小泉農相、「週明けには2000円の備蓄米が店頭に並ぶ」とアピール。藤井氏「マーケット価格を微妙に下げていくようにやればいいのに」
5月29日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、政府備蓄米の放出に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「卸の流通には何の影響も与えないわけですよ」
政府備蓄米の随意契約による放出を巡り、小泉農林水産大臣は28日、2021年産米の最大10万トンについて、対象事業者を大手小売業者から中小スーパーや米穀店に切り替えたうえで、両者に割り当てる量を設定すると発表した。また、22年産米に申し込みが殺到して新規受け付けを休止したが、21年産米について29日に事業者説明会を開き、30日にも受け付けを再開する方針だという。
小泉氏は28日の衆院農林水産委員会で、「週明けには(5キログラムあたり)2000円の備蓄米が店頭に並ぶ。随意契約で、一定程度効果が出てきたのではないか」と強調した。
寺島アナ「5キロあたり2000円、改めてこの政府備蓄米の放出、藤井さん、いかがでしょうか?」
藤井氏「これはお米の流通のことをわかっている人間からすると、鼻で笑うような馬鹿な話なんですよ、(農水大臣を)進次郎がやっているっていうのは。もう一度改めて申し上げますけどね、いまお米が高いのはなんでかっていったら、卸売業者っていうのがいて、これはJAとは別で、JAは集荷業者っていうんですけど。集荷業者は値段を吊り上げてない、むしろ値段を引き下げようとしているんですけど、卸売業者がすごく高い値段をつけているんですよ。ここが引き下がらないとダメなんですよね」
寺島アナ「えぇ」
藤井氏「引き下げるのはすごく簡単で、卸売業者が仕入れたお金にプラス8000円くらいの値段を吊り上げて売っているんですよね。これが8000円じゃなくて通常やっている3000円とか4000円ぐらいのものにすれば、それだけで値段が下がるんですよね。これはそうなるように努力すればいいだけなんですよ。で、そのためにどうしたらいいかっていったら、彼らが持っているお米があって、それが高いお金で買ったお米があるわけだよね。高い値段で買ったお米がなくなれば安く売れるんですよ、彼らが。だから微妙に引き下げたお金、マーケットの価格を微妙に引き下げるぐらいの値段でいいわけですよ。そしたら、いま持っているお米もだんだん出していって、それがだんだん減ってきました、っていうことで。徐々に減っていきますよ、ってことになるんですけど。今回、2000円のやつがボーンと並ぶだけでしょ?」
寺島アナ「はい、そうです」
藤井氏「そしたらね、卸の流通には何の影響も与えないわけですよ。だからこれは結局、値段は下がらないことになるんですよね。だからマーケット価格を微妙に下げていくようにやればいいのに」
寺島アナ「そうか、マーケット価格を微妙に下げていかなきゃいけないんだ?」
藤井氏「下げていくように調整しないといけない。それは江藤さんが作っていたシステムである程度できるようになっていたんですよ。新たな入札制度っていうのを作っていて。ところが、それを2000円でバーンと置くからね、しかも古米か古古古米かなんかわからないけど、明らかに味の劣化したものだと言われているものが並んでね。そしたら通常のお米の価格は下がらないっていうことになるんですよね。だからムダ打ちをやっているようなもので、ただ2000円のやつが並ぶっていうインパクトがあるだけの話ですよね」
寺島アナ「だからこれが参議院選挙狙いなんじゃないか、というようなね?」
藤井氏「もう、そうとしか見えないですよね、これね」
寺島アナ「問題はマーケット自体をちゃんと正常化というか、いじっていかないとダメだ、っていうところなんですね、ポイントはね」
藤井氏「そうなんですよぉ」