【柏市】首都圏最後のとりで、千葉県でも…クビアカツヤカミキリ発見
東京都、埼玉県、茨城県、栃木県と首都圏で相次いで発見され警戒を強めていた千葉県でも、特定外来生物クビアカツヤカミキリの被害と幼虫が確認されました。
昨年10月、千葉県で初の確認(柏市)
柏市では昨年10月、クビアカツヤカミキリのフラス(幼虫が食べた木屑とふん)と思われるものが発見されたと管理会社から柏市に連絡があり、薬剤により幼虫の殺処分が行われました。
DNA分析によりクビアカツヤカミキリと鑑定できたことから、一連の経緯・処置の結果などが柏市環境部環境政策課に報告され、同課は県のとりまとめ部門である千葉県環境生活部自然保護課生物多様性センターに報告。これを受けて今年3月に県が公表しました。
柏市は、すでに発見・確認されていた東京都と埼玉県と接しておらず、茨城県の取手市と守谷市とは利根川を挟んでいることと、両市ではまだクビアカツヤカミキリの確認・発見の報告がないことなどから、柏市への侵入経路については解明できていませんが、市は庁内関係部門に一層の監視・注意を促しました。
特定外来生物クビアカツヤカミキリ
特定外来生物とは人の活動によりそれまで生育していなかった地域に国外から入り込んだ生物(外来生物)のうち、生態系、人の生命・身体や生活環境、農林水産業に被害を与える又は与える恐れのあるものが外来生物法により特定外来生物に指定されています。
アライグマやカミツキガメ、ヒアリなどが有名です。
クビアカツヤカミキリは中国、モンゴル、朝鮮半島、ベトナムなどが原産の体長約25〜40ミリの黒いカミキリムシで、胸の部分が赤いのが特徴。
輸入木材や梱包材、輸送用パレットなどに潜んだ幼虫が日本国内で成虫となって繁殖したと推定され、2012年に愛知県で初めて被害が確認されました。
樹木に産みつけられた卵がふ化し幼虫となって内部を摂食しながら進み、フラスを排出。
1本の樹木に複数の幼虫が侵入すると、食害により枯れる恐れがあります。
クビアカツヤカミキリによる代表的な被害はサクラですが、他にもモモ、スモモ、ウメなどでも被害が確認されています。
ソメイヨシノの被害が深刻化 花見文化の危機!?
最近ではソメイヨシノの高齢化による倒木が問題となっていますが、クビアカツヤカミキリによる被害も深刻で、日本伝統の春の風物詩、花見文化が危機にさらされています。
埼玉県で2013年に、東京都では2015年に、茨城県では2019年に、神奈川県では2021年にクビアカツヤカミキリの被害が確認されています。
柏市から報告を受けた千葉県環境生活部自然保護課生物多様性センターでは、他の都県でも飛び火的に発見・確認されていることから、フラスや幼虫、成虫を見つけた時は、速やかに所轄市町村の自然環境関連部局へ連絡・相談するようにと呼び掛けています。(取材・執筆/コラてつや)
※写真提供/埼玉県環境科学国際センター
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千葉県環境生活部自然保護課生物多様性センター