【市川市】昭和戦前期に造られた歴史的建造物 国登録有形文化財「昭和学院創立記念館」
昭和学院の校舎は近代的な建築ですが、敷地内北寄りにある創立記念館は和洋折衷住宅。
真間川遊歩道を散策する人々の目を引く昭和の保存住宅です。
昭和学院創立者の住宅建築が始まり
昭和学院(東菅野2-17-1)の敷地内にあるこの建物は、元々1931(昭和6)年に同学院創立者である伊藤友作氏の自宅として、千葉市に建築されました。宮大工が建てたとの言い伝えがあることから、新築ではなく寺院の付属建物のようなものを移築改造したと考えられています。
その後、43年に市川市の現在地近くに移築。建物の2階建ての部分は和風を主体とした建築ですが、東側には平屋が付け加えられ、本格的な洋風の造りになっており、しゃれた出窓とシャンデリアが設けられています。
67年まで創立者の住居として使用されていましたが、68年、創立者夫人の死去に伴い建物は学院に寄贈。学校施設として活用するため、大掛かりな工事を経て「昭和学院創立記念館」に生まれ変わりました。
歴史的建造物のその後
学院の施設として活用されるようになった記念館は、接客など各種用途に使用。
創立40周年記念式典(1980年)に際し傷んだ箇所を修復した後は、茶道などサークル活動の場として活用されています。
その後も移築(曳家)(ひきや)や保存修理が行われ、構造補強も施されてきました。
質実剛健な和風住居部分と洋風の接客施設を併せ持つ、昭和戦前期の住宅としての価値が認められ、2011年に登録有形文化財に指定されました。
※建物は一般公開しておりません。
(取材・執筆/平田涼)