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ZARDデビュー35周年!その魅力は坂井泉水の言葉で綴られた歌詞と透明感あふれる歌声

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1993年01月27日 ZARDのシングル「負けないで」発売日

ZARDデビュー35周年、写真展が開催


日本の音楽シーンにおいてひときわ静かに、しかし、確かな存在感を放つアーティストがいた。
ZARD―― その名を聞けば、1990年代の鮮やかな記憶が蘇るという人も多いだろう。デビューから35年を迎えようとしている今なお、多くの人々の記憶と心の中に生き続けるアーティストだ。

このほど、来る2026年のZARDデビュー35周年を迎えるにあたり、写真展『ZARD Photo Gallery -MONOCHROME/COLORS-』が、坂井泉水の命日である5月27日より、東京・大阪にて順次開催されることになった。これを記念して今回は、ZARDが音楽シーンに残した偉大な足跡をあらためて振り返っていきたいと思う。

デビュー曲「Good-bye My Loneliness」がスマッシュヒット


デビューのきっかけは、「おどるポンポコリン」の大ヒットで一世を風靡したB.B.クイーンズのコーラスを決めるオーディションに、当時モデルとして活動していた坂井泉水が参加したことだった。そこで音楽制作会社ビーイングの創業者である長戸大幸に才能を見出された坂井は、“アン・ルイスとテレサ・テンの間くらいの感じ” というコンセプトのもと、ZARDをスタートさせることになったようだ。

1991年、フジテレビ系ドラマ『結婚の理想と現実』の主題歌にもなったシングル「Good-bye My Loneliness」でメジャーデビュー。いきなり20万枚を超えるスマッシュヒットを飛ばすと、4作目「眠れない夜を抱いて」(1992年)から現時点でのZARD名義の最後のシングル「素直に言えなくて」(2009年)まで、42作連続でトップテン入り。またシングル3作、アルバム9作(コンピレーション盤、ベスト盤含む)でミリオンヒットを記録するなど、長きにわたり音楽シーンのトップに君臨した。

謎めいた存在だったZARD


数々の記録を打ち立てたメガヒット・アーティストである一方で、ZARDは常に謎めいた存在でもあった。テレビ出演などメディアへの露出が極端に少なく、ライブ活動も1999年の豪華客船での招待ライブ(観客は抽選で当選したわずか600人!)まで一切行われなかったため、巷では “坂井泉水は実在しないのではないか” といった噂まで囁かれたほどだった。

とはいえ、実は活動初期にはテレビ出演も行なっており、意外にも『ミュージックステーション』には5回も出演している。しかし1993年2月5日に同番組で「負けないで」を披露したのを最後に一切のメディア出演から身を引いたため、この曲の大ヒットでZARDを知った多くの人にとって、歌声や楽曲のイメージが先行するミスリアスな存在として記憶されることになった。

坂井泉水の等身大の言葉で綴られた歌詞、透明感あふれる歌声


売れればメディア出演が増えるのが当然とされる芸能界において、ZARDの特異なスタンスはかえって人々の関心を集める一因となった。ただこれは、決してプロモーション戦略というわけではなく、トークが苦手なことや体調面への影響を考慮した、総合的な判断だったという。

しかし、積極的なプロモーションを行わず、純粋に楽曲の力だけでヒットチャートを席巻するのは生半可なことではない。それを可能にしたのは、耳にした瞬間に心をつかむメロディラインと、坂井泉水自身の等身大の言葉で綴られた歌詞、そして彼女の透明感あふれる歌声の、みごとな調和に他ならない。とりわけ歌詞については、年齢を含めてほとんどの情報を伏せていた彼女の人柄やパーソナリティを垣間見ることのできる貴重な手がかりだった。

いつの時代も背中を押してくれる「負けないで」


坂井泉水の描く歌詞は、どこまでもピュアで瑞々しい。代表曲「負けないで」がそうであるように、彼女のまっすぐな言葉には、いつの時代も人の心をそっと励ましたり、背中を押してくれたりする。

 負けないで もう少し 
 最後まで 走り抜けて
 どんなに 離れてても
 心は そばにいるわ
 追いかけて 遥かな夢を
 (負けないで)


それはきっと、1990年代当時の流行や空気感に流されず、普遍的かつシンプルな言葉を選び取っていたからだろう。飾り気のない言葉だからこそ、聴く人それぞれの思いや境遇にすっと重なり、深い共感を呼び起こすのだ。

ZARDならではの切ない世界が完成した失恋ソング


ZARDといえば「負けないで」「揺れる想い」をはじめとしたポジティブな楽曲のイメージが強いが、一方で「サヨナラは今もこの胸に居ます」「もう探さない」といった失恋ソングにおいても、稀有な表現力を持つアーティストであることを忘れてはならない。胸が締めつけられるほど健気な彼女の恋愛観は、恋愛そのものがファッションの一部のように語られていた90年代にあって、驚くくらいまっすぐでひたむきだった。駆け引きや打算とは縁遠く、ただ一途に相手を想い続ける姿勢。その純粋さは彼女の描いた数多くの作品に表れている。
 
 もし あなたがいつか独りになって
 私の事を思い出したら すぐ連絡してね
 好きだから追わないと心に決めたの
 (サヨナラは今もこの胸に居ます)


 時が過てばいつも切りかえは得意なのに
 笑っていても苦しい… 
 年上の女と 暮らしていると聞いた
 もう二度と電話できない
 (もう探さない)


別れの辛さや寂しさをグッと堪え、相手の幸せをそっと願うようないじらしさ。そんな女性像が、彼女の作品ではたびたび描かれてきた。そこに織田哲郎を筆頭としたビーイング所属の強力作家陣によるキャッチーなメロディが重なり、さらに坂井泉水の透明感あふれる歌声が乗ることで、言葉と音が溶け合うような、ZARDならではの切ない世界が完成するのだ。

ZARDの音楽は、今も昔も変わらず、ふとした瞬間に聴きたくなるような魅力に満ちている。今や彼女の楽曲はサブスクで気軽に聴けるようになり、当時まだ生まれていなかったような若い世代の支持も広がっているという。時代が変わっても、ZARDの音楽はそっと人の気持ちに寄り添い続けている。

Information
ZARD Photo Gallery -MONOCHROME/COLORS-

<東京会場>
▶ 会場:hmv museum 渋谷5(HMV&BOOKS SHIBUYA 5F)
▶ 日程:2025年5月27日(火)~ 6月22日(日)
▶ 営業時間:11:00~20:30 *入場は20時まで

<大阪会場>
▶ 会場:hmv museum 心斎橋(HMV&BOOKS SHINSAIBASHI 店内)
▶ 日程:2025年7月19日(土)~ 8月11日(月・祝)
▶ 営業時間:11:00~20:30 *入場は20時まで

【参考資料】レコログ「時代を超えて愛され続けるZARDを支えたスタッフが語る、音楽の届け方」

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