのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラが就任している。米などが報じた。
Staircase Studios AIでは、「ForwardMotion」と呼ばれる独自のAIワークフローを駆使し、今後3~4年間で30以上の映画・テレビ・ゲームを製作する計画。製作費5,000万ドル以下という中~小規模予算で、大手映画スタジオのクオリティに近い作品をリリースすることが目標で、「スタジオの映画製作に革命を起こす」と宣言した。
第1弾作品として準備されているのは、長編映画『The Woman with Red Hair(原題)』。第二次世界大戦中、オランダのレジスタンスに参加し、のちにナチスが最も恐れた暗殺者となったハニー・シャフトの実話に基づく物語だ。すでに5分間の本編映像とメイキングが公開されている。
監督はAI映画部門を統括するブレット・スチュアート。脚本はマイケル・シャッツが2016年に執筆し、映像化されていない優れた脚本として「ブラックリスト」に登録されていたものだ。キャラクターデザインは『Mr.インクレディブル』(2004)『レミーのおいしいレストラン』(2007)のテディ・ニュートン、アート&デザインは『カンフー・パンダ』(2008)などのアルフレッド・ジミーノが務める。
出演は新人のマヤ=ニカ・ビューリー、リアンダー・ヴィーヴェイ、アンガス・キャッスル=ドーティ、ジョフリー・ブレトン。2023年には全米映画俳優組合によるストライキでAIの利用制限が争点となったことも記憶に新しいが、Staircase Studios AIは「多くの部門の組合員との協力を約束する」として、俳優にはセリフのレコーディングにおける業界標準の賃金を支払うことを発表している。
第2弾作品はアドベンチャー・スリラー・アニメーション『Every Living Creature(原題)』で、1997年にカリブ海・モンセラット島で発生した火山の噴火から動物たちを救出した3人の実話を描く。監督はエミー賞の受賞経験をもつバーニー・スー。
すでにスタジオでは、過去10年以上にわたるブラックリストの登録脚本を20本近くと、さらに業界に流通した脚本や知的財産(IP)を購入済み。CEOのシャーバジアンは、過去15年にわたり150以上のプロジェクトをスタジオに売り込んできた経験から、「現在の状態を継続していくことはあまりにも非効率的」と判断したという。
「この1年、私は倫理的なAI利用と、業界で最も活用されていない資産──すなわちこれまで見過ごされてきた、素晴らしい脚本家や監督の手で製作されるのを待っていた物語を融合することに専念してきました。[中略]才能あるアーティストの起用によって、業界が望んでいながら、しかしリスクを許容できずゴーサインを出せなかった類の映画を製作することができるようになりました。」
リードインベスターはハフィントンポストの共同創設者で、ベンチャーキャピタルLerer Hippeauのマネージング・ディレクターを務めるレラー・ヒッポー。「AIはあらゆる産業で避けられないもので、映画やテレビ、ゲームの未来も明らかです」と述べ、「業界は常にイノベーションを停滞させるジレンマと対峙していますが、Staircaseは先陣を切り、AIコンテンツの傑出したスタジオとプラットフォームを拡大していくプロセスを構築しました」との声明を発表した。
今後の映画作品には、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラがプロデュースする“動物版ダイ・ハード”と称される映画『Wild Night(原題)』や、『バーニング・オーシャン』(2016)の脚本家マシュー・サンドによる監督デビュー作『Between The Dog & The Wolf(原題)』、80年代の大人向けトーキング・カーが主人公の『ラッシュアワー』風アクションコメディ『Fully Wrecked(原題)』などがある。
テレビシリーズ企画には、「X-ファイル」の脚本家ゲイブ・ロッターによるタイトル未定の新作シリーズなど。ゲーム部門はAIゲーム企業Mother Gamesとのパートナーシップを締結した。
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