行楽の秋と食欲の秋、今年は山で同時に満たしてみませんか?【初心者向け・やさしい登山】
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。 新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
ゲストは、アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さん。
秋といえば、やはり「行楽の秋」!その選択肢の一つとして、登山を選択される方も多いと思います。ということで、今回は秋の行楽にピッタリで、初心者の方にもおすすめの山、さらには、その山で楽しめるグルメもセットの登山プランをご紹介いただきました。
《秋の登山のポイント》
Q.秋の登山、ほかの季節と違う部分は?
→秋は葉っぱや木の実が主役になる季節。枯れていく姿の中にも植物の生き様が宿っており、色づいていく秋の彩りだけでなく、朽ちていく姿の美しさを感じて歩くと楽しい!
Q.秋の登山で気を付けるポイントは?
→日暮れが早く、山の中だと暗くなるのもより早いです。コースタイムは短めor早く出発が◎。加えて、朝晩の冷え込みで休憩時に汗が冷えてしまうので防寒具が必携です。魔法瓶にお湯などを持っていってもいいかも良いかもしれません。とはいえ、歩いているときは暑くて汗ばみやすいので、こまめに着脱して調整しやすい服を着ましょう。
それでは早速、初心者にもおすすめの秋の登山プラン。
①老舗の茶屋でホッと一息!「箱根旧街道」
(撮影:四角友里さん)
箱根旧街道は、箱根でも人気のハイキングコースとなっていて、基本のコースは3時間ほどのルート。所要時間3時間とはいっても、箱根には、温泉地や観光名所をつなぐバスが縦横に張り巡らされているので、自分の体力にあわせて歩く区間を決められます!
そこで、今回おすすめしたいのが、箱根の関所跡からスタートする1時間ほどのコース。
・見どころは、芦ノ湖から望む富士山、元箱根の杉並木、古道の石畳などです。
・「山道や坂道はちょっとハードルが高め……」という方も、こちらのコースなら尻込みせずに歴史ある石畳を歩きながら挑戦できるかと思います。
Q.箱根旧街道を歩くときにはどんな服装が良い?
→雨が降ると石畳が濡れて滑りやすいため、靴の裏がデコボコとしたウォーキングシューズなどがおすすめです。
「箱根旧街道」で楽しめるグルメは・・・
「甘酒茶屋」という店名どおり、甘酒が人気のお茶屋さんが、ルートの途中でやってきます。江戸時代から約400年続くお店で、茅葺き屋根の建物は歴史を感じさせる風情ある佇まい。
甘酒茶屋(撮影:四角友里さん)
・甘酒は「東海道五十三次の難所」といわれた箱根で旅人が一服し、元気を取り戻した、ともいわれています。
・こちらのお店の甘酒は、砂糖などの添加物をいっさい加えず、地場産のうるち米と米麹だけで作られていて、発酵によって生まれる自然の甘みは「沁み入る」という言葉がまさにぴったり。
②サッと登って、観光へ!「鎌倉・祇園山」
八雲神社の見晴台から見た鎌倉の海。(撮影:四角友里さん)
こちらは、標高60mほどしかない山で、なんといっても初心者の方にも手軽に登れるところが魅力!もちろん、ただ低い山というだけではなく、コースのなかに、北条氏が滅亡した「腹切りやぐら」の史跡や、うっそうとしたシダの森、気持ちよい尾根道、海の眺望など鎌倉トレイルの見どころがぎゅっと詰まっています。
登山口の八雲神社と、山道のシダ植物。(撮影:四角友里さん)
登山口は鎌倉最古の厄除け神社「八雲神社」で、見晴台からは、富士山が見えることもあるなど、眺望は抜群!鎌倉駅を起点に午前中に1時間くらいでサクっと山歩きを終えることもできるので、鎌倉観光と組み合わせるのにもぴったりです。
楽しめるグルメは・・・
近隣には、魅力的なお店がたくさんあるんですが、おすすめの一つが、新鮮な鎌倉野菜が安く購入できる「鎌倉農協連即売所」通称「レンバイ」です。
鎌倉農協連即売所の鎌倉野菜(撮影:四角友里さん)
この「レンバイ」は昭和3年に発足していて、「鎌倉野菜」の発祥の地とも言われています。年末年始を除く毎日、朝8時からの営業で、加入している農家さんが日替わりで出店。野菜が売り切れてしまうことも多いので、午前中の早い時間に行くのがおすすめです。旬の野菜を手に取って、お店の方と食べ方など、コミュニケーションを取りながらの買い物も楽しいです。
祇園山をサクッと登って、帰りに美味しい鎌倉野菜を購入するのがおすすめのプランです!
③超お手軽に登れるコースは数歩で絶景にたどり着ける!「八ヶ岳」
(撮影:四角友里さん)
八ヶ岳は長野県から山梨県へと南北に連なる火山。日本百名山の一つ。最高峰・赤岳は標高2899mの高山です。「八ヶ岳」と聞くと「ザ・登山!」というイメージを持たれる方も多いと思いますが実は、それだけじゃないです。
それが、八ヶ岳の標高2115mの地点に位置する「白駒池」周辺を楽しむルート!
登山口まで車やバスで行けて、15分ほど歩くだけで絶景を楽しめます。しかも道も整備されているため、老若男女歩きやすいのもポイント。さらに、そこから30分ほど、標高2127m地点にある「麦草ヒュッテ」という山小屋を目指すコースがおすすめです。(バスを利用して登山口まで行けるのは10月中旬ごろまで)
歩いて15分でたどり着く湖(撮影:四角友里さん)
楽しめるグルメは・・・
登山口から20~30分歩いた先にある、山小屋「麦草ヒュッテ」。こちらで働くスタッフのみなさんはお菓子作りがお上手!
麦草ヒュッテにて、日替わりで堪能できるスイーツ(撮影:四角友里さん)
日替わりでいろいろなスイーツがあるのですが、なかでも八ヶ岳山麓の牛乳と糸萱かぼちゃを使った「プリン」は、かぼちゃ特有のざらっとした食感とホクホク濃厚な甘さ、ほろ苦いカラメルがたまりません。そのほか「苔の森のアイス」もおすすめ!抹茶アイスをチョコクッキーでサンドした一品。
行楽の秋、お出かけ先に迷っている方は、やさしい登山と山グルメで心も体も同時に満たされるプランはいかがですか?
四角友里さん(アウトドア・スタイルクリエイター)
・山スカートを日本に広めた“山ガールブーム”の火付け役。
・著書に『一歩ずつの山歩き入門』など初心者に向けた本を多数、出版されています。
・女性向けのアウトドアブランド「MOUNTAIN DAISY PRODUCTS」をご自身で立ち上げるなど、山歩きの魅力を発信中です。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)