アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』3rd season 声優インタビュー連載第7回:シリウス役 安済知佳さん|シリウスの愛は純粋すぎるがゆえに“毒”に!? お芝居に「“ペテ味”を感じた」と言われ嬉しかった
TOKYO MX、AT-Xほかにて好評放送中のTVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』3rd season。
先日放送された12話(通算62話)では、レグルスの権能を『獅子の心臓』――あらゆる物体の時間を止める能力と『小さな王』――自身の心臓を花嫁のそれに移す能力だと看破し、無敵の理由がレグルスの花嫁たちにあるとにらんだスバルは、エミリアに花嫁全員に協力してもらえるよう説得を頼む。レグルスの支配から自由になることをあきらめてしまっている花嫁たちに、自分がハーフエルフであることを明かして必死の説得を試みるエミリア。彼女に動かされ、百八十四番ことシルフィたちはレグルスに反旗を翻す決意を果たした。
そしてレグルスの心臓のカラクリを突き止めたエミリアが花嫁全員を凍らせて仮死状態にすると、レグルスの心臓はエミリアのもとへ移ってしまう。スバルは『見えざる手』の能力を使い、レグルスの心臓を握りつぶし『小さな王』の無効化に成功。肉体の時間を止める『獅子の心臓』の使用中は心臓の鼓動をも止めなければいけないという弱点を突き、最後は月から舞い戻ったラインハルトがとどめの一撃。エミリアの奪還と花嫁たちの解放に成功するのでした。
アニメイトタイムズでは、キャスト陣へのインタビュー企画を実施中。連載第7回はシリウス役・安済知佳さんに登場いただき、『リゼロ』の印象や、シリウスを演じる際に意識している点、[襲撃編]を振り返った感想と、11話(通算61話)のプリシラとの激闘について、そして終盤に向けての見どころなどをたっぷり語っていただきました。
前回はこちら
【写真】『リゼロ』第3期:安済知佳インタビュー【連載第7回】
「かわいいキャラが戦うお話」という印象から一変、お芝居や設定、演出のすごさなどに驚愕
──『リゼロ』の原作やアニメなどをご覧になった感想と、魅力を感じた点をお聞かせください。
シリウス・ロマネコンティ役 安済知佳さん(以下、安済):『リゼロ』のことは知っていましたが、シリウス役のお話をいただいてから改めて情報収集していくうちに、「作品を実際に観たほうがいいな」と思いました。たまに、事前に観ないほうがいいキャラクターもいますが、シリウスを演じる上では実際に観ないと始まらないなと。アフレコまでに1st seasonから2nd season、OVAまで観ました。
観る前はエミリアやラム・レム姉妹など、かわいいキャラクターに目が行きがちで。私が出演したゲーム(『オルタナティブガールズ』)でも『リゼロ』とのコラボがあり、そのときの印象なども含めて、かわいいイメージが先行していましたが、ゲームの中でもペテルギウスさんは登場していたので、「かわいい女の子とインパクトが強いキャラクターが戦う話なのかな?」と。
そこからアニメを拝見して、ただかわいい女の子が戦う話ではなく、「死に戻り」の設定だったり、ただ異世界に召喚されて気軽に生活する話ではないことを知って驚きました。そして、一人ひとりのキャラクターの心情を、特にスバルについては憎悪や痛みまでも描いていたので、共感や感情移入がしやすく、『リゼロ』の世界にすぐに引き込まれました。
──序盤の残酷な描写や、スバルが苦しむ姿を観るのはツラくありませんでしたか?
安済:あまりそんなことはなく……(笑)。でも確かに、かなりカロリーや精神力を消費するアニメだなと。「きっとすごいアフレコ現場なのでは?」と想像しました。
一方で、演出面のすごさ、特にサブタイトルが最後に出てきたり、「死に戻り」する時の音など、細かい部分の演出が好きで、(出演することを忘れて)結構楽しんで観てました。
シリウスは純粋すぎるがゆえに愛が毒に!? ペテルギウスへの愛を軸に演じた
──シリウス役を演じてほしいという指名があったそうですが、どのように情報を集めたのでしょうか?
安済:シリウスを知るには、台本が届くまでは原作を読むしかなかったんですが、シリウスについてはまだ全貌が明らかになってはいなくて。なので、まずはアニメを観て、あとは現場で監督にお聞きしたほうがいいなと。あとは、ナツキ・スバル役の小林裕介さんに別の現場で、原作の長月(達平)先生もアフレコに立ち会われていると聞いていたので、そこで詳しい話を聞けたらいいなと思いました。
──シリウスの印象はいかがでしたか?
安済:純粋な人だなと思いました。ただ、酸素の純度が高すぎると毒になってしまうように、純粋さが強すぎるがゆえに“毒”なんだなと。
2nd seasonまで観て、大罪司教はまったく会話が成立しなくて、自分の信条ややりたいことがまず第一、という印象でした。言葉のキャッチボールのつもりでドッチボールしてくるような大罪司教が多かったので、そこは(シリウスも)共通していますが、他の大罪司教とは違うところも見せないといけないなと。
3rd seasonの1話(通算51話)の台本をいただいた時、「劇場型悪意」というサブタイトルを見て、台本を読んで、このサブタイトルをシリウスがラスト10分で表現するための最適解を常に考える日々を過ごしました。
──ペテルギウスへの執着もすごいですが、どうしても松岡禎丞さんが演じたペテルギウスのことが頭に浮かんでくるんですよね。
安済:シリウスがなぜ「ロマネコンティ」姓を名乗っているのかは原作でも書かれていたので、そこを軸に考えていきました。彼女はペテルギウスを愛しています。私たちもどんな愛の形であれ、愛する人の癖や言動に似てしまったり影響を受けることがあると思うので、(意図的に)マネているわけではないけれど、「今ちょっと似てたな」と視聴者の皆さんに感じ取ってもらえたらベストだなと思って、“ペテルギウスっぽさ”を感じてもらえるように意識しました。
松岡さんのペテルギウスは突拍子もない発声をしますし、台本を読んでもそういう節を感じたので、「松岡さんを意識する」というよりも「ペテルギウスを想うゆえの彼女の言葉の節」を意識するイメージで演じました。
あと「どうやってペテルギウスを作ったのかな?」と思って、アニメイトタイムズさんに掲載されていた1st seasonの時のインタビュー記事(※)も読ませていただきました(笑)。
膨大なセリフ量に苦戦! シリウスの気持ちの流れや「動きながらしゃべる意味」を考えながら組み立てた
──収録前に長月先生や監督から説明やディレクションはあったのでしょうか?
安済:まず収録前に、私の中で役を作っていく中でいろいろな選択肢が出てきます。核が1つ決まれば全部決まる部分があって、その核の部分を質問させていただいて……結構衝撃的なお話でしたが(笑)、彼女の言動の意味がわかって、だいぶ納得できたので、道が定まりました。最初の51話以降は、長月先生や監督に尋ねることも、ディレクションもあまりなく……かなり自由に任せてもらえた印象です。
──では、特に苦戦した部分もなく?
安済:お芝居の組み立て方で苦戦したことはありませんでしたが、シンプルにセリフの尺が短くて。すさまじい間合いで、ポンポン言葉を投げ、ツラツラしゃべっていくんです。収録前に届いた台本が、現場で「合わせてみたら長くなったので、少しカットします」ということはよくあるので、今回もそうかなと思ったんですが、まったく修正がなくて。「あっ、このままなんだ!?」と思った時に、「このスピードでこの言葉を言っていく気持ちの流れって何だろう?」とか、台本のト書きに説明されている以上の、斜め上の動きをシリウスがしている姿を見て、「この動きをしながら、これをしゃべる意味は?」とか、演出の意図を考えた結果、シリウスが出来上がりました。台本よりも映像を見て作り上げていく、というのは私の声優人生の中であまりない体験だったのでおもしろかったんですが、ちょっと苦労しました。
あと、シリウスは情緒のアップダウンがかなり激しくて。泣いていたと思ったら、次のカットを挟んだらすごい大爆笑をしていたり。演じている時は気持ちの流れも意味もわかるので違和感なく出来るのですが、やり終わった後はドッと疲れて。全力疾走し終わった感覚で、精神的にも肉体的にも消費がすごかったです。
あまり経験がなかった“ヴィランらしい役”。「“ペテ味”を感じた」や「想像以上でした」といった声が嬉しい
──大罪司教はみんな圧が強いし、テンションも高いし、しかもすごいセリフ量をまくしたてるようにしゃべるので、キャストの皆さんは大変だろうなと思いながら観ています(笑)。
安済:特にレグルスは言葉が武器のようなところがあるからこそ、石田(彰)さんのお芝居はとても感動しました。ひどいことを言ってるのに高貴さがあると言いますか……。
あと、本編の終了後に配信される『Re:ゼロから始める休憩時間(ブレイクタイム)』3rd seasonでも大罪司教が集まる回があって、カペラ(悠木碧さん)だけ一緒に収録できなかったんですが、それ以外は全員で収録できました。
でも、みんな人の話を聞かずにただ言いたいことをしゃべるので、テストの時に「これ、一緒にやる意味ないんじゃないですか?」と思わず言ってしまうほど、まとまりがなくて(笑)。一応、シリウスさんは聞いている……ようでやっぱり聞いてなかったかもしれません(笑)。
せっかく集まれたのに、別録りみたいになっちゃうのは大罪司教らしかったです。カペラの声が入った完成形は(インタビュー時点では)まだ観れていませんが、きっと面白いものになっていると思います(笑)。
──収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
安済:新参者なのに、「劇場型悪意」の最後の10分に登場して、しかも皆さんに「『リゼロ』が帰ってきた!」と思ってもらえるようにしなきゃと気負ったところはありました。
でも小林くんをはじめ、エミリア役の高橋(李依)さんやベアトリス役の新井(里美)さんなど、皆さんが「ようこそ!」とめちゃめちゃ温かく迎えてくださって。気持ちよく、楽しく現場にいさせていただけたのがとても嬉しかったです。
──2月1日に行われた「3rd seasonオールナイト上映イベント」(小林さん、高橋さん、新井さん出演)のトークショーに出演された時、皆さん、安済さんのお芝居をほめていましたね。
安済:私がペテルギウスをお芝居としてではなく、気持ちとして意識して現場に臨んでいたことは誰にも話していなかったのに、「“ペテ味”を感じたよ。これぞ『リゼロ』だと思ったよ!」とメインメンバーの皆さんから言われた時は「ああ、よかったな」と思いました。
──ちなみに、シリウスのお芝居について、ファンの方からの反響は?
安済:私は今まで、ヴィランらしい悪役をあまり演じたことがなかったので、驚かれた方も多かったようです。『リゼロ』ファンの方からは「最初にキャスト発表された時、どんなシリウスになるのか、まったく想像もつきません」とか「どんなシリウスになるのか楽しみです」という声もいただいて、「劇場型悪意」が放送された後には「想像以上でした」と言っていただけたのが嬉しかったです。
3rd seasonは、[襲撃編]の屈辱を、[反撃編]で晴らす気持ちよさが魅力の一つ。演じてきた中でテンションが特に上がった瞬間は?
──[襲撃編]を演じた感想をお聞かせください。
安済:まず[襲撃編]は、いろいろな見応えがあるシーンが詰め合わせみたいに描かれていることが多いので、ブースにキャスト全員が入れないんですよね。それくらい、たくさんのキャラクターがいて。なので、シーンごとに録ることが多かったため、絡みがないキャラの方とあまり会えなかったのが寂しくて。でも台本は読んでいたので、オンエアを観て「わあ、こんな風に演じたのか! この時、現場にいたかった!」と思うこともよくありました。
収録を振り返ってみても、みんなすごい熱量で演じていらっしゃるんだなと参加して思いましたし、「私はスバルや王選候補の人たちに相対する立場で存在しなければいけないから、負けてはいけない」とも思いましたし、「皆さんが築き上げてきたものを一緒に背負えるようにしなきゃ!」と必死にやっていたら、いつの間にか収録が終わった感じで。また、シリウスが登場しない回は台本をいただけないので、オンエアを観てビックリしたり、感動したりと、視聴者としても楽しませてもらいました。
また、3rd seasonが[襲撃編]と[反撃編]に分けて放送されることも知らなかったので、知った時は「これ、めっちゃいいな!」と思いました。
特に最近、[反撃編]の59話「混戦都市」と60話「強欲攻略戦」を観たばかりなんですが、めちゃめちゃ気持ちいいんですよね。視聴者として観た時、[襲撃編]での屈辱が、[反撃編]で晴らされて。大罪司教に勝つことで取り戻したものや、新たなヒントが得られたりする様子を観るのが楽しかったです。
──[襲撃編]では、スバルたちを圧倒して、絶望感さえ与えたので、そこはヴィランとして気持ちよく演じられたのでは?
安済:シリウスは他の大罪司教とは違って、彼女が理想とする優しい世界を創造するため、愛の世界をみんなに知ってもらうために行動しているハッピーな人だと思ってるのであんまりそういう気持ちはなかったかもしれません。
51話でルスベルくんをいたぶった時は演じていて気持ちよかったかもしれません。ルスベル役の小市眞琴さんのお芝居がとても素敵で「そんなにおびえてくれるんだ!? そんなに感情出してくれるんだ!?」って。シリウスは感情を繋げていく権能ということもあって、つい嬉しくなってしまって。今思うと確かにテンションが上がっていました。
52話で、スバルとルスベルがシリウスの声に共鳴しておかしくなっていくところも、お二人のお芝居が素晴らしすぎて。収録の時よりもオンエアを観ている時のほうが、「わ~い! シリウスすごい!」って楽しくなりました。
1st seasonでレムがペテルギウスに殺された時のスバルの芝居は衝撃的! スバルと小林さんの共通点は「気遣い」
──主人公のスバルの印象と、小林さんのお芝居についての感想をお聞かせください。
安済:私が語るのは烏滸がましいと思いますが……スバルというキャラは、無鉄砲に敵や問題に立ち向かっているようでいて、実はものすごく繊細で。「死に戻り」を何回も繰り返していることによって、心に受けた傷やトラウマは数えきれないほどある複雑なキャラクターだと思うんです。
でも普段は「E・M・T(エミリアたん・マジ・天使!)」とか恥ずかし気もなく口に出したり、他のキャラクターに対してもツッコミを入れまくったり、明るく元気に軽やかに振舞っていて。小林くんがスバルのことをよく理解して演じているからこそ、軽さやおもしろさと、苦しみや弱さに立ち向かう芯が同居しているのがまったく不自然ではなくて。本当に小林くんってすごいなと思いました。
1st seasonの15話(「狂気の外側」)で、竜車で移動している途中で魔女教に襲われ、洞窟の中でレムがペテルギウスに殺されてしまって、スバルの心が壊れてしまったシーンが衝撃的で。スバルの心の痛みや叫びが、アニメの絵と演出を通しても伝わってきて……ただそのお芝居に圧倒されてしまいました。
普段別の現場で会う小林くんは、気さくで明るくて、一緒にお酒を飲みに行ったりするくらい仲良くさせていただいていますが、いつも気遣ってくれるし、周りの人のことをよく見ていて、常にその場での最善の振舞いをしている印象があって。もしかしたらそこがスバルとの共通点なのかもしれないと思いました。
──スバルは、キャストの間でも、seasonを重ねるごとに人気が高まっている印象です(笑)。
安済:そうなんですね(笑)。あとスバルは、視聴者の目線だったり、気持ちを代弁する役割でありながらも、「死に戻り」という状況は誰も経験したことがないし、その時の心理状況を表現するのは難しいと思うんですよね。上辺の浅いお芝居だと(視聴者が)共感できず、「死ぬ前の経験をなぜ活かせないんだよ!」と見えてしまう可能性もある中で、スバルは「死に戻り」を繰り返すことで、心理状況は尋常ではないと思うし、死ぬ前の恐ろしい経験から臆病になったり、時には間違った判断をしてしまうこともあって。でも、スバルの一生懸命さが伝わってくるからこそ、手に汗を握るし、「頑張れ」と応援したくなって。
61話の収録後に、小林くんと高橋さん、新井さん、小市さん、リリアナ役の(山根)綺ちゃん、ティーナ役の(天野)聡美ちゃんでご飯に行ったんですが、みんなテンションが上がっちゃって。お互いの台本を見せ合ったりしたんですが、そこで「スバルの痛がり方ってすごいよね」という話題で盛り上がって。
彼はいろいろな部位を傷つけられていますが……たぶんどの作品のキャラの中でも一番じゃないかな?(笑)、みんなで「足が痛い時、腕が痛い時、お腹が痛い時、それぞれ声が違っていて、しかもどこが痛いのかわかるのがすごいよね」って。そうしたら小林くんは「傷の部位によって呼吸が変わるのを意識している」と話してくれました。こんな伝え方だと簡単に聞こえるかもしれませんが、その場では詳しく話してくれて感動しましたし勉強になりました。
プリシラとの激闘シーンを収録した後に、田村さんからもらった嬉しい言葉とは?
──そして今、[反撃編]が放送中ですが、シリウスといえば61話「リリアナ・マスカレード」でのプリシラとのバトルシーンがすごかったですね。『リゼロ』は長い掛け合いが随所にあるのが特徴ですが、シリウスとプリシラの戦闘中の掛け合いも引き込まれました。
安済:ありがとうございます。プリシラはめちゃくちゃ難しい言葉遣いをするキャラクターですが、自分から自然に出てくるように話せる田村(ゆかり)さんのすごさと圧力をビシビシ感じました。
[反撃編]が始まってからは、視聴者の方にスッキリしてもらえるような「反撃のされ方」も重要だなと。でもわざと何かをするわけではなく、シリウスの考えうる思考からとる言動をイメージしながら掛け合いをして、気が付いたらシーンが終わっていた感じです。収録では「めちゃくちゃしゃべったな」という感覚でしたが、観てみたら意外に短いなと思ったりして。もっとすごい言葉のバトルをしたつもりだったのに。そのくらい田村さんの演じるプリシラの圧が強くて、それを感じていたから必死に、無我夢中でやっていたからかもしれない、と今振り返ると思います。
──短さは感じませんでした。間にリリアナの人生を描いたシーンが挟まっていましたが、集中力は切れないまま、二人の掛け合いにのめり込んでいたので、あのシーンが終わった後の疲労感から思わず「ふ~っ」と呼吸しましたから。
安済:それなら良かったです。『リゼロ』の台本っていつも分厚いんですよね(笑)。あのシーンが終わった後、田村さんから「ヤバい女だね」と言ってもらえたのが嬉しかったです。
お気に入りキャラは「選べない」!?
──ご自身が演じるキャラ以外で、お気に入りのキャラを教えてください。
安済:それはもちろん、ペテルギウス様!……とパックですかね。3rd seasonで言うと、ガーフとミミの二人です。台本を読んでいた時から「いいな。かわいいな」と思ってたんですが、映像で観てみたら想像以上に尊くて。
あとリリアナも! 61話でプリシラに倒された時、リリアナの「伝心の加護」が覚醒して、シリウスに精神を支配されていた都市の人たちを救いましたが、綺ちゃんは(お芝居と歌を)別録りせずに、現場でそのままお芝居の合間に歌うのがすごいんですよね。本当に「歌で戦っている感」があって。彼女がマイク前で一生懸命、お芝居と歌に取り組む後ろ姿が胸にぐっとくるほどで。「これは負けるわけだ。いい負け方をしたね、シリウスさん」と思えた、印象的な収録でした。
あとスバルとエミリアは、この1st、2ndでの苦難を乗り越えた後の3rdということで、自分たちの核や芯になる部分が出来上がっているからこそ、今までとは違う形で応援する気持ちが湧いてきて、観ていて楽しいです……でもラインハルトもいいんだよなあ。今までもカッコよかったですが、59話(「混戦都市」)のレグルスとの戦いで使った「不死鳥の加護」なんて、放送後、SNSでトレンドに入っていましたよね?
宣伝担当:入っていました。
安済:「そんなチートなことアリなの!?」という感じで。いろいろな加護を出してきて、すご過ぎます!
──女性キャストの間でも人気のキャラクターですからね。
安済:ですよね~! カッコいいし。強さと物腰の柔らかさのギャップも含めて魅力的で……ダメだ! 私には選べない! 素敵なキャラクターばかりだなと、今話していて再確認しました(笑)。
現場で「私=シリウス」というイメージが根付いたのが嬉しい
──先日の一気見上映会のトークショーでもお話ししていましたが、安済さんはたくさんのいい裏話をお持ちのようですね(笑)。
安済:自己満足というか気分を上げるために、「ちょうどハート柄の靴下を持っているし、今日は愛だしな」と軽い気持ちで履いて現場に行ったら、小林くんから「その靴下のハートはもしかしてペテルギウスへの愛ってこと?」と言われたんです。まさか気付いてくれるとは思わなかったから、すごくビックリしたのと同時に嬉しくて、「よくわかったね!」と言ったら、「えっ!? 引くんだけど」と言い返されて、私も「なんで引くの!」と。彼としては「そんなつもりないよ~!」と返されると思ったら当たってたから引いてしまったらしいです(笑)。
──あとは、スタジオにいる犬を愛でる姿が印象的だったというお話などもありました。
安済:私がワンちゃんを「かわいいね~!」と愛でていたら、「その声で愛でるのはやめて!」と小林くんから言われたり、その後、[反撃編]の収録が終わった後の打ち上げで、綺ちゃんとミミ役の藤井ゆきよさんとラム役の村川梨衣さんと私という不思議なメンツが同じテーブルだったんです。おいしい料理が次々に届いたので、「わ~っ!」とテンションが上がっていたら、「シリウスが喜んでいる声にしか聴こえない!」というクレームが入りました(笑)。もうこの現場では、私がテンションが上がるとシリウスになっちゃうというか、皆さんの中で「私=シリウス」というイメージが根付いたのが、おもしろくもあり、嬉しくもありました。
あと、どこかのタイミングで長月先生から「シリウスがかわいく見えてきました」とおっしゃっていただいたこともあって。「シリウスの言動の源は純粋な“愛”であり、一生懸命じゃないですか? やっていることはヤバくても、純粋に一生懸命だとかわいいんだなと気付きました」と言ってもらえて。原作者ということもあると思いますが、シリウスの内面の良さを見てくださったのが嬉しかったです。
──トークショーを見ていて、4人の雰囲気があまりにも良くて。小林さんと「ちかぺ」「ゆっけ」と呼び合っていたり、お互いにイジりあったりして、安済さんが1st seasonから出演されていたような感覚になりました。
安済:それくらい皆さんが温かく迎えてくださったということですよ。すごい方たちの中に自分も混ぜていただけて、しかも大罪司教はあの場で私ひとりだったのに。
前回登場のリリアナ役・山根 綺さんからのメッセージを読んだ感想は?
──本インタビューは連載企画となります。ここで、前回登場いただいた山根さんから、安済さんに向けてのメッセージをお伝えします。
「安済さんは現場でも外でもいつも優しい、大好きな先輩です。数年前に別作品でご一緒したのですが、その時はあまりお話できなくて、今回ご挨拶した際に「覚えてますよ、もちろん!」と言ってくださったことがすごく嬉しかったです。
そこから『リゼロ』の収録終わりのご飯で距離がぐっと縮まった気がします。と私は思っているのですがどうでしょうか…!(笑) お仕事の話からプライベートの話までたくさんお話できましたし、何よりも私は安済さんのお芝居が大好きなんです。シリウスは現場で聴くたびに鳥肌が立ちます。「聴く」よりも「浴びた…!!」が感覚的に近いかもしれません。また現場でご一緒できるように頑張ります!」
安済:いや~…恐縮です。なんて100点満点のコメントなんだろう。ありがたいです。綺ちゃんと初めてご一緒したのは、小林くんも主人公役で出演していた『大正オトメ御伽話』という作品でした。『リゼロ』でお会いした時に、なぜ綺ちゃんとご一緒していたことを覚えていたかというと、綺ちゃんはエピソードトークがめちゃめちゃおもしろくて(笑)。あと、現場でも彼女のまじめさがわかるくらい、いつも一生懸命で、悩んだり、葛藤していたことを覚えていたので、「また会えたらいいな」と思っていました。
久しぶりの再会が『リゼロ』というとんでもない作品で、しかも敵同士に分かれる役で。すごく嬉しかったし、彼女から「お会いしたことを覚えているのかどうかわかりませんが……」と言われた瞬間、「えっ!? むしろ覚えてないと思っていたの?」と尋ね返してしまったくらいビックリした記憶があります。確かに、『リゼロ』で一緒になったことで、ぐっと距離が縮まった気もしていますし、この作品で共演することができて、こちらこそ光栄です。
こんな素敵なメッセージをいただいてありがたいです。この言葉でこれからも頑張れます。ありがとう!
次回登場のカペラ役・悠木 碧さんとの不思議な縁
──次回登場する、カペラ役の悠木碧さんとの共演時のエピソードや、収録やイベントでは言えなかった疑問やメッセージをお願いします。
安済:実は碧ちゃんとは別録りだったので、一度も会えていないんです! 役とキャストの名前が書かれた香盤表を見た時、「カペラは碧ちゃんなんだ!? わ~い! 最高の“クズ肉”が聴ける!」と思って嬉しくて。実際にアニメを観たら、想像以上の最高の「クズ肉共」をいただいて(笑)。さすがだなと思いました。
たぶん碧ちゃんも私と同じように長月先生とお話しして、どんなキャラクターなのか聞いていると思うので、今度お互いにどんなお話をされたのかなど、すり合わせてみたいです。
実は私のデビュー作『あにゃまる探偵 キルミンずぅ』で、碧ちゃんと三姉妹の役をやらせていただいて。それからいろいろな作品でご一緒していますが、今回一緒にヴィラン役ができてとても嬉しく思っています。
碧ちゃんはボキャブラリーが多いし、いろいろな感性で物事を捉えているけど、本人はまったくブレていなくて。そこがすごく憧れで、話を聞くたびにすごく楽しいんです。自分が思っていなかった視点から掘り下げてくれてありがたいし、いつも助かっています。ありがとう!
『リゼロ』の収録では一度も会えなかった私たちですが、「AnimeJapan 2025」の「最終話直前ステージ」で遂に会うことができます! 今までのイベントでは、大罪司教は私だけで肩身が狭い思いをしましたが、今度はスバルたちに大罪司教の絆を見せつけたいと思います。アニメ本編では見られなかったチームワークで行こうね!
プリシラに敗れた後のシリウスの生死は? 3rd seasonを最後まで観てもらえるように皆さんへ「愛」を!
──最後に、[反撃編]の全体的な見どころと、シリウス的な見どころのご紹介をお願いします。
安済:シリウスの言動はまったく意味がわからないし、攻略法もないのではと思わせる権能でしたが、プリシラ様に倒されてしまいました。シリウスのやられっぷりを楽しんでいただけたなら嬉しいです。
レグルスもシリウスも敗れましたが、スバル陣営がこのまま順調に大罪司教を倒して、プリステラに平和が戻ってめでたしめでたし……とは簡単にいかないのが『リゼロ』で。私も台本を読んでゾクッとしたし、「やっぱり『リゼロ』だな」と思いましたから。
それに、シリウスの生死はまだ確認できていませんがどうなるの……? 言えないことがまだまだあるので[反撃編]が終わった後にまたお話ししたいです。
とりあえずここまで[反撃編]を観て、シリウスの愛を浴びてくださってありがとうございます。3rd seasonの最後までぜひ見届けてください。
[文・永井和幸]