【横浜市中区・南区】「神奈川の名工」に中区吉田町のバーテンダー・山田高史さんと南区東蒔田町の建築板金工・立脇義晴さん
「神奈川の名工(神奈川県卓越技能者)」が11月に発表され、中区吉田町に本店があるバー「ノーブル」のオーナーでバーテンダーの山田高史さん(49)と、(有)立脇板金=南区東蒔田町=の建築板金工・立脇義晴さん(68)が選ばれた。12日には表彰式が行われた。
神奈川県卓越技能者は、技能者の社会的地位や技能水準の向上を目的としている。全国大会での受賞者や製造現場での生産性、安全性の向上に寄与し、後進の指導育成に尽力する技能者に贈られ、今年は23人が表彰された。
その一杯に最善を
山田さんは、2011年の世界カクテルコンペティションで優勝するなど、国内外の大会で賞に輝き、業界でも最高峰の技術を持つ。
また、(一社)バーテンダー協会神奈川支部長を務め、セミナーの開催や大会に向けた指導を行うなど、後進の育成にも力を注いでいる。
栄区生まれの山田さんがカクテルに興味を持ったきっかけは、ハイカラだったという祖母が持っていたシェーカー。食品会社で働きながら、夜はバーでアルバイトをする生活を送り、22歳でバーテンダーを本業に。24歳で独立した。
こだわりは、最高の空間で、その人に合った最高のカクテルを提供すること。「その一杯に最善を尽くす」と話す。
現在は市内で4店舗を経営。山田さんのもとで腕を磨き、独立したバーテンダーも増えている。「老後は元スタッフの店を回ることを楽しみにしている」と温かいまなざしを向ける。
「県が選出する『名工』にバーテンダーが選ばれ、誇らしく思う。今後も生涯現役で、明日への活力となる一杯を提供したい」と受賞の喜びを語った。
要望に妥協せず施工
立脇さんは神奈川の名工に選ばれ「とても名誉に思う。襟を正してこれからも仕事に励みたい」と笑顔で話す。
建築板金を主な業務として行う(有)立脇板金の代表を務める立脇さん。神社仏閣などの木造建築から鉄骨造りの工場などの屋根工事まで幅広く手掛ている。板金加工は機械で行うことが主流だが、変形アーチ屋根など機械での施工が困難な場合に、手作業で加工できる数少ない職人だ。
雨漏りを防ぐための雨樋工事などでも手板金の技が光るという。「手加工は、機械では作れない形状にできるため、個々の建物に応じて対応ができる」と説明する。
子どもの頃から自動車が好きで、自動車メーカーのメカニックになった。23歳のとき、同社を営む父が体調を崩して現場に出られなくなり、会社を継いだ。板金経験がほとんどない中で、独学で技術を習得してきた。「お客様の要望を妥協せずに、解決するための発想力と技術を磨いてきました」と振り返る。
現在は、息子を含め4人の社員に技術を伝えている。約200の事業者が所属する神奈川県板金工業組合の副理事長を務め、ものづくり体験イベントなども開く。